
つばめグリル
横浜の「つばめグリル」で出会った、素敵なハンバーグの思い出。
おしゃれな街、横浜にて
20代は旅に出る機会が多かった。
国外はオーストラリア、韓国のみだが、日本国内は30都道府県くらいは旅をした。
収入は30代の半分程度だったにも関わらず、そのほぼ全てを旅とライブに費やしていた日々は、私の人生にとってかけがえのない時間となった。
つばめグルメと出会ったのも、ライブ遠征を兼ねた横浜旅の途中だった。
夕方からのライブに備えて、JR横浜駅周辺で少し早めの夕飯を取ろうということになった。
和歌山から滅多に来れない関東圏。
見慣れないお店が多い中、ハンバーグ好きな私の目に留まったのが「つばめグリル」だ。
ショーケースを覗くと、ホイルで芸術的につつまれたハンバーグの食品サンプルがある。
さすがおしゃれな街、横浜!ハンバーグまでおしゃれ!と同行の友人と興奮しながらそのまま入店。
我々は迷わず「つばめ風ハンブルグステーキ」を注文した。
例えるなら宝箱
関東へ行って毎回感じるのは、街行く人々がとても静か。
お店に行っても電車に乗っても、とにかくみなさん静か。
関西の喧騒の中で育っていると、その静けさで妙な手汗をかくほどだ。
つばめグリルの店内も、人々の話声はほとんどささやきに近い。
我々も静かに待つこと数分、ホイルにつつまれた料理が運ばれてきた。
まるで風船のように膨らんだホイルに期待も膨らむ。
ナイフとフォークを使って、ホイルの膨らみの頂点に切れ目を入れる。
中のハンバーグを押しつぶさないように、そろりそろりとホイルを開いていく。
途端に広がる湯気とデミグラスソースの芳醇な香り。
彦摩呂さんに便乗しなくとも、これはまるで宝箱やん。
なんと繊細で芸術的な料理なのだろう。
ハンバーグはふわふわ柔らかく、大人向けの深い味わいのソース。
このソースがなんと、デミグラスソースではなくビーフシチューだったからまた驚きだ。
まさかハンバーグの上にビーフシチューがかけられるなど、誰が予想できただろう。
肉on肉。
贅沢すぎる。
田舎育ちの関西人には刺激が強すぎる。
おそらくビーフシチュー自体もかなりの手間ひまをかけて作られていると思う。
おしゃれな街のおしゃれな洋食屋さんでおしゃれなハンバーグに出会えたことに、幸運を感じるひと時である。
ハンバーグをひとくち食べて満足した私は、箸休めの気持ちでつけあわせのじゃが芋を口に放り込んだ。
脇役と侮るなかれ
じゃが芋はみなさんにとって、どんな存在だろうか。
数ある緑黄色野菜の中でも、たまねぎ、ニンジンに次いで、各家庭での出番が多いのではないかと思う。
極端に好き嫌いが別れる野菜ではない。
どちらかと言えば万人に重宝される。
毎日食べないけれどいつでも安いし、カレーに入れたり、肉じゃがにしたり、ポテトサラダにしたり、時にはスープにだってなる。
しかし、なくたって困りはしない。(ちなみに私はめったに使わない)
じゃが芋に関して言えば、それまで別段注目する機会がなかったのだ。
しかし、この日、つばめグリルのハンバーグに添えらえていたじゃが芋を食べた瞬間、度肝を抜かれた。
それまでの人生で食べたどんなじゃが芋とも比較にならない美味しさだったのだ。
それこそ、メインのハンバーグよりも夢中になるほどだった。
バターが溶けてしみ込んだ熱々のじゃが芋はしっとりホクホクでとても甘い。
サツマイモの甘さとは違う。
じゃがいもの旨味と共に、やさしい甘みが口いっぱいに広がるのだ。
気が付けばハンバーグもじゃが芋も夢中で食べ終わり、後には何とも言えない幸せな気持ちが残った。
ハンバーグだけなら、美味しいお店は他にもたくさんある。
しかしつばめグリルは、あの美しいホイルと絶品のじゃが芋によって、唯一無二の存在と呼べるのではないだろうか。
追記
後に、つばめグリルからレシピを伝授されたという「グリルキャピタル東洋亭」の存在を知り、京都店へ行った。
見た目も、添えてあるじゃが芋もつばめグリルそっくりで、大変満足。
調べてみると、東洋亭がつばめグリルからレシピを伝授する際、関東には出店しない約束をしたらしい。
つばめグリルもまた、今のところ関西へは出店していない。
東のつばめグリル、西の東洋亭。
「場所は違っても目指すものは同じ」という点に、お店同士の絆と、多の人々にこの味を食べてもらいたいという熱意を感じる。
関連情報
■つばめグリル 公式サイト
https://www.tsubame-grill.co.jp/
■グリルキャピタル東洋亭 公式サイト
http://www.touyoutei.co.jp/
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