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Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

2024 Early Autumn Selection(9月2日~10月13日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする

「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が

それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る

「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」

詳しい放送内容はこちら

D-03 usen for Cafe Apres-midi
https://music.usen.com/ch/D03/



橋本徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー) Toru Hashimoto

夏の終わりと秋の始まり、季節を行き来するように、曜日や時間帯に応じてどちらの心象風景も思い描きながら、今回もメロウ&グルーヴィーで心地よい楽曲を中心に、計34時間分を新たに選曲しました。
月〜日を通してのTwilight-timeの特集は、大好評とのことで引き続き、「Free Soul 30th Anniversary」と題したスペシャル企画。“Groovy & Mellow Lifestyle”を共に歩んでくれた、思い入れ強く思い出深い名作の数々をとことん楽しんでください。リリースされたばかりの30周年記念コンピ『Legendary Free Soul ~ Supreme』と『Legendary Free Soul ~ Premium』の収録曲も、すべてフィーチャーされています。この機会に受けた「Free Soulが人気を博した時代背景やその本質と功績を解き明かした柴崎祐二による橋本徹インタヴュー」や「Suburbia黎明期からFree Soul前夜にフォーカスしながら90年代の東京の熱気と輝きに迫った橋本徹×高橋晋一郎の対談」も、とても充実した内容ですので、ぜひお読みいただければと思います。
その他の時間帯は、95%以上を占めるメイン・ディッシュとして、この夏のお気に入り新譜を惜しげもなく投入しました。特に愛聴したアルバムは、Clairoの『Charm』とUyama Hirotoの『Breath Of Love』。前者は曲も歌ももちろん素晴らしいのですが、僕が「usen for Cafe Apres-midi」や「suburbia radio」そしてDJで関連作をたびたびヘヴィー・プレイしてきた、El Michels Affairでお馴染みのBig Crown主宰、我らがLeon Michelsのプロデュースがやはり光っていますね。後者は説明不要かと思いますが、特にオープニングに置かれた「Eternal Bless」という曲が、自分にとって精神を安らかにしてくれる、“心の調律師のような音楽”になっています。
他にも推薦したい新作は枚挙にいとまがありませんが、今回のセレクションでとりわけ活躍してくれた計48作(いずれも3曲以上をエントリー)のジャケットを、僕がコンパイルしたCDや7インチに続いて、まずはClairoとUyama Hiroto、そしてアーティストABC順に掲載しておきますので、その中身の魅力にも触れてみていただけたら嬉しいです。
そうそう、Cafe Apres-minuitの時間帯には、個人的にも2024年夏の大愛聴盤となった『Seaside Chillout Breeze』の続編としてまもなくリリースされる『Sunset Chillout Breeze』から、最初にこのコンピのために新録制作してもらった4曲=巨勢典子 & haruka nakamura「I Miss You (Mellow Beats Mix)」〜DJ Mitsu the Beats「Quiet Moments」(Lonnie Liston Smithのカヴァー)〜NOA NOA「Sunset Red」(Lucinda Siegerのカヴァー)〜中島ノブユキ「Flamenco Sketches」(Miles Davisのカヴァー)、最後に収録曲の目玉のひとつ=Flamingosis「Cosmic Feeling」(Free Soulファン歓喜のNiteflyte「If You Want It」サンプリング)をセレクトしていますので、ぜひお楽しみください。

