「女子には難しい?」 ボルダリングと数学
こんにちは。ボルダリングを趣味とする数学系女子大学院生です。
前の記事で宣言したとおり『女子は数学が苦手、とは限らない』というテーマを念頭にしつつ、今日はボルダリングについて語ってみようと思う。
語り始める前に、少し前に出たニュートン3月号の表紙を見て頂きたい。
中高数学の特集で、表紙はボルダリング!!
ボルダリングと数学に似たもの感じているの私だけじゃなかった〜〜!!!
そう、数学とボルダリングは似ていると思う。
ちなみにボルダリングをちょっと真剣にやり始めたのはたったの半年前だ。ど素人であることは先に断っておきたい。
ボルダリングと数学の類似点は色々ある。
一つは、トライアンドエラーを繰り返して解決を目指す点。
二つ目は、(本来は)あくまで自分との戦いである点。
三つ目は、『女性には難しい』となんとなく思われている点。
一つ目だけでいくらでも書きたいことはあるが、これは今日の本題ではないので我慢しておく。後ろ二つに関する私なりの解釈から始めたい。
あくまで自分との戦いである
私含め多くのアマチュアクライマーにとってボルダリングは競技ではない。あくまで自分との戦いだ。
自分が選んだ課題を攻略できるかどうかが関心事項である。競技以外でボルダリングの課題に男性用/女性用は基本的にない。男性も女性も同じ課題に向かっているのだ。
数学も同様で、受験や定期試験の順位発表さえなければ本来は自分との戦いだ。当然のように男性も女性も同じ課題に向かっている。
数学もボルダリングも、原理的には男女が同じフィールドで自分自身の課題と向き合う行為だ。
なんとなく『女性には難しい』と思われている
『女性には数学は難しいか?』というとそれはあまりにも複雑な問いで私には分からない。けれど、そういう風潮がある、というのは一定の事実だろう。
一方で『ボルダリングで男性と同じ課題を攻略するにあたって、女性は不利か?』というとこちらは確かにその面はある。
例えば、私(女)は身長が154cmで手足も長くないので、長身の男性が楽に手が届くような位置のホールドにあと1センチ届かない!と思うことはあるし、筋力的にも男性には及ばないだろう。物理的な理由がある以上、ボルダリングの場合の方が数学よりも『女子は不利』ということが説明しやすい。
『女性には難しい』と言われることもある両者だが、ボルダリングで苦戦する女性にかけられる言葉と、数学で苦戦する女性にかけられる言葉は大きく異なる。
「女子も諦めないで!」
私は隙あらばボルダリングジムのインスタでオブザベ動画(誰かが登っている姿を撮影したもので、登り方が分からない人にとっては手順の参考になる)を見ているのだが、「女子も諦めないで!」はそこで使われていた言葉だ。
例えばある女の子がボルダリング中に、一つの課題でとても苦戦したとする。
「女の子は筋力がないから仕方ないね。」と、
「女子も諦めないで!」では、
どちらが温かい言葉だろう?どちらが冷たい言葉だろう?
「女子も諦めないで!」はとても温かい声援だと思った。
オブザベ動画は子どもや女性が登っている動画である場合も多い。これが結構ポイントなのだ。
自分よりもずっと背の低い子どもや、自分よりもずっと華奢に見える女性が難しい課題をスイスイ登っているのを見ると、「背が低いから無理…」「筋肉ないから無理…」なんて言う気も起こらなくなってくる。
「女子も諦めないで!」という言葉は私にとって、女性も男性も同じフィールドに立っている、と確かめられる言葉だった。言い訳させないでくれる世界は厳しいようで、実際にはとても温かい。
ボルダリングと数学の類似点、であって共通点ではないのがここである。ボルダリングは数学に似ているけれど、女子でもいけそう!と思わせてくれる環境が圧倒的に整っている。
数学の世界はボルダリングの世界から学ぶべきものがあると思う。
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