いつまでもあると思うな食糧とエネルギー

ロシアウクライナの戦争が始まって、1年が経ちました。

たった1年で光熱費、食糧品が値上がりし、海上運賃や石油の値上がりは身の回りのほぼ全てのものの値上がりに繋がりました。

私は最近、よく食糧とエネルギーについてよく考えます。
自分が酪農を身近にしているのと、私の夫がエネルギーの専門家だからです。
夫は特に、営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)という、農地の上で太陽光発電をすることに力を入れています。

食糧について

日本はたくさんの食糧を海外から輸入していますよね。それ自体が悪いことではないはずです。

海外の農業では、広大な土地に大きなトラクターを入れて、少人数でたくさん生産できます。
日本は小さな島国で、人口も多く、山も多い。
海外のような大きな農地の確保は困難。小さな農家がたくさんいて、生産効率は海外と比べると格段に悪いです。
さらに、高齢化が進み農家の跡継ぎもおらず、耕作放棄地も増えています。

海外からの輸入が万が一ストップすれば、スーパーの棚から食糧が消え、国民全員を日本の農家に頼ることは到底できないでしょう。

結果、多くの人が栄養失調や餓死という結果になります。


エネルギーについて

日本の主力の発電方法は70%以上を火力発電に頼っています。
燃やしているもの、何かしってますか?
石炭やガス、石油を燃やして発電しています。

燃やす材料も、ほとんどが海外から輸入しているものです。

燃やすものがなければ火力発電は機能しません。

車の燃料やガスも海外からの輸入ですね。

万が一輸入がストップした場合、電気もガスもなければ移動もできない、暑さ寒さへの対処も不十分、オール電化の家は何もできないですね。

長時間の停電を経験したことがある人は、電気がない暮らしへの危機感は特にわかると思います。

世界は今、脱炭素化に向けて舵を切っています。日本が主力にしている火力発電は、世界の方針に反するものになりつつあります。

農業とエネルギー

農業では、たくさんのエネルギーを使います。トラクターや機械を動かす燃料や、ハウスの中を暖めるボイラー、など、農業におけるエネルギーの98%が化石燃料由来です。

電気もたくさん使いますが、その電気も火力発電がほとんど。

万が一輸入がストップすれば、エネルギーどころか、人の命を繋ぐ食糧すら作れなくなります。

エネルギーの自給の必要性

たった二国間の戦争で、日本ではこれだけ多くのものが値上がりしています。「万が一輸入が止まった場合」の「万が一」がこれから永遠に起こらないことと言い切れるでしょうか。
世界が環境のために脱炭素化に向けて方針を決める中、日本は脱炭素から遠く離れた火力発電や石油で動く船を用いた海上移送ありきの食糧・エネルギーの輸入を続けていっていいのでしょうか。

私たちの子供や、その子供、またその子供、、
脈々と受け継がれる子孫たちの生きる地球のことを考えて、今の世代ができる最大限のことをすべきではないでしょうか。

私は、食糧とエネルギーの自給は国をあげて取り組むべきと思います。生きるために必要なものだから。

食糧自給は、農地を農地として活用すること、担い手の確保、生産効率の向上。

安いからと消費者が外国産ばかり買っていると、農家は収入が得られずいなくなります。
農地は手入れをしないと荒れ、いざという時にすぐに生産すら始まれません。
日本の農業は肥料も海外頼り。その「いざ」の際には農家でさえも今のような収穫量を保つことすらできません。

だから農地は大切で、国で管理され簡単に地目変更できません。農地の固定資産税が他の土地よりかなり安いのもそのためです。

エネルギーの自給

資源の乏しい日本ではこれが本当に難しい。
夫の話を聞きながら、素人の私が捻り出したのは

・原子力発電
・再生可能エネルギー
以外に思いつきませんでした。

現在停止している原子力発電所を動かせば、今の電気代高騰ももう少しマシになるとか。そう聞けば、動かしてほしいと思っちゃう。
ですが、東日本大震災の後、いまだに続く原発事故の影響を思うと、一度の事故で失うものが大きすぎる。放射性廃棄物の処理は、未来への課題も大きすぎるようにも思います。

再生可能エネルギー、様々な議論がされてますが、私、地面に立てる太陽光パネルは、大嫌い。
(夫のお知り合いの関連事業者様、ごめんなさい)