V.A.『Legendary Free Soul ~ Supreme』
V.A.『Legendary Free Soul ~ Premium』
V.A.『Seaside Chillout Breeze』
TAMTAM + Seahawks「Sweet Cherry + No More Raindrops (Steel Pan Dub)」
cubismo grafico feat. 武田カオリ + Irondale & BrandonLee Cierley feat. Jonny Tobin「Seaside Weekend + High Five」
V.A.『Sunset Chillout Breeze』
DJ Mitsu the Beats + 巨勢典子 & haruka nakamura「Quiet Moments + I Miss You (Mellow Beats Mix)」
NOA NOA + Flamingosis「Sunset Red + Cosmic Feeling」
Clairo『Charm』
Uyama Hiroto『Breath Of Love』
Blick Bassy『M​á​dibá Ni Mbondi』
Brijean『Macro』
Burr Island『Days Dreamt』
Cassandra Jenkins『My Light, My Destroyer』
Clara Presta『Las Mareas』
Common & Pete Rock『The Auditorium Vol.1』
Demetruest『They All Kept Moving, While I Stood Still』
Elmiene『Live From 525』
Ezra Feinberg『Soft Power』
Fabiano Do Nascimento & Daniel Santiago『Olhos D'​á​gua』
Fabio Cadore & Hernán Jacinto『Acto 3』
hanbee『small love』
Ingrid Saga『The Space Between』
James Alexander Bright『Cool Cool』
Jerk『Mood Swings』
Kate Bollinger『Songs From A Thousand Frames Of Mind』
Kimbanourke『Absence』
Kitty Liv『Easy Tiger』
Liniker『CAJU』
Luka Kuplowsky & The Ryōkan Band『How Can I Possibly Sleep When There Is Music』
Luna Li『When A Thought Grows Wings』
MALIA『Back In My Body』
Manatee Commune『Simultaneity』
Memorial『Redsetter』
Milton Nascimento & Esperanza Spalding『Milton + esperanza』
Nay Porttela『Garoa』
Orlas『Viver O Mar』
Otis McDonald『Public Access』
Ravyn Lenae『Bird's Eye』
Rogério Tavares『Assentamento』
Rosie Lowe『Lover, Other』
Show Dem Camp, The Cavemen. & Nsikak David『No Love In Lagos』
Slique Jay Adams『Brown Liquor』
solace『Nine』
Sonic Løland『The Dream』
Teen Daze『Elegant Rhythms』
Thee Heart Tones『Forever & Ever』
Thee Marloes『Perak』

Dinner-time 土曜日22:00~24:00

Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~10:00

Brunch-time 月曜日10:00~12:00

Brunch-time 火曜日10:00~12:00

Brunch-time 水曜日10:00~12:00

Brunch-time 木曜日10:00~12:00

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本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) Yoshiaki Honda

まだ残暑が残る初秋に合いそうな涼しげで心地よい新曲を探していると、夏の真っ盛りにTeen Dazeのニュー・アルバムがリリースされました。好きなアーティストの中でも、勝手に畑違いだと思い交わることは予想もしていなかったアーティストのちょっと意外な交流を知ることがありますが、このニュー・アルバムでもそんな驚きがありました。“Electronic Album Of The Year”を受賞したTeen Dazeの本作に、シンガー・ソングライターのAndy Shaufがドラムスで、LAジャズ・シーンの才人Sam Wilkesがベースでゲスト参加しており、まだ聴く前の文字情報のみで嬉しさと好奇心が沸き立つ。聴いてみると、暑さで疲れてしまった9月に本当にちょうどいい好みなヴォーカルの曲が多く、Teen Dazeの新境地を感じる素晴らしいアルバムでした。

Teen Daze『Elegant Rhythms』

Lunch-time~Tea-time 木曜日12:00~16:00

Lunch-time~Tea-time 金曜日12:00~16:00

Lunch-time~Tea-time 土曜日12:00~16:00

Lunch-time~Tea-time 日曜日12:00~16:00



中村智昭 Tomoaki Nakamura

残暑が9月のみならず10月にまで及ぶ昨今、本セレクションにも選んだCalmの曲名を借りるなら、「夏の終わりというべきか、秋の始まりというべきか」──そんな気分を、橋本さん編集の新コンピレイション『Incense Music for Living Room』と共に8時間選曲。Nujabesへの祈りに満ちた巨勢典子「I Miss You」の再演 with haruka nakamura、さらには真夏の記憶をリフレインさせるボビー・ハッチャーソン「Montara」の武田吉晴による穏やかなカヴァー……。そうしてCalmによるホルガー・シューカイ「Persian Love」のリメイクは、よりレイドバックする深夜帯に。これらをリヴィングでくつろぐようにリラックスして聴いていただけるなら、セレクターとしてそれ以上の幸せはありません。

V.A.『Incense Music for Living Room』

Dinner-time 月曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00



添田和幸 Kazuyuki Soeta

今年の中秋の名月は、自分が担当している火曜日とのことなので、タイミングよくリリースされたCASTLEBEATのニュー・アルバムから「Moonlight」をピックアップ。どこまでも甘く切ない、全編通して夏の終わりに相応しい心地よい余韻に浸れる一枚です。

