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【NASDAQ】有人ドローン・イーハンの上値余地(下)

イーハン・ホールディングスのTAM(潜在市場)はどれほどあるのでしょうか。

まず、計算しやすい消防用ドローンから。イーハンのIR資料によると、中国には7032の都市消防署と9755の準都市消防署があるそうです。高層ビル火災が想定されるのは主に都市消防署でしょうから、マーケットとなるのはこの7032の消防署になりそうです。

仮にこの5%の消防署が導入すれば、市場規模は約160億円となります。中国の人口100万人以上の都市が300都市ほどあるため、5%とは、この100万人都市に1台ずつ配備される計算です。

2023年に5兆円市場

その他の市場については見当もつきませんが、モルガン・スタンレーが試算している資料を見つけました。最初からこれを見ればいい話でした。

https://www.morganstanley.com/ideas/autonomous-aircraft

同資料によると、中国内の「Flying cars」(部品やサービス含む)の市場規模は2025年に6兆5000億円になるそうです。2020年には2500億円ほどなので、爆発的な成長です(少し市場規模が大きく見積もられているように感じます)。中国に米国・欧州を加えると、市場規模は10兆円を超えます(米国ではトランプ前大統領が、連邦政府機関による中国製ドローンの使用を禁じる大統領令を出していますが、当然、これに民間は含まれません)。

また、イーハンは荷物の輸送用のドローンも開発しています。こうした物流用途のドローンを含めると、市場規模は2023年に世界で5兆円にまで育ち、中国はその約45%を占めると予想されています。

地方政府がバックアップ

いずれにせよ、ようやく年産600機(売上高換算で推定210億円)の量産工場の稼働が今年前半から始まるイーハンにとって、TAMは十分に大きいと言え、潜在的な成長力は十分にあると言えます。

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イーハンはIR資料で、新工場の建設投資のうち6億円を地方政府が支援しており、また「優遇措置を受けている」としています。こうした政府サポートは、少なくとも中国国内での製品普及には強い追い風になる気がします。

最後にイーハン株の需給面を見たいと思います。

機関投資家参入はこれから

以下のリンクにあるように機関投資家はまだ本格的には入ってきていないようです。今後、工場が稼働し業績がしっかり出てくれば、機関投資家勢の参入が見込めます。

インサイダー(経営陣)の売買はまだ記録がありませんでした。

また、イーハン株においてよく指摘されることですが、市場に出回る株式数が極めて少なく、流動性が低いという欠点があります。株価が極端に動きやすく、これが機関投資家の参入を阻む要因になっていると思われます。なんらかの資本政策で、流通株式が増えてくると、株主の多様化が進進み、株価が安定してくるかもしれません。

これもよく指摘されることですが、ドローンは軍事転用されやすい技術であるため、NASDAQ上場廃止による強制売却などのリスクもなくはないと言えます。いずれにせよまだヨチヨチ歩きの株であり、リスクが高いのは確かです。



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