【NYSE】ウェルタワー、分配金利回り7%超 分散先に魅力
ウェルタワー【NYSE:WELL】は、病院や高齢者施設を保有するヘルスケアREITです。IT株ではありませんが、昨今のコロナショックで基準価額が下がり、配当利回りが7%超に高まっていて投資分散先として魅力があります。またIT技術を積極的に導入していて、IT企業への投資家にとっても魅力の高い銘柄となっています。
ウェルタワーは純資産総額(時価総額に相当)約2兆1000億円の巨大ヘルスケアREITで、S&P500採用銘柄です。米国を中心にカナダ、英国に病院、高齢者施設を保有しています。下の地図は同REITの高齢者施設のマッピングですが、たくさんありますね。
米国でも増える高齢者
2019年時点の米国の80歳以上の人口は1290万人いて、これが2024年には1510万人、2029年には1890万人になるそうです。米国では2010年に9.9%だった高齢者施設の普及率が2019年には10.5%になったとのことで、この事実だけでも需要が湧いてくるイメージが浮かびます。
ウェルタワーの病院不動産には、いくつもの巨大病院グループが入居しています。このため、ウェルタワーは米国全体の医療政策の実務を担っているようなところがあります。米国では1人当たりの医療費が高い割にOECD平均よりも出生時平均余命が低く、医療の効率化が課題になっています。急性期病院→ポスト急性期病院→高齢者施設というように、患者の健康状態に応じた適切なすみ分けができるような病院立地を整えるようなヘルスケア不動産再開発をしていて、同社は「成長余地が大きい」としています。
ポートフォリオ分散
稼働率は高齢者施設も病院も85%前後で安定しています。面白いのは、組み入れる物件についての需要調査。大規模なシステムを導入していて、全米を820万のセルに分け、周辺住民の支払い能力や心理的なニーズの高さをマッピングしていることです。街の経済状況だけではなく、ライフスタイルなどから心理的なニーズまで把握しているところがすごいところです。
また、ポートフォリオをうまく分散していて、各不動産からの収益の相関係数が高くなりすぎないようにしています。下のチャートでは、全体的に緑色になっています。各不動産の収益の相関係数が低いことを表しています。すべての不動産の収益が一斉に悪くなることがないということですね。まぁ、飽くまで数字上の話ではありますが、こういうポートフォリオの哲学をIR資料に示しているのは面白いなと思います。
市場の目標株価は80ドル超
言うまでもなく、ヘルスケア分野は景気に収益が左右されにくいディフェンシブです。分配金利回りはこの10年、増配はしても減配していません。アナリストによる基準価額のコンセンサスは86ドル。50ドルを少し上回るくらいの現在は割安に感じます。コロナショックで変動が激しい相場ではありますが、長期的な観点からすれば、私には魅力的に感じられます。
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