CASTLEBEAT『Stereo』
Ecovillage『Crescendo』
COLA REN『Hailu Remixes (Remix)』
dibidim『Superheaven』
Pana『Hibiscus』
Teen Daze『Elegant Rhythms』
SHOLTO『Letting Go Of Forever』
Liana Flores『Flower Of The Soul』
Quartabê『Repescagem』
Still Woozy『Loveseat』
Johnny Burgos『All I Ever Wonder』
Aaron Frazer『Into The Blue』
Jon Muq『Flying Away』
Clairo『Charm』
Cecily『Awakening Pt. II』
Michael Kaneko『Daydreams』
Darien Brockington『Where Love Grows』
Henry Green『Familiarity』
HOMESHAKE『Horsie』
Finn Rees『Dawn Is A Melody』
Àbáse『Awakening』
berlioz『open this wall』
Arooj Aftab『Night Reign』
Thandiswa『Sankofa』
Thembi Dunjana『God Bless iKapa. God Bless Mzantsi.』
Nduduzo Makhathini『uNomkhubulwane』
A Song For You『Home』
Deron Johnson『Free To Dance』
Linda Sikhakhane『iLadi』
DUP SYS『Pure Materials』
Fuubutsushi『Meridians』
Bremer/McCoy『Kosmos』

Dinner-time 火曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00



中上修作 Shusaku Nakagami

音楽から愛された方ならば、了わりの夏の薫りに敏感でしょう。その嗅覚は、幼少期に遊んだ砂浜の記憶から酷暑がつづく現在地までとぎれることなく訪れることで、より美化された夏の記憶が鮮明になり「理想とする夏の了わり」を形づくっているのかもしれません。

今回とりあげた2枚の音楽は15年以上も前に世にでたものですが、いまもって繰り返し「了わりの夏」を表現するのに欠かせないものです。ミュゼットの「ノヴェンバー(カセット・ヴァージョン)」はカセット・テープ録音によるカクテル・パーティー効果(人間の耳は都合のよい音だけ聞こえるように脳が「編集」しているのに対し、カセット・デッキの内蔵マイクによる録音はすべての音を分け隔てなく録音していることを表す表現)でピアノの音のみならず鳥のさえずりや床板が軋む音などが等倍で収録されており、そのタイトルとは裏腹にテープ特有の乾いた音質が9月から10月の、晩夏の翳った自然光を匂わせています。そしてカマ・アイナの「ミルポート」は……、あえてここでは語りません。どちらも遅い時間帯に収録しておりますが、すこし夜更かしをして(これも了わりの夏の醍醐味かと)お聴きくだされば嬉しいです。

Musette『Datum』
KAMA AINA『Club Kama Aina』

Dinner-time 水曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00



高木慶太 Keita Takagi

今回の選曲で意識したのは、夏の余韻と秋の序章のグラデイション。ただし、一方の端に夏を、もう一方の端に秋を置くのではなく、夏と秋がランダムに現れては消え、シームレスかつ滑らかに繋がるようなイメージである。季節の移ろいと選曲術はどこか似ている。

伊藤ゴロー アンサンブル『アーキテクト・ジョビン』

Dinner-time 木曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00



FAT MASA

初秋とはいえまだ残暑厳しいと思われますが、爽やかな今年話題沸騰した極上なAORアルバムをセレクトします。
ソウル・グループDynastyのメンバーだったLinda Carriere幻のデビュー・アルバムが半世紀を経てリリースされました。細野晴臣プロデュース、作家陣に山下達郎、吉田美奈子、矢野顕子も加わってミュージシャン勢も国産で海外リリースを狙ったアルバムでありながらお蔵入りしてしまい、ごくわずか出まわっていたプロモ盤もとんでもない金額で取り引きされていました。過去に一度だけ札幌のイヴェントでご一緒した常盤響さんがDJでプレイされていたときには、内容の素晴らしさに大変感激しました。
もう正規リリースされることはないんだろうと思っていたら、まさかの奇跡的なリリース、アナログ盤も!
Linda Carriereの強すぎず、しなやかなヴォーカルが、洗練されたサウンドによく似合う、素晴らしいAORサウンドになっております。
秋のドライヴにぴったりなんで、旬の味覚あふれる最高の季節を迎える道東、釧路にぜひ行楽に遊びにお越しください♪

