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DoA 子夏という男

 はい。
 TRPG『Dead or AliCe』の大規模セッション、8組16人が参加するトーナメント制デスゲームに参加しましたのでキャラメイク記事を書きます。
 ペア相手のえれくさんのキャラ、アーユスさんの記事はこれ。

 ぎりぎりまでマジで何も決まらなくてキャラデザをあほほど繰り返して没にしたし、何なら子夏の決定稿前ラフの下レイヤーには眼鏡でジャージの女が書かれてます。

 欲望としては、動かしやすくて扱いやすい、ついでにいうと自分が好きなタイプのキャラ、いわゆる性癖キャラというやつを作ろうと思ったんだけどそうするとよく迷子になるんですよね。

 DoAは童話モチーフのキャラをやるとよい感じになるシステムなので、とりあえず羅生門を下敷きにした石川賢の漫画からキャラを引っ張ってこようかなって思ったんですけど実家に漫画置いてきちゃったのでお流れになりました。

 で、とりあえず好みの見た目だけ作って設定を後乗せするかって作ったのがこれ。

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 つまんなそう。
 額が出てて黒髪で目がドブみたいな男が好きなのでそうしました。あと触覚を入れた。
 中国人のヤクザ? チンピラ? がなんかジャンパーを着てるイメージがあったので特に資料も調べずに描いたらめちゃくちゃでしたね。
 この時点ではほんとにやくざで、兄貴分を見捨てて逃げたことをトラウマにしてるキャラにでもしよっかな~って考えてたんだけど、また恩人を見捨てる男やんのかよ! って思って没にしました。まあセッション中にペア相手を二度も見捨てたんですけど……

 中華キャラが好きなので中華キャラにするか~→そういえば芥川龍之介に杜子春っていうちょうどいい中国の話があるし、それにしよ~→と思ったけど内容を覚えてない。仙人に弟子入りしようとして返されたことしか覚えてない。とりあえず読むか。

 書き出しから親の財産を食い潰して行くとこなくしてていい感じです。
 実のところペア相手であるえれくさんとはカスをやろうという話をしていました。親からの金を食いつぶした後、仙人に金を恵んでもらっては遊んで使い切っており、かなり(カスとして)好感が持てます。かなり良さそう。 
 このあとWikipediaを読んだところ、どうもこの芥川龍之介の杜子春は原作から改変が加えられているらしいということを知る。

 杜子春は死ぬほどざっくり言うと、青年が仙人に弟子入りして『何があっても黙っていること』を言いつけられ、ひたすら耐えていたが最後に声を発してしまい仙人になれなかった、というお話なのですが、大きな改変個所として、芥川版では両親が目の前でいたぶられ、母親の言葉を聞いて声を上げてしまうのですが、原作では女に転生させられて子供を産み、それを殺されたことで声を上げてしまっています。

 私は実のところ女体化がめちゃくちゃ好きなので、いいじゃん、と思って原作の方を採用しました。
 芥川版は母親からの子供への愛、それに対する子供の情愛が肯定的に描かれ、声を出したことで人間の心を喪わずに済み、めでたしめでたしで終わるのですが、原作は声を出してしまったことで仙人になることに失敗し、それを恥じて終わります。失敗して終わるところが良い感じです。

 DoAのPC、救世主は心の疵というものを武器にして戦うので、ふたつ心の疵の欄にどんな疵があるのかを書かなければいけません。異常性かトラウマです。
 というわけで、『こいつ何度も懲りずに人からもらった財産を使い潰してヤバ…』という気持ちを異常性・浪費癖として設定し、『仙人になれなかった、失敗した』という後悔をト ラウマ・大きな失敗として採用しました。カスの杜子春が爆誕です。

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 名前はそのままは躊躇われるけど、まあ繋がりは持たせたいということで子夏としました。そんなに考えてはないです、秋でも冬でも良かったけど、春の次が夏だから夏。
 現代人にしたので、現代の中国の人に倣って英名を名乗らせようと思ったんですが、しっくりこなかったのでやめた。

 最初の方はなんかいまいちよく分かんない男で、いざ喋らせてみたら最初の想定と全然違って、初期に描いたアイコンがほとんど没になりましたね(もう少しすぐ不機嫌になる男の予定だった)(いや実はけっこうすぐ不機嫌になってるんだけど、周りが子夏より強い人ばっかりだったので不機嫌を露にできる瞬間がぜんぜんなかった)
 本戦開始前にチュートリアルで初心者向けシナリオを遊ばせてもらい、ペア相手のアーユスさんとの模擬戦と駆け引きと経て、だんだんキャラを固めていきました。

 失敗の原因になった愛をくだらないものと思い、愛を捨てた男なので、必要とあれば阿諛追従するけど冷酷で、自分で手を下すような責任感もなく、他人を盾にしたり利用したり見捨てたりすることにも躊躇がない、というキャラクターです。
 デスゲームのトーナメントに参加して優勝すると、ひとつ願いを叶えてもらうことができるのですが、子夏の願いは『仙人になること』としました。
 う~ん、いい感じにカスになったな! あとはのびのびやってのびのび死ぬだけだぞ!



 はい。
 1回戦の最初の試合が終わって、アーユスさんと子夏のペアは初戦敗退となりました。
 
 仙薬を作ろうとした道士は、杜子春に三度金を施し、恩返しにやってきたかれに白い石薬を三つと酒を飲ませて、黙っているように命じましたが、杜子春が声を上げると炉は壊れてて周囲は燃えて儀式は台無しになっていました。
 道士が杜子春を単なる仙薬の材料にしようとしたのではないか、という見方もあるようです。
 不老長寿の薬、仙薬を練るための儀式には失敗した子夏ですが、堕落の国でめでたく願いを叶える儀式の礎となって、捨てられていきました。

 愛によって失敗したから愛を棄てようとした男は、つまり最後まで愛を棄てられなかった男であって、幻であってもその愛は男を蝕み続け、最後に死すら選ばせたのであります。
 ただそれは、本人にとっては案外悪くなかったとも思います。
 黙って見ているだけで、後悔をしたまま終わらずに済んだので。

 杜子春の翻訳は以下から読めるのでどうぞよろしければ。


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