【04/25更新完全版】青黒ローグガイド [パイオニア・エクスプローラー]
(閑談が多いのでリストや採用理由だけ知りたい方はデッキリストの項目まで読み飛ばしてください。)
はじめに
こんにちは、青黒フリークです。ほぼすべてのフォーマットで青黒カラーのデッキを使っています。
《思考囲い》で相手のゲームプランを崩壊させるのは心が踊りますよね? 1マナの《呪文貫き》で7マナの《出現の根本原理》を打ち消したときは絶頂を覚えますよね?
僕はそんな成功体験に脳を焼かれた成れの果てです。
今回は、かつてスタンダードでも活躍した青黒ローグの解説記事です。
スタン当時から回していた上、低マナと高マナを交換し続ける快感が忘れられず、パイオニア・エクスプローラーでもそこそこ使用していた狂人なので、青黒ローグへの理解度はそこそこだと自覚しています。
ただ、ぶっちゃけて言うと青黒ローグ、苦難の道です。
それでも俺は《思考囲い》と《呪文貫き》が使いたい!うるせえいこう!と声を大にして言える人にのみ道を開けます。よろしくお願いします。
なぜ今ローグなのか
パイオニアとエクスプローラー、うっかり通ったら死ぬカードが多すぎる!!!!!!!!多様性に満ちた死!!!!!!!!!!!!
すべてのデッキタイプに対応するなら?
そう、青黒です。
青黒というカラーリングはハンデス打ち消し等、ありとあらゆる妨害手段が豊富に存在します。そのため、理論上はすべてのデッキに太刀打ちできるはずです。
パイオニアで一世を風靡した《真実を覆すもの》《タッサの信託者》コンボよろしく、細部で相手に対応し、デッキコンセプトを押し付けることができれば無敵のはずです。
現在、パイオニア・エクスプローラーにおいて青黒カラーのデッキタイプは、コントロールとローグの二つに大別されると思います。
コントロールは受け一辺倒でアベレージヒッター。一方のローグは最大値に重きを置いた選択だと考えています。
環境においては、カードプールの都合押し付けカードが強く、強力な受けカードが極端に少ないため相手の攻め筋を受けきれない印象が拭えません。
あれ?????
パイオニア・エクスプローラーでは3マナの呪文が強く、万が一にも通してしまえば大勢を決するカードで溢れかえっています。それにも関わらず、確定カウンターは3マナからの《取り消し》派生タイプです。
これでどうやって戦うねん。
2マナのソフトカウンターは数あれど、強いのは《検閲》ぐらいで、あとは後腐れが残るものばかりです。
とどのつまり、完全に受けに回るコントロールは厳しいという考えに至りました。受けのゲームができないのであれば、ある程度素早くゲームを畳むのが寛容です。その点でローグに軍配が上がります。
悪いことばかりではありません。新カードに押し付け要素が強い傾向ならば、ローグも例に漏れません。
《ヴェールのリリアナ》の再録、後述する《完成化した精神、ジェイス》はローグにとって素晴らしい働きをします。これらは、青黒ローグを一段回後押ししました。
結論として、下環境で相手にそこそこ対応しながら食べていくためには、都合良くブン回って押し付ける必要があるよ!という話です。そしてそれを実現するには青黒ローグが良いのかもしれません(?)