Linda Carriere『Linda Carriere』

Brunch-time 金曜日10:00~12:00



三谷昌平 Shohei Mitani

今回ご紹介させていただくのはイギリス系ブラジル人のシンガー・ソングライター、リアナ・フローレスのデビュー・アルバムから、ブラジルのSSWチン・ベルナルデスを迎えたボサノヴァ「Butterflies」です。憂いを帯びたメロディーとリアナの儚げなヴォーカルが、夏から秋にかけての移り変わる季節をイメージさせる作品となっています。ぜひチェックしていただければと思います。

Liana Flores『Flower Of The Soul』

Dinner-time 金曜日18:00~22:00



渡辺裕介 Yusuke Watanabe

異常気象更新中灼熱中の日本。
音楽フェスとか海に山などのアウトドアをエンジョイしている様子をTVで観ている私は、塩化ヴィニール同様熱に弱いのであります。
40年前は夏休みも休まず、フランス代表/ユベントスのキャプテンだったミシェル・プラティニにあこがれて、PKで右端に確実に決める練習を無我夢中で練習してましたが。
あの頃暑かった夏とは異なり、自分の中でも夏に聴く音楽の志向が少し変わってきたような気がします。
実家に帰省した際に、ブラジルのレコード段ボールを開けて、じっくりいろいろアルバムを聴きつつ、選曲用に自宅に持って帰りました。
2000年前後は、とにかく海外オークションでレコードを段ボールごと買うのが好きで、何が入ってるかわからないのが楽しみで、たくさん落札してました。
送料のほうが高いのがほとんどでしたが……。
ブラジルの段ボールもその思い出のひとつです。
その段ボールで、久々に聴き直してよかったのはHyldonのデビュー・アルバム。演奏はAzimuthなんで、フォーキーな素晴らしいソウル・アルバムです。2024年のサウンドに違和感なし。こんなに段ボールに寝かせていたのは申し訳なかったと反省しております。
そして当時「なんじゃこれジャケット面白すぎるわ」と思ったLP、Pepeu Gomesの1982年のアルバム『Um Raio Laser』。Os Novos Baianosのギタリストなんで、あらゆる楽興が目白押しですが、A面6曲目「Planeta Vênus」は切ないAORテイストのブラジリアン。ビーム光線で心奪われます。
そんな灼熱のなかで選ぶまだまだ暑い初秋ですが、空間だけでも夏の終わりから秋を少し感じていただけてればと選曲させていただきました。20世紀の音楽は、気温が少し下がる気がするのは私だけでしょうか。

Hyldon『Na Rua, Na Chuva, Na Fazenda』
Pepeu Gomes『Um Raio Laser』

Dinner-time 金曜日22:00~24:00

Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00



富永珠梨 Juri Tominaga

2024 Early Autumn Selectionでは、米国メリーランド州出身、現在はカンザス州を拠点に活動するシンガー・ソングライターJordanaと、シカゴ・インディー・ロック・シーンの中心人物、Paul Cherryがコラボレイションしたシングル「My Idol」をピックアップしました。甘く透き通るイノセントな歌声で紡がれる、愛らしくもどこかセンティメンタルなメロディー。柔らかなアコースティック・ギターのサウンドを基調に、ストリングス、木管楽器、キーボードを織り交ぜながら、瑞々しくドリーミーな世界観を描いています。この作品は、Alex LaLiberteが監督をつとめたミュージック・ヴィデオもとっても魅力的なので、ぜひチェックしてみてくださいね。大物ミュージシャン(とっても嫌な奴!)を演じるPaul Cherryと、彼に憧れデビューを夢見るシンガー・ソングライターJordanaが織りなす、思わずクスッと笑っちゃう可愛らしいショート・ストーリー。甘くてほろ苦いノスタルジックなメロディーと、ミディアム・テンポのアコースティック・サウンドは、秋のはじまりの風景に心地よく馴染みます。