とはいえ、上記に述べた「万が一」を考えると四の五の言ってらんないのでは?と最近本当に思うのです。

山を切ってまで作るメガソーラーも嫌い。原発も嫌。洋上風力は景観が悪いから嫌。じゃあどうすれば日本はエネルギー自給できるのか。あれもこれも嫌、とは言うのは簡単ですが解決策は出ない。

せっかく夫が専門家なので、色々聞いてみたんです。

日本は海に囲まれてるんだから潮力発電はどうか、火山が多いんだから地熱発電はどうか。
設備コストが大きい割に今の技術では発電効率が不十分で、事業性に乏しいそう。

そうなると、夫と知り合ってからも実はちょっと懐疑的だったソーラーシェアリングが、実は食糧生産を止めずにエネルギーも作り出せるいいもんなんじゃないかと思ってきたんです。

ソーラーシェアリングは、農地に太陽光パネルを立てて、パネル下で農業を行うことをいいます。

皆さんがイメージはこんなんじゃないでしょうか。

ソーラーシェアリングのあかんやつ

これ実際にあるソーラーシェアリングの事例なんですが、これは地面に立てる太陽光パネルの、下ちょっと伸ばしただけ。日が当たらないし、農業の生産効率のために必須なトラクターや機械での作業は無理。

税金が安い農地で農業やってるフリして売電収入で儲けようという魂胆が見え見えなやつ。

夫の圃場

本来、こっちがソーラーシェアリング。
確かに影はありますが、太陽は動くので丸一日同じところが影になってることはありません。
トラクターも入れます。
遮光率や作業性はもちろん、耐震耐風も計算して設計しているそうです。
作る作物に合わせた設計をすれば、収穫量も大きく減ることはないみたいです。
(地域や作物で向き不向きはあります)
(支柱とその周りの面積分の収量は落ちます)

ここで発電した電気は、作物の保管用の冷蔵庫や、電動の作業機器、電気自動車の充電に使っています。電動トラクターを導入すれば、前述した農業におけるエネルギーの98%が化石燃料由来、という課題が解消でき、万が一エネルギー輸入がストップしても農業生産を続けることが可能です。

停電などの非常時には、地域の電源になることができます。地域の人が、畑に来てバッテリーや自動車に充電をして、家庭に電気を持ち帰ることができます。

自分達で使う以外の電気は売電して収益になります。

ソーラーシェアリングにおいて大事なのは、農業の収益を売電により上げることではありません。持続可能な農業のためにあります。

何もわざわざ農地に立てることないじゃん、って思いますよね。トラクターやコンバイン走らせるのに、こんなん建ってたら邪魔だろって。

70%以上の火力発電を、脱炭素の流れにそって変えようと思って、それがもう再生可能エネルギーしか、現状で選択肢がないのなら、今ある建物全部にパネル乗せても全然足りません。だからといって、農地が全部野立ての太陽光になっては、いざという時の食糧生産ができません。

多少収量落ちようが、支柱が邪魔だろうが、食糧とエネルギーの自給をした方がよい。そしてその方法が持続可能でないと意味がない。
そうして考えられたのがソーラーシェアリングです。

風が吹けば飛ぶだろうデメリットとして確かに挙げられるこの問題。

夫のソーラーシェアリング設備は、2019年の千葉の台風の時、最大瞬間風速57.5m/sにもパネル1枚破損することなく耐えました。

どんなに考え抜かれた設計だとしても、想像を絶する災害には確かに耐えられないかもしれません。
でもそれって、この世のどんな建造物も同じでは?

現状が永遠に続くと思うのは過信。
リスクを恐れて現状維持しかできないのでは、世の中は変わらない。

ソーラーシェアリングは、未来では最適解ではないのかもしれません。もっと効率よくエネルギーが低コストで自給できる技術があったなら。

まだない技術に夢を見るな。

今できること、自分達の世代でやる。

批判だけではなく、もっといい方法を生み出す努力をする。
自分で考え行動する。

そんな意識が、私たち1人1人に必要かと思います。

食べ物は国産を選ぶ
エネルギーの使い方を見直す

あとは、、選挙に行く。

小さなことから1歩ずつやっていきましょう。
未来の子供達が、笑って暮らせる世の中にするために、今の大人ができることをやりましょうね。



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