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【NYSE】ルビコン、Googleの未来のライバル※現マグナイト(MGNI)

ルビコン・プロジェクト【RUBI:NYSE】は、インターネット広告枠の世界的な「取引所」と言える企業です。メディアやアプリ運営者が持つ広告枠を高く買う広告主を探してくる役割を担い、独立系の広告枠取引所としては世界最大手です。Googleの未来のライバルになるかもしれない企業です。

広告枠の新しい「取引所」

インターネットやアプリ、動画コンテンツなど様々なメディアの広告枠は、オークションによって売買されています。これまでオークションを行う取引所はGoogleでした。メディアは、Googleにリクエストを流して、もっとも高い値段で広告枠を買ってくれる広告主に枠を売るのが主流でした。最近主流となっているのは「ヘッダービディング」というシステムです。

文字通り「先頭(ヘッダー)に入札(ビッド)する」という意味で、Googleに広告主を探すリクエストを送る前に、ヘッダービディング取引所にリクエストを送り、オークションにかけます。その後、Googleにリクエストを送り、両者を比べて高い広告主を選びます。これによってGoogleに支配されないオークションが実現されます。Googleの仕様変更やトラブルで広告の収益性がガタ落ちするといったリスクから身を守ることができます。

広告枠の収益性2倍~3倍

ヘッダービディングはオークション方式がこれまでの方式とは根本的に異なり、より高くお金を出す広告主を選びやすくなっています。私のざっくりした理解ですが、これまでの方式は、あらかじめ自分の中で最低価格を決めておき、順番に広告主に出せる価格を聞き、最低価格を上回った広告主に広告枠を売ります。一方でヘッダービディングは、オークション会場さながら同時に値段を挙げさせ、最も高い値段を出した広告主を選びます。ヘッダービディングを導入することで広告枠の収益性は2倍~3倍になるケースも珍しくないようです。

ルビコン・プロジェクトのトム・カーショーCTOは「ヘッダービディングはGoogleのエクスチェンジビディングと、プレビッド.orgの2陣営に集約されつつある」と話しています。プレビッド.orgは、ルビコン・プロジェクトも設立メンバーの1社であるオープンソース陣営であり、ルビコンはこの陣営の中の最大手なのです。広告枠の売主は、Googleに生殺与奪を決められたくないため、多くの場合、Googleとプレビッドを並行して導入するようです。大げさな言い方をすれば、Googleの独壇場だった広告市場に破壊者が現れたと言えなくもないかもしれません。

1ヵ月に12兆回の入札

ルビコンの顧客にはCNNやFOX、スポティファイなどそうそうたるメディアが並んでいます。100万以上のウェブサイト、6万以上のアプリが顧客になっているとのことです。ルビコンでは1ヵ月に12兆回もの入札が行われ、1秒間に50万回もの広告が表示され、その広告を見ている人は世界で10億人いるそうです。広告の取捨選択もサービスの1つで、200億もの不適切広告がブロックされています。

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テラリアと4月合併

ルビコンは、動画広告関連企業のテラリアと早ければ2020年4月初旬に合併することを発表しました。eMarketerの「US Connected TV Advertising 2019」によると、CTV(インターネットと繋がったコネクティッドテレビ)に対する広告支出は米国で2023年に141億ドル(1兆5000億円)になる見込みで、2019年比で倍増します。このマガジン『米IT株図鑑』の記事「テラリア、海外ドラマ中のCM枠最適化で爆発的成長」で書いたように、テラリアはHuluなど動画コンテンツのプラットフォーマー向けに、動画広告枠を最も高く売るサービスを提供しています。テラリアとの合併による相乗効果を私は期待しています。

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2020年10月~12月期の売上高は前年同期比17%増の4850万ドル。調整EBITDAは1530万ドルと黒字を確保し、EBITDAマージンは32%と高い利益率を誇っています。1株利益は0.03ドルと、前年同期の0.04ドルの赤字から黒字転換しました。事業はブレークスルーしつつあります。

フリーキャッシュフロー黒字化

2019年1年間で見ると、売上高は前期比25%増。フリーキャッシュフローも黒字転換しています。売上高フリーキャッシュフロー(FCF)マージンは5%です。売上高成長率と売上高FCFマージンの合計は30%で、いわゆる株式投資適格の「40%ルール」には達していません。しかし、四半期ベースで最終黒字転換しているところなどをみると、財務的にも安心感が出てきています。

あとは、コロナショックがどう響くか。巣ごもりで動画コンテンツを視聴する人が増え、広告の需要が高まっている可能性もあります。動画部門は2019年の通年で43%増収と全体をけん引していて、今後に期待です。

NASDAQによると、ルビコン・プロジェクトのアナリストの目標株価は平均で12.5ドル。最高が14ドル、ボトムが10ドルです。現在、株価はボトムの半分以下で取引されています。Googleの破壊者になるかもしれないという「夢を買う」余裕がないのが現在の相場ですね。

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