Paul Cherry & Jordana「My Idol」

Brunch-time 土曜日10:00~12:00



小林恭 Takashi Kobayashi

今回紹介するアルバムの中でもよく聴いたのは、Ezra Feinbergの『Soft Power』とArooj Aftabの『Night Reign』です。
前者はギターを中心に、管楽器やキーボードとのアンサンブルで、どこまでも爽快なニューエイジ+アンビエントな内容で、残暑の続くこの季節にも、部屋の温度を下げてくれるようなサウンドです。
後者は、前作『Vulture Prince』に続く、橋本さんが上半期のベストに挙げていた素晴らしいニュー・アルバム。サウジアラビアで生まれ、パキスタンで育ち、今はNYで活動する女性SSWの、ウルドゥー語と英語で歌われるスピリチュアルで幽玄な音楽は、ただ無心に音楽に身を委ねれば安らぐ、包容力のあるサウンドです。
その他、選りすぐりの曲を集めましたので、夏から秋へと移り変わる夜に楽しんでもらえたらとても嬉しいです。

Ezra Feinberg『Soft Power』
Nico Ducarme「Familiar」
Digital Sangoma「Sekunjalo」
巨勢典子 & haruka nakamura「I Miss You」
A Song For You『Home』
Nectar Woode「30 Degrees」
NxWorries『Why Lawd?』
Arooj Aftab『Night Reign』

Dinner-time 土曜日18:00~22:00



ヒロチカーノ hirochikano

2024年のアーリー・オータム選曲からは、秋の気配を綴ったジョビンの名曲「Waters Of March」の好カヴァーを紹介します。これぞボサノヴァと称したい天性の唄心を聴かせてくれるMei Semonesと、ニューヨークのブルックリンを拠点に活動する現在進行形のフォーキー〜ボサノヴァ系のアーティストJohn Roseboroとの珠玉のデュエットは、往年の名盤『Elis & Tom』へのオマージュにあふれ、二人の絶妙な音の間合いにボサノヴァならではの音の隙間の美学を感じることでしょう。そんな1曲目に続けて前半から30分は、ブラジル音楽にインスパイアされた最初期のアプレミディ・テイストを感じさせる選曲を、2020年代の現在進行形アーティストの新譜で再現しましたので、ぜひ併せてお愉しみください。

John Roseboro & Mei Semones「Waters Of March」

Brunch-time 日曜日10:00~12:00



吉本宏 Hiroshi Yoshimoto

“A euphoric early autumn”。そんな夢見心地で幻想的な風を感じさせる「Roxy」 や「Euphoric Avenue」が穏やかな秋を知らせる。LAのユニットBrijean & Dougによる新作はアルバム・ジャケットも気分。

Brijean『Macro』

Dinner-time 日曜日18:00~22:00



高橋孝治 Koji Takahashi

※ご本人の健康上の理由で、セレクター・コメントをお休みとさせていただきました。

Dinner-time 日曜日22:00~24:00

Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00



山本勇樹 Yuuki Yamamoto

残暑厳しい日々が続き、まだ夏の名残が消えないものの、明らかに、ふと頬をなでる風に秋を感じる今日この頃。そんな心地よい空気を感じながら、ジャズ・スタンダードの「'Tis Autumn」の歌詞の一説、“La-di-dah di-dah-di-dum, ‘tis autumn!”を、思わず口ずさんでしまう気分です。街の景色も、少しずつ、色合いを深めて、より一層ジャズが似合う季節になりました。さて、そんな景色をイメージしながら、今年のアーリー・オータムの午後のランチ~ティータイムも、ジャズを中心にとっておき曲を選んでみました。そんな中、この秋にぴったりなのが、アメリカ・コネティカット州ニューブリテン出身のシンガー・ソングライター/ギタリストのジェイソン・ラピエールが、イタリアのシンガー、アンソニー・ラゾロを迎えて吹き込んだ、ジャジー&メロウ・スウィンギンなデュエット曲「Before You Walk」です。つい先日リリースされたばかりのクワイエット・コーナーの最新作『Jason LaPierre for Quiet Corner』にも収録されています。これぞ、現代版「午後のコーヒー的なシアワセ」という雰囲気の、カフェ・アプレミディ直球ストライクの音楽だと思います。ぜひオープンテラスでお楽しみください。

