策士・新庄剛志

 ビッグボスこと新庄のコメントを監督就任以来ずっと見ていますが、「この人エンターティナーというより、策士だ」と強く思っています。そのことを書いていきます。

 まず、監督就任時「背番号1は僕が着けます」と言ったのですが。細かく書くと、

 >僕のイメージっていったら、やっぱり1番じゃないですか。1番をつけたいという気持ちもあるんですけど……。やっぱり主役は選手。スター候補を育てて、その子に1番をつけてほしい

 とあります。つまり、「日本では選手が一ケタの番号を着けるのに、監督が一ケタの番号を着けるのはおかしいよな。悔しかったら俺から背番号1を取ってみろ」という選手への挑発なんですよね。この挑発に乗って、「新庄監督から背番号1を取ってやる!」と発奮する選手が出たら、安いものでしょう。

 新庄は「来季は最低一回は一軍で使う」と明言しています。これは「一回のチャンスでレギュラーを取れたらいいし、もし取れなくても『華やかな一軍でプレーしないとプロじゃない』と二軍で張り切って試合や練習に取り組んでくれたらいい」という意図だと思うのです。人間手に届く目標があった方が頑張れるので、ファイターズの若手にとってはいい発奮材料になるでしょう。

 プロなので全員がスターになるわけではなく、戦力外になる選手もいるわけです。そのとき「一度でも一軍でプレーできた」という思い出を作って現役を終えて欲しい。という新庄の親心も透けて見えます。

 新庄は「4-3で勝つ野球が理想」ということも言っています。ある本で、「プロ野球の歴代全公式戦のスコアを調べてみたら、4-3や3-2の決着が多かった。プロ野球は4点以上取られたら不利になる競技なのだから、守備を強化した方が勝利に近づける」とあったからです。

 「4-3」というのは、「今季12チーム中11チームがチーム防御率三点台を挙げているから、相手を3点に抑えるのは難しくない。あとは4点取るだけ」とわかりやすく勝利への道筋を示しているんですよね。これだけわかりやすいと、新庄以外のコーチ、選手もやりやすいでしょう。ここまで計算している新庄はさすがです。

 中学時代サニブラウンに勝つほど足は速いのですが、今季は1HRしか打っていない五十幡を四番で使い、強打者を六番に置くと新庄は言いましたが、一見突飛なようでそうではないと思うのです。数年前まで二番に強打者を置くという考えはなかったでしょう。打順の組み方なんて、時代が経つに連れて変わっていくので、数年後は俊足の選手が四番を打ち、強打者が六番を打つのが珍しくなくなっているかもしれません。

 僕が日本の野球に物足らないのは、ショートスターター(オープナー含む)、強打者二番など戦術はMLBのマネばかりで、日本オリジナルがないことです。もし俊足四番、強打者六番がMLBに輸出されたら面白いと思いませんか?

 ファイターズは三年連続Bクラスと低迷しています。だから来季の期待は薄いチームと言えます。逆に言えば実験しやすいチームなので、来季は新庄実験室と言っていいぐらい思い切った野球をするのでは?と思っています。それを見ることはワクワク感しかないですね。日本野球に新しい風というか、一変させる暴風を吹き起こしてくれるのでは?と期待しております。いっそのこと宗旨替えしてファイターズファンになろうか(コラ)

追記 監督というと、「品行方正でしっかりしたおじさん」というイメージがありますが、そのイメージとは真逆の「チャラくて選手よりモテそう」という人が指揮を執ってもいいでしょう。12チームもあるのだから、1チームぐらい異端児がいてもいいじゃないですか。

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