ローグデッキのコンセプト
二色である理由
プレイするカードの都合上1マナ2マナのスペルを連打するためマナベースへの負担が大きいです。
すべてのターンにすべてのマナを費やさなければデッキパワー的に厳しく、三色にした場合はタップインが多いため、特有のソリッドさが失われてしまいます。
ゲーム観
低コスト呪文で小回りを利かせつつテンポの有利を取り、ローリスクミドルリターンを繰り返すのがローグのプランです。《盗賊ギルドの処罰者》《空飛ぶ思考盗み》《湖での水難》の三種類がこれを支える根幹であり、またローグを使う所以となっています。
デッキリスト
青黒ローグの流派
主にクロックパーミッション型とミッドレンジ型の二つに分類されます。
ミッドレンジ型の主な特徴としては、「相手の墓地をが8枚以上である」ことによるバリューカードの不採用で《盗賊ギルドの処罰者》《空飛ぶ思考盗み》以外の採用が見られません。低マナで完結しているパーツのみが採用されている、青黒ミッドレンジと表現するとピンと来るでしょう。
メインボードから《夜鷲のあさり屋》や《漆月魁渡》、リストによっては《黙示録、シェオルドレッド》等のパワーカードを盛り込んだ形で、プランに一貫性がありクセもなく使いやすいです。
ミッドレンジ型は、「すべてに対応しながら押し付ける」コンセプトの「押し付け」の部分に重点を置いています。基本的には自分と相手で攻め合う形になり、ゲームにおける致命的な一打を細部の《湖での水難》等でバックアップする構造になっています。
欠点としては、後述するクロックパーミッション型に比べて柔軟性に乏しい点、他色のパワーカードミッドレンジに一枚の質が明確に落ちる点だと認識しています。
当記事ではクロックパーミッション型について掘り下げていきます。
[04/25]リストアップデート:《スカラベの神》→《シェオルドレッド/真実の経典》
(エクスプローラーのファイルは英語でインポートしてください)
パイオニア・エクスプローラーのリスト差異
パイオニア↔エクスプローラー
《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》↔《島》
一見意味不明に見えますが、両面ランドがあるためパイオニアのみにしか存在しない《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》を採用
《減衰球》↔《スカラベの神》《シェオルドレッド/真実の経典》
パイオニアのみに存在するロータスコンボ対策で《減衰球》を採用
クロックパーミッション型の特徴
端的に、クロックパーミッション型の長所はシナジー形成による噛み合いの強さ、短所は一枚で見たときのカードの貧弱さです。
「すべてに対応しながら押し付ける」コンセプトの「対応」の面に重点を置いており、低マナ域で相手との一対一交換を繰り返しながらバリューのあるカードでリソースを回復させる構造です。
「すべてのデッキに4割5分」という意味では、かつてのジャンドの源流を汲んでいます。一枚あたりのパワーは全然ないけど。
欠点としては、ミッドレンジ型に比べてパワーカードの枚数が少ない点、要求される事前知識の量や、膨大な選択肢から正確なプレイを導く必要がある点など、すべてのゲームがシビアです。デッキの最大値と対応力がトレードオフの関係になっています。
そこで、条件付きのズバ抜けたパワーカードを利用してゲームを組み立てようとしているのがクロックパーミッション型を使う理由になります。
下準備が空白のアクションにならない点、また奇襲性が高い点がクロックパーミッション型青黒ローグの最大の強みです。
マリガン方針としてバリューカードとそれを成立させるメインギミックのカードをかき集めましょう。
メイン
ローグ固定パーツ:16枚
《盗賊ギルドの処罰者》:4
メインギミックに絡んだクロック兼除去です。とても軽く、潜在的にゲームを早く畳む力が一番高いのでコンボ相手に超重要です。相手の墓地が充分に肥えていた上でバリューカードを多くハンドに含んだ場合、1マナの擬似除去として切る選択肢があることを忘れずに。
《空飛ぶ思考盗み》:4