Jason LaPierre『Jason LaPierre for Quiet Corner』

Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00



武田誠 Makoto Takeda

そのタイトルがしめすように、温室で植物を育むように大切に育てあげられたという、オーストラリアの女性シンガー・ソングライターmolly readによる4曲入りEP『Greenhouse』。英国トラッド・フォーク系からジョニ・ミッチェルまでをも想像させる、翳りを帯びたジャジーなテクスチャーをまとった70年代女性シンガー・ソングライター作品のような空気感を漂わせた本作、そもそもレコーディングという行為自体が温室で植物を育むこととどこか似ているのかもしれませんが、そんな彼女のこの内省的な作品に惹かれる理由は、光や空気や水みたいに、過去の音楽からの影響が、豊潤な果実を実らせるとてもよい栄養として与えられているのを感じるからなのかもしれません。
初秋の選曲は、鮮やかで清々しい色合いのモザイク画のピースに、落ち着いた秋色の色彩が少しずつ混じり合っていくような感じでしょうか。例えば、ブルックリンのJerkやフィラデルフィアのOrion SunのエレクトリックでメロウなアンビエントR&B、Joana Queiroz他からなるユニットQuartabêによるフォーキーなコンテンポラリー・ブラジリアン・ナンバーやLaufey「From The Start」のストリング・クァルテット・ヴァージョンなど、季節が移りゆくときに感じられるどこか懐かしく切なげな匂いをもった新曲を多く使えたこともよかったです。もう夏は終わったけど、楽しいことなんてひとつもなかったね、なんて寂しい想いを慰めてくれるように……ははは。

Jerk『Mood Swings』
Linda Carriere『Linda Carriere』
molly read『Greenhouse』
Quartabê『Repescagem』
This Is Lorelei『Box For Buddy, Box For Star』
sparklmami「Fajas」
Fabiano Do Nascimento & Daniel Santiago『Olhos D'​á​gua』
Paradise Cinema『returning, dream』

Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00



waltzanova

数年前から秋のセレクションでは、「50周年記念アルバム」というテーマでミニ特集を組んでいます。もともとはシンガー・ソングライター系のアルバムを中心に温故知新したいなという意図で始めたのですが、今年は1974年をリディスカヴァリー。すると、僕の大好きなレコードがどんどん出てきました。まずはケニー・ランキンの『Silver Morning』。言わずと知れた「Haven‘t We Met」収録の大名盤です。「usen for Cafe Apres-midi」チャンネルを象徴する名曲なので、やはりここは! と思いオープニング・クラシック、グレン・グールド奏でるスクリャービン「二つの小品 Op. 57 第2曲:舞い踊る愛撫」(凄いタイトル)の後に置きました。
毎年こうやって時代の変遷を追っていると、当然通時的な視点も生まれます。そこでの発見は1974年がエポックな年だということでした。それを証明する象徴的なアルバムを挙げると、ジョニ・ミッチェル『Court And Spark』と、シュギー・オーティス『Inspiration Information』でしょうか。前者はクルセイダーズのメンバーなど、セッション・ミュージシャンを起用して制作され、それまでのフォーク〜ロック的な流れとは完全に異なる印象をリスナーに与える作品となりました。今回、取り上げる曲数の関係でジョニは持ち越しなのですが(10月にはアーカイヴ第4集が出るようでこちらも楽しみ!)、次回セレクションでも1974年特集の続編をやりますので、ぜひご期待ください(ちなみにニック・デカロ『Italian Graffiti』もです)。シュギー・オーティスの『Inspiration Information』はソウル〜ファンク〜ブルースがスープのように溶け合っていますが、こってりしたものではなく白湯のようにまろやかなプレAOR的なニュアンスも感じられ、さらにベッドルーム・ミュージック的な要素やエクスペリメンタルなムードもある……。今は神格化されている名盤ですが、当時どのように受容されていたのか未だに気になります。今回入れた「Happy House」ってめちゃ名曲だ……! ということにも気づきました(笑)。他にも「Jamaica Song」でお馴染みのブッカー・T『Evergreen』、エリック・カズ『Cul-De-Suc』、ジノ・ヴァネリ『Powerful People』、リトル・ビーヴァー『Party Down』などなど。要はこの年にクロスオーヴァー化が一気に進んだというか、ロックやフォークがジャズやソウルなどブラック・ミュージックの影響を受けて一気に多様化、都会化したという印象です。一般的にはSSWの代表格と思われているジェイムス・テイラーの『Walking Man』なんかもそうですね。特にリトル・フィートの『Feats Don’t Fail Me Now』は、代表作とされる前作『Dixie Chicken』に比べグルーヴはより進化し、サウンド・メイクはより洗練されていて、今回聴き直して改めてヤバいアルバムだと思いました。クインシー・ジョーンズの『Body Heat』は、ブラックの側からのアーバン・ミュージックへの回答という感じですかね。クインシーの70年代前期のアルバムって、初めて聴いたときは「いまいちパンチがないなあ」と思っていたものでしたが、この年になって意味がわかるようになりました(笑)。

