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企業においてダイバーシティは必要なのか?

本記事はiCARE Advent Calendar 2024の12日目の記事です。

iCARE公式ブログをご覧のみなさん、おはこんばんちは。この季節になると、押しも押されもせぬクリスマスソングの代名詞『クリスマス・イブ』を生み出した山下達郎さんと、ケンタッキーフライドチキンのCMソングでお馴染みの『すてきなホリデイ』を生み出した竹内まりやさんのお宅では、一旦どんなクリスマスソングが流れているのかが毎年気になってしまう中野雄介です。

さて今回は、最近頭の中をぐるぐる回り続けているものの、難しい話題すぎて自分の「キャパシティ」を優に超えていると感じる「ダイバーシティ」について一筆執ってみようと思います。


一進一退を繰り返すダイバーシティ

昨今、ダイバーシティ文化を牽引してきたアメリカで、DEI(Diversity:ダイバーシティ、Equity:エクイティ、Inclusion:インクルージョン、の略)重視の文化が逆風にさらされています。アメリカ大統領選挙でトランプ次期大統領が当選をしたことを受けて、小売大手のウォルマートや自動車メーカーのフォードでは多様性重視の取り組みを縮小していくといったニュースを目にしました。

歴史上重要な概念ほど社会的な促進と抑制が振り子のごとく揺れ動くものであり、時代によって一進一退を繰り返すのが世の常ですが、諸外国然りアメリカという国では、多様な人種が存在する故に多様性は不可避な論点であり、ダイバーシティというトピックスがアメリカという国にとってそれだけ大切なものであることを物語っていると感じます。

他方、日本においては、これまでの日本特有の同質性の高さから、諸外国に比べてこれまでダイバーシティの議論は遅れ気味だったわけですが、ダイバーシティという言葉や概念は昨今広がりを見せています。その証拠に、女性管理職比率や男女賃金格差といった人的資本情報の開示義務の対象企業が拡大している社会的な潮流が代表的な例として挙げられます。また、働き手の多様化も進んでいて、女性や外国人、高齢人材などの社会参画がもはや当たり前になり、職場における同質性も昭和の時代に比べて大分薄くなってきています。

加えて、インターネットやSNSの影響によって様々な情報や考え方を獲得しやすいことから、多様な価値観を持つ人が増えていて、だからこそ無自覚で無意識な思い込み(アンコンシャス・バイアス)が生まれやすい時代でもある。属性の多様性だけではなく、価値観の多様性も益々広がっていく複雑性を帯びた時代を生きているのだと自覚しています。


企業においてダイバーシティは必要なのか

そういった社会の中で、企業としてダイバーシティに取り組む必要はあるのか?という問いに対して、2つの理由から個人的には必要だと考えています。

多様な人材を受け入れ、多様な人材から共感を集められる組織づくりが事業成長には不可欠だから

先述の通りの時代や社会の中で、その状況から人を採用することで事業成長を目指していくのが現代の企業なので、事業成長を志すのであれば自ずと多様な人々を受け入れていかないといけない。さらには昨今の人手不足社会の加速も相まって、多様な属性・価値観を持つ社員たちを受容し、その社員たちからの求心力を高められる組織づくりをしていかないと、事業を進めるための遠心力が働いていかない。

だからこそ、企業として事業を成長させて、市場の中で生き残っていくための戦略として、やはりダイバーシティへの取り組みを進めなければならないと考える理由の1つ目です。

自分たちのパーパスやビジョンが描く世界観が多様性に富んでいるから

もう1つの理由としては、自社のパーパスやミッション・ビジョンを実現するための事業やサービスを届けるユーザー自体がすでに多様性に富んでいるため、企業としてはユーザー理解の観点からダイバーシティに取り組む必要があるのではないかという点です。

自分たちの会社が実現したいパーパスやミッション・ビジョンの世界観に登場する顧客やユーザーはどんな人たちだろうか?と思い浮かべてみると、おそらく多くの企業において多様な人々がいることに気づけるはずで、より多くの人たちに事業を通して価値を届けようと思えば思うほど、多様性溢れる世界とそこにいるユーザーを理解する必要があって、ダイバーシティを理解せずに良い事業やサービスは創り得ないはずなんです。

