「都市の高市支持層」はどんな人たちか調べてみた。石丸現象の再来はあるか?
世の中はすっかり総選挙モードですが、自民党総裁選挙では、高市早苗氏が、1回目の投票で第1位となりました。党員の票数は、全体では、石破茂氏を1票上回った(109対108)だけでしたが、都道府県別にみると、東京、埼玉、千葉、愛知、大阪、京都、兵庫、福岡などの都市圏で1位となっています(神奈川は小泉進次郎氏の地元のため2位)。
高市氏は、党内でも保守派とされ、「選択的夫婦別姓制度」についても反対の立場です。伝統的な価値観と都市の空気は、相反する面もあるように思いますが、そんな中で、高市氏をトップに押し上げた「都市の高市支持層」とはどんな人たちなのでしょうか。
また、東京都知事選で旋風を巻き起こした石丸伸二氏の選挙参謀が、高市氏の支援に入ったり、石丸氏を支援した民間スタッフがSNSでの拡散に寄与したともいいます。
高市氏の支持層は、石丸氏の支持層と重なっているのか? そして、今後の政局の展開によっては、再び旋風が吹くことがあるのか? 大変、気になるところです。
ということで、お小遣いでできる「ひとり世論調査」で、「都市の高市支持層」はどんな人たちなのか調べてみました。
調査概要は以下の通りです。
アンケート調査ツール Freeasy を利用。
東京都在住のモニター2000名に対して、高市氏の支持を調査。
「支持」「非支持」それぞれ100人に対して、石丸氏の支持やメディア利用について調査。
若い層ほど高市氏を支持 一定の不支持も
年代別にみると、若い層ほど高市氏の支持が強くなっており、30代がピークになっています。また、高齢層の不支持も目立ちます。その一方で、もっとも支持が強い年齢層でも、ほぼ同数の不支持層がいることにも注目です。
なお、グラフとしては示しませんでしたが、どの年代でも、高市氏への女性の支持は弱いです。
「強者」が支える高市氏
次に、世帯年収別、職業別の傾向を見てみます。世帯年収が増えるほど、高市氏への支持が増える傾向にあります。また、職業別にみると、もっとも支持が多いのが「経営者・役員」、ついで「自営業」「会社員(正社員)」となっています。一方「パートアルバイト」「無職」は高市氏への支持が低く、高市氏の支持層は「強者」寄りと言えるのではないでしょうか。
石丸氏支持層とは重なる部分
ここからは高市氏を支持するとした100人と非支持の100人(「あまり支持しない」「まったく支持しない」に加え、「どちらともいえない」「分からない」も含む)に対して聞いていきます。
東京都知事選の際の、石丸伸二氏への態度を聞いたところ、高市氏支持層の方が明らかに石丸氏への支持が強く、高市氏と石丸氏の支持層はある程度重なっているようです。
高市氏支持層も、XやYouTubeを活用
前回の都知事選で、石丸伸二氏はYouTubeをたくみに使い、支持の拡大につなげました。そこで高市氏の「支持層」「非支持層」のメディアに対する態度を調べてみました。投票の際に参考にするメディアを聞いたところ、高市氏支持層の方が、「X(旧Twitter」や「YouTubeの動画」を投票の参考にしている事が分かりました。
メディアへの態度でも、高市氏支持層の傾向と、石丸氏支持層の傾向は似ているようです。
しかし政党は「信頼している」
前回都知事選での石丸氏の支持層には、既存の政治勢力への強固な不信感があり、政党色のない石丸伸二への投票行動につながったという分析があります。
しかし、政党への一般的な信頼感を「いまの政党を、全体として信頼していますか?」という質問で聞いたところ、高市氏の支持層の方が政党への信頼感が高い、という結果になったのです。
類似点と相違点
若く、ネットの力を活用する。こうした点では、高市氏の支持層と、石丸氏の支持層は似たところもあるようです。
しかし、高市氏の支持層は、既存の政党もある程度信頼し、社会的地位もあり、年収も比較的高い、という、いわば「勝ち組」です。
前出のJX通信社米重氏の記事によると、石丸氏の支持層は、既存の政治勢力やメディアへの不信、既得権への嫌悪感などに特徴づけられ、石丸氏はこうした不信や不満を糾合してのし上がったとも言えます。ここには、だいぶ肌合いの違いがあるように思えます。
支持層が「勝ち組」に寄っていること、「一定の不支持層」が存在することを考えると、仮に政局に大きな波乱があったとしても、東京都知事選のような旋風を起こすことにはならない気がしますが、ここに「既得権批判」を足して、「不満層」「不信層」からの支持を集められれば、大きく変化するかもしれません。
いずれにせよ、少し先の事ではありそうですが…。
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