メインギミックの目的を達成する上で重要なクロックです。相手のタフネス1のクリーチャーを瞬速で狩れますが、半永久的に墓地肥やしをしてくれる稀有なクリーチャーなため除去されたときのリスクを検討した上でキャストしましょう。《盗賊ギルドの処罰者》より重要度が高い傾向にあります。
《湖での水難》:4
ほぼ全てに対応しうるカード。単体のパワーで負けている青黒ローグにとって確実に一対一交換がとれるローグの立役者です。墓地を肥やす手段に欠けたハンドの場合、前半で打てずテンポロスしてそのまま負ける展開が散見されましたが、《完成化した精神、ジェイス》の加入によって、安定してプレイアブルになります。
《完成化した精神、ジェイス》:4
"ファイレクシア:完全なる統一"での最大の収穫。2枚から始めて、3枚になり、順当に4枚になりました。手で重ね引いても、[-X]からキャストして、[-3]の条件達成に貢献できるので多ければ多いほど良いと考えています。
[+1]能力の修正も青黒ローグには相当染みます。
ローグというアーキタイプが日の目を浴びた理由はおそらく《完成化した精神、ジェイス》でしょう。それにもかかわらず、ミッドレンジライク構成でしか試されませんでした。最近では《漆月魁渡》が優先され、主流のミッドレンジ型ではリストから抜ける傾向にあります。これには完全に同意で、[-2]能力を上手く使えない構成であればこのカードはリストから全て抜くべきです。
ただしあなたがクロックパーミッション型を使いたいのであれば4枚投入してください。
除去
《致命的な一押し》:4
基本的に紛争は達成しません。《完成化した精神、ジェイス》《ヴェールのリリアナ》のマイナス能力で稀に紛争する程度です。
《ヴェールのリリアナ》;2
3マナ以上のクリーチャーをクリアしつつ[+1]で相手の墓地も肥やせる優れものです。《砕骨の巨人》《墓地の侵入者》等で布告が活きるのも偉いポイント。一対一交換を約束しつつ、それ以上のバリューを取りうるポテンシャルを秘めています。環境が低速化するのであれば増量を検討します。
妨害
《思考囲い》:4
ほぼ無論です。ハンデスについての記事を読みましょう。青黒で使うとライフが痛いのでそこを含めてのプランニングが求められます。
《呪文貫き》;3
泣く子も黙る2マナ要求カウンターです。小さく細かく動くローグにとって、スペルは軽ければ軽いほどいいです。環境がアンフェアに寄ったら増やしましょう。
ローグ専用バリューカード
環境による影響が大きく、枚数が大きく変動します。
《トリックスター、ザレス・サン》;2
ローグ専用のイージーウィンスロット。フェアだろうがアンフェアだろうが、決まれば一瞬でゲームに蓋をすることができます。土地とクリーチャーとカードの要求枚数も少なく済むため、マリガンに弱いローグにとってゲームを巻き返せる唯一無二のカードです。
《凪魔道士の威圧》;2
クロックパーミッション型専用。先行研究を調べても誰も入れてないカード。個人的な意見として、フェアデッキ相手に真っ向から相撲するために必要です。《鏡割りの寓話》一章のゴブリントークンを返しで打てると嬉しい。二色であることの意義の一つ。
《物語への没入》;1
かつては誰もが知るローグ専用のドローソースだったカード。クロックパーミッション型においては、《完成化した精神、ジェイス》が墓地肥やし・リソース回復その両方を担える八面六臂の大活躍なため、今はその座を奪われがちです。ラクドスのような横綱相撲系男子が環境に増えれば枚数が1枚増えるかもしれません。
ユーティリティ
《厚かましい借り手》;1
《鏡割りの寓話》のゴブリントークンを飛ばしたり、テンポを取り返せるカード。《トリックスター、ザレス・サン》との相性もバツグンです。3マナ3/1のクロック要因でもあるので、概ね1枚以上は絶対に採用します。
もうどうにもならんときの保険
《激しい恐怖》;1
横綱相撲系男子にテンポもボードもひっくり返すための奥の手です。メインに入れるか疑わしいですが、状況を打破できるカードがデッキに1枚は欲しい個人的な信条で入れてます。
土地:24
《変わり谷》:1
2アクションできなかろうが、《凪魔道士の威圧》が打てなかろうが、泣こうが喚こうが、絶対に1枚は入れる24枚目の土地です。
なぜ笑うんだい?彼もならず者だよ(ロードで+1修正できたりザレスサンの素材になります)。