故に、ダイバーシティを理解する土壌として自分たちの組織の多様化が不可欠だと考えています。また、多様性のない組織ができてしまうと、多様性の観点から欠落した視点や意見を残したままサービスを創ることになってしまい、多様性溢れる社会には通用しないサービスが生まれてしまい、引いては事業成長に繋がらないという顛末を迎えてしまうことにもなり得ます。

そういう意味で、自分たちのパーパスやミッション・ビジョンが多様性に富んでいるのであれば、自分たちの組織にも多様性を受容し、それを理解するためにダイバーシティに取り組むべきではないかと個人的には思っています。


iCAREでのダイバーシティへの取り組み

iCAREでも今年5月から本格的にダイバーシティへの取り組みを始めました。

基本的な方針

まず前提として、「iCAREの中では、多様性は受け入れるものである」という絶対的な方針が根幹にあります。逆に言うと、多様性を排除するような言動や行動は誰でもあってもiCAREでは許容しないということです。ただし、これは職域においてであり、プライベートでの一個人としての価値観や考え方をすべて変えなさいと要求するものではありません。あくまで、「iCAREのメンバーとして働いている以上はそういった多様性は受け入れてもらいます」という意味合いです。

加えて、働いて成果を出したり活躍していくために努力する中で、それらを阻む働きづらさとか生きづらさを無くしていく、改善していくことも基本方針のひとつとしています。例えば、年齢や性別、国籍や信条、境遇やバックグラウンドなど、働いて成果を出す上で基本的に関係のないものから発生する働きづらさや生きづらさを防いでいくことで、誰もが成果を出すことに集中し、活躍することにひたむきになれる環境を創りたいと思っています。

LGBTQ+に対する表明と行動ガイドライン

そういった中で、最初に「LGBTQ+に対する表明と行動ガイドライン」を公開しました。女性社員や子育て社員、外国人労働者や高齢労働者など、様々な属性がある中でLGBTQ+労働者から取り組み始めた背景としては、集団やコミュニティの中におよそ10%存在すると言われており、尚且つ最も目に見えず気づきづらい属性だからです。

そういったLGBTQ+労働者が働きづらさや生きづらさを感じることなく、安心して自分らしく活躍してもらうために、対象の方々に対する向き合い方、比較的短期で取り組める施策、中長期で取り組んでいきたい施策に分けて会社としての意思表明をしたつもりです。

この半年間で行ってきたこと

そのガイドラインに従って、この半年間では下記のことを実践してきました。まだまだ改善事項もありますが、少しずつ環境改善が漸進していっていると感じています。

  • 部長やマネージャー等への研修

  • DEI委員会の発足と月次での定例活動

  • 健康診断時にジェンダーフリーで利用できる更衣室や多目的トイレが利用できる配慮

  • 規程類の見直し

    • 例:慶弔見舞金規程内で「同性婚・事実婚も見舞金受給対象とする」ことの明記

今後も上記の施策を進めると同時に、女性社員や子育て社員、外国人労働者や高齢労働者などの属性についても、それぞれの方針表明と具体的な環境改善を行っていきます。十把一絡げに方針を打ち出すことも一案とは思いますが、ことダイバーシティにおいては具体性こそが肝要であると考えていて、各属性ごとに具体性の方向が異なるため、ターゲットを決めてひとつずつ順番に進めていく予定です。

ということで、最後はお決まりのやつ

つらつらと書き綴ってまいりましたが、そろそろお別れです。ダイバーシティ溢れる組織が企業には必要だと考えていること、iCAREのダイバーシティが徐々に芽吹いてきていること、そして貴方がこのブログをここまで読んでくれているということ。これらが何を表しているかは、もう言わなくても伝わりますよね。さあ、勇気を持って、どうぞこちらへ。

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