さて、新譜も大充実の今期でした。ザラ・マクファーレンのサラ・ヴォーン・トリビュート『Sweet Whispers: Celebrating Sarah Vaughan』がとても良く、選曲のインスピレイションになりましたね。特に「Tenderly」は「Early Autumn」的なイメージで役割を与えています。他にも良かった新譜/新曲はアルフィー・テンプルマン、ヌバイア・ガルシア、ヤズミン・レイシー&エズラ・コレクティヴ、レイラ・ハサウェイ、Catpack、エスペランサ・スポルティング&ミルトン・ナシメント、デロン・ジョンソン、マルコス・ヴァーリなど枚挙にいとまがないのですが、ベスト・オブ・ザ・セレクションには敢えてのロバート・ラム「The Rhythm Of Your Heart」を挙げたいと思います。きっかけは1974年のアルバム探しでした。「Suburbia Suite」にも掲載の『Skinny Boy』がこの年、「Love Song」以外にもいい曲あるんだよな……と探してみると、新曲も出ているとのこと。とりあえずと思い聴いてみると、これが素晴らしい仕上がりでした。というわけで今回エントリーしたわけですが、「ロバート・ラム? あのシカゴの?」と思われた方は騙されたと思って聴いてみてください、本当に素晴らしいですから。あと、アーカイヴという意味ではNumeroからリリースされたマーゴ・ガーヤンの3LPボックス・セット『Words And Music』も良かったです。マーゴといえばやはり『Take A Picture』がソフト・ロック~サンシャイン・ポップの名盤として知られているかと思うのですが、彼女が当初志していたのはジャズ。マックス・ローチやビル・エヴァンスがアイドルだったとのことです。その初期音源はブロッサム・ディアリーを思わせる可憐さなので、こちらもレコメンドしておきますね。

そういえば今回、ファラオ・サンダースをフィーチャーしたアリス・コルトレーンの名盤『Journey In Satchidananda』のタイトル曲を入れているのですが(もちろんUyama Hirotoの「Moon Child」絶品カヴァーと並べて)、これにまつわるエピソードを書いて今回の締めとしたいと思います。夏休みに入るかというある日、某アイドルのSNSを見ていたらアリス・コルトレーンのTシャツを着ている写真が。「ん? これは?」と思って調べてみたら、今期のSupremeのものだと判明。アリスのTシャツはなかなかないということと、20歳くらいのアイドルが着用しているというギャップも面白くて即購入でした(笑)。Early Autumn Selectionの時期はタイトルとは裏腹にまだまだ残暑が厳しいですが、音楽的にヴァラエティーに富んだ趣向を入れていますので、楽しんでいただけると嬉しいです。

Glenn Gould『The Glenn Gould Silver Jubilee Album』
Kenny Rankin『Silver Morning』
Eric Kaz『Cul-De-Suc』
Shuggie Otis『Inspiration Information』
Zara McFarlane『Sweet Whispers: Celebrating Sarah Vaughan』
Alfie Templeman『Radiosoul』
Robert Lamm「The Rhythm Of Your Heart」
Sebastian Mikael & Rapsody「Bymyside」
Lalah Hataway『VANTABLACK』
Catpack『Catpack』
Nubya Garcia『Odyssey』
Andrew Bird Trio『Sunday Morning Put-On』
Deron Johnson『Free To Dance』
Margo Guryan『Words And Music』
Charles Brown & Sleepy Creek『I Just Want To Talk To You』
Alice Coltrane『Journey In Satchidananda』

Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00


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