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第一回神ひな川小説大賞中間ピックアップ五選

 みなさん進捗どうですか? 第一回神ひな川小説大賞も、残すところあと十日となりました。

 今日現在、エントリー作品は63作、うち完結済みが62作と、多くの方に参加していただいております。

 わたしはステータスが完結済みになっている作品はすべて講評を書き終えていますので、ちょうどキリのいいところで今回も、思わず「おっ」と唸った作品やもっと読まれてほしいと感じた作品を紹介していきます。

 今回の対象となるのは、8/29~9/10の間に投稿され、かつ完結済みになっていた作品です。

 なお、今回のピックアップは完全に主催の独断によって選ばれていますので、必ずしも受賞や大賞の選考に影響するわけではありません。謎の評議員は全部で三人いますし、期間もまだまだ残っていますので最後まで何が起こるか分かりません。

 それでは早速いってみましょう! ドドン!


1.ルート254の旅人/狐

 走り屋の男が翼の折れた天使と出会う物語。主人公が爽やかで、とても好きでした。彼が物語を牽引してくれる様子はとても頼もしかったです。

 キャラクターの個性が光るだけでなく、選択肢や分岐をテーマとした登場人物の信念であったり、変わっていく心情を描くのがとても上手だなと感じました。また、お話の構成も起承転結に沿ってしっかり進んでいくため、とても読みやすかったです。まさにお手本のようなハッピーエンド小説だと思ったので、これはぜひ参考として他の参加者の方にも見ていただきたいと感じました。

2.自殺に見えない自殺の仕方/ジュージ

 友人にある日突然「死にたいんだけどどうしたらいいか?」と相談されるシーンから始まる物語。自殺について議論を交わすだけでなく、時おり事件が起きたりと、最後まで読み手を退屈せずに引っ張っていく構成の仕方が上手だなと感じました。キャラクターが個性的なのもいいですね。

 しかしなにより特筆すべきは、伏線回収の鮮やかさと、ひっくり返し方の秀逸さでしょう。この素晴らしさはぜひ実際に読んで確かめてほしいです。優しくて、個人的にとても好きなお話でした。主催のクリティカルを狙う人はぜひ参考にしてほしいです。

3.ハッピービタービターエンド/鈴野まこ

 ハッピーエンドというお題を観測する側から描いた作品。お題に対する説得力や物語としての出来栄えもさることながら、読みやすさという点でも非常に優れています。一度も引っ掛からずに文章を読ませる描写の力と、登場人物がそれほど行動をしていないのに、彼らの人となりがすっと理解できてしまう魅せ方は、非常に上手だと感じました。

 ある人にとってはハッピーエンドでも、またある人にとっては違うかもしれない。そういう風にハッピーエンドの奥深さを感じさせてくれるお話で、とてもよかったです。

4.魔法使いは君の空を舞う/傘木咲華

 世界観でガッと心を掴まれました。魔法使いにダンサーとルビを振る、という発想が非常に面白いです。魔法にこんな使い方があるんだ……と思わず感嘆の声を漏らしてしまいました。発想の勝利ですね……。

 お話も非常に美しく、過去と現在の対比がよいコントラストを生み出し、ハッピーエンドの幸福感を後押ししているのも上手いと感じました。

 ハッピーエンドを直球で描き切っただけでなく、世界感と発想で一ひねりを加えることに成功したテクニカルな作品と感じました。めっちゃ好きです。

5.無人島お嬢様/木船田ヒロマル

 お嬢様とのサバイバルを描いたお話。繰り返し登場する「三原則」の会話、お嬢様の信念、そして決戦シーンと、場面ごとの見どころがしっかり描