《ストーム・ジャイアントの聖堂》;2
《目玉の暴君の住処》;2
マナフラ受け+クロックのミシュラランドです。純粋なパワーとしては《目玉の暴君の住処》≧《ストーム・ジャイアントの聖堂》。
《凪魔道士の威圧》採用の有無、環境の墓地利用で枚数が変動します。
聖堂1枚・住処3枚の比率でも良いかもしれません。
サイド
環境によって変動が激しいため枚数は記載しません
《強迫》
《思考囲い》の追加。アクティブなゲームプランに貢献します。
ソーサリーアクションのプレインズウォーカー特に[+1]能力と相性の良い《ヴェールのリリアナ》と合わせるなら、打ち消しよりも優先されるでしょう。
《塵へのしがみつき》
《パルヘリオンⅡ》デッキ、《死の飢えのタイタン、クロクサ》対策です。青白コントロールのようなリソースゲームでじっくり戦う相手にもリソース手段として入れることがあります。
《真髄の針》
一番は《未認可霊柩車》対策です(N敗)。誰か助けてください。
《シェオルドレッドの勅令》
1対1交換をするコンセプトで互いにカードを消耗し合う展開になるので、根絶やしにする裏目の少ない除去として採用するのであれば複数枚入れましょう。横並びデッキには弱いので、環境によっては他の確定除去と使い分けましょう。
《風化したルーン石》
セレズニアエンジェル、パルヘリオンを主な相手としてサイドインします。《異形化》には効きますが、《不屈の独創力》には効きません。
《トリックスター、ザレス・サン》・《スカラベの神》とアンチシナジーなので気をつけましょう。《耐え抜くもの、母聖樹》で割られるので過信しないように。
《夜鷲のあさり屋》
ミッドレンジ型ではメインボードを張る優秀なローグの一体。対アグロでの殴り合いに滅法強く、コンボ相手の追加クロック等、様々な役割を担えるカードです。サイドボードの読み合いで戦略に幅が生まれます(強い相手には効きません)。
1マナの差があまりにも大き過ぎるため《黙示録、シェオルドレッド》よりも優先すべきという持論があります。ただし3点火力には弱いため、環境によって優先度も変動する可能性はあります。
《激しい恐怖》
メインボードの追加です。世にも珍しい部族が上手く使えるスイーパー。メインボードに一枚採用しているならば《絶滅の契機》でも良いかもしれません。
《凪魔道士の威圧》
メインボードの追加です。
《スカラベの神》 ラクドスミッドレンジ相手の最終兵器。破壊除去に強い。もうどうにもならないときにも入れます。
→《シェオルドレッド/真実の経典》に変更
《スカラベの神》よりも即効性が高く、デッキに合っています。無傷で帰ってきたときのリターンもこちらの方が大きいのでこちらに差し替え。
《減衰球》
ロータスコンボ対策として。
採用が検討されるカード/採用されなかったカード
《フェアリーの黒幕》
ローグカウントにはなるものの、《トリックスター、ザレス・サン》のバリューを達成するためには結局別のカードが必要になるため、単体での性能は低め。《鏡割りの寓話》に強いメタカード的な立ち位置だと考えています。メインに入るとすれば1枚程度、サイドに数枚入る余地はありそうです。
《勢団の銀行破り》
搭乗することでバリューが出るリソース回復手段という印象です。強いカードではあるものの、クロックパーミッション型においては搭乗コストが思っている以上に重いので不採用です。ミッドレンジ調のデッキリストには合うかと思います。
《漆月魁渡》
青黒の3マナプレインズウォーカー。出した次のターンからは基本的に[+1]能力によってリソース回復手段になります。丸いもののバリューも少なく、パワー不足感が否めません。
[-2]で出るトークンがならず者であれば……
《アモンケットへの侵攻/ラゾテプの改宗者》
《完成化した精神、ジェイス》と比較して、ボードへの圧が足りない上、1ディスカード1ドローに旨みがないように感じます。守備カウンターもローグの打点では落としづらく、頑張って裏返しても労力に見合ってません。自分の墓地のクリーチャーをコピーしたいとは思いませんし、相手の強力なクリーチャーをコピーしたいのであっても《トリックスター、ザレス・サン》に優先する理由がないでしょう。
にっき
青黒ローグっぽいベースを買いました(照