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本を読む

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今は読まれなくなっている本、これはと思う最近の本など、なんでも取り上げて紹介します。分野も様々です。 独断と偏見で、3段階の評価をつけます。     ☆☆☆:読む価値あり    …
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#ウクライナ

[ひろしま]石内 都(2008, 4,30)集英社78p.☆☆☆

写真家 石内 都氏が、広島平和記念資料館所蔵の被爆死した人の遺品の中から肌身に直接触れた品物を選んで撮影した写真集である。 シャツ、モンペ、肌着などごく普通の衣類を広げて撮影している。 原爆の被害の写真というと黒焦げになった遺体など目を覆いたくなる残酷なものもあるが、この写真集に集められているものは焼け焦げたり、裂けたりしているものの、被害者が被爆直前まで身につけていたというぬくもりが伝わってくるものである。 戦時中とはいえ、普通に活動していた普通の人々が、衣類を残して逝

[人間の運命] ショーロホフ(2008, 11, 22)角川文庫.188p. ☆☆☆

私はもともとロシア文学が好きでしたが、プーチンのウクライナ侵攻以来、なんとなく読むのをさけていました。 先日、ずっと前から読みたいと思って積んでおいたショーロホフの『人間の運命』を思い切って読んでみました。 訳者が漆原隆子先生は、教養部のロシア語の授業の先生でした。 今から50年以上も前のことですが、今でも漆原先生の印象を覚えています。 漆原先生のことを思い出しながら、読みました。 独露戦でドイツの捕虜になって脱出したのだけれど、家族は全滅していた兵隊が、一人の幼い戦争