wf-1000xm4とnothing ear(1)
音楽との付き合い方って人それぞれだと思うのですが、ワイヤレスイヤホンの登場は「ながら聴き」を促進させたんじゃないかと思います。
Jabra 65tを皮切りに、いくつかのワイヤレスイヤホンを試したけれど、没入感と「ながら聴き」は矛盾する要素のはずで、利便性と「ながら聴き」に特化し音質をスポイルした(と言っても高水準にまとまってはいるのだけど)Air Pods Proの爆発的なヒットは、逆に「音質へのこだわり」派の「もっといい音をワイヤレスで聴きたい」という欲求に火をつけた。
そういう、市場の相互互換的なことが起こっているワイヤレスイヤホン界隈は見ていてとても楽しい。けど、片っ端から確かめられるような財力は僕にはないので、それまでいくつか購入していたワイヤレスイヤホンを一旦整理して、改めて購入したのがこのwf-1000xm4でした。ちょうど購入から1年経ったのでちょっとまとめてみたいと思います。
元々wf-1000xm3を愛用していて、音質には大変満足していたけれど、二大不満点だったケースがデカくて自立しないこと、若干接続が不安定であることが改善されていると聞いて思い切って買い替えた。
音質は流石の一言だけれど、m3と比べて低音がちょっとおとなしめになった印象。
ノイキャンすごい。一瞬で静けさに包まれる。ケースは分厚さはあるけれど、ポケットに入れていても存在感がそこまで無いくらいにはコンパクトになって持ち運ぶ時の心理的ハードルは感じなくなった。あとケースの手触りがサラサラしていて高級感がある。
音質の向上にはこの独特な素材のイヤーピースが一役買っているのだけれど、一度手で「ふにっ」と潰してからでないと耳に入れられない上に、耳の中で膨らんでなかなかの存在感がある。これは苦手な人は苦手だろうな。この「装着前の一手間」と「イヤホンとしての耳の中での存在感」は、デメリットとして語られることが大きけれど、ある種この聴くまでの手続きと物体としての主張が「さあ、音楽を聴くぞ」という気持ちを盛り上げてくれるところもあるんじゃないかと思う。先ほど述べたように「ながら聴き」が主流の今、「いい音を出すオーディオ機器が欲しい」と思っている人たちというのは、その程度の手続きと存在感なんて意に介さないのではないか。
対して、nothing ear(1)はその尖ったプロダクトデザインとは裏腹に、さまざまな要素をバランスよくまとめたモデルだと思う。まず目を引くのはやはりそのスケルトンデザインだけれど、ノイキャン・外音取込み・ワイヤレス充電・イヤホン単独による音量調整という痒い所に手が届く機能性(マルチポイントがあれば完璧だったけれど、この価格帯でそれは贅沢というものですよね)。カナル型だけれど装着感も軽くて、ちょっと音楽聴きたいな、それこそ「ながら聞き」したいな、というときに使っています。動画見たり、ラジオ聞いたりという音楽以外の用途で使うのも、もっぱらこれです。あと、アプリのアップデートに伴って最近音質が良くなった気がするんですが、気のせいですか?
こんなふうに複数持って使い分けたり、それぞれの「クセ」を楽しんだりすることができるワイヤレスイヤホンというガジェットがとても好きなのだけれど、そろそろ機能面や音質面については進化し切った感じがあって、あとはブランディング合戦になっていくんじゃないでしょうか。なんか、そうなっちゃったコンテンツって個人的に少し興味を削がれちゃうんですよね。スマホもそういう道を辿っているけれど。
あと数年はこの二つを使い分けながら音楽を楽しみたいと思います。使い果たします。
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