地獄の two pizza rule (20)
組織の陰謀に詳しいとされている人物は、ジョンの追及を受けながらも、静かに自己紹介をした。「私は組織の中で長年働いてきました。two pizza ruleとは、『全ての会議は、出席者に2つの大きなピザを与えることができるほど小さくなければならない』という、私たちが効率的な意思決定を追求するために用いていたルールであり、あくまでも組織論です」と言った。
ジョンは驚きと共に疑問を抱いた。「しかし、two pizza ruleの背後に隠された陰謀や不正行為はなかったのですか?私は何か大きな陰謀に巻き込まれていると思っていたのですが…」
人物は穏やかな笑みを浮かべながら答えた。「実は、two pizza ruleはただの組織の効率化を図るための方針であり、組織自体は一般的な企業活動を行っているだけなのです。私たちは組織内での円滑なコミュニケーションと意思決定を重視していただけです」
ジョンの顔には落胆と絶望が浮かび上がった。彼は自分が追い求めていた大きな陰謀や真実が存在しないことを受け入れることができず、言葉を失ってしまったのだ。
人物はジョンの落胆を見て、慈悲深く言葉を続けた。「ジョンさん、私たちは何か大きな真実を見つけるために行動してきた者たちです。でも、時には現実は期待したほど壮大ではないこともあるのです。しかしそれは、私たちが自らの力で未来を切り開くためのスタートラインでもあるのです」
ジョンは深く考え込み、自分が絶望していることに気付いた。組織に対する疑念や不安が彼を追い詰めていた一方で、それが真実ではなかったことに絶望感が押し寄せていた。
「あなたの言葉は理解できます。ただ、自分の心の中で抱いていた期待や疑問が崩れ去ってしまった感じがして…」ジョンは苦しげな表情で言葉を紡いだ。
人物は優しくジョンの肩を叩きながら言った。「絶望する必要はありません。私たちは新たな目標や真実を見つけるために生きているのです。あなたが組織の中で感じた疑問や不安は何かしらの意味があったのかもしれません。未来への一歩を踏み出すために、新たな視点で前に進みましょう」
ジョンは人物の言葉に救いを見出し、絶望感から立ち直る勇気を持ちつつあった。しかし、彼にはまだ確認しなければならないことがあったのだ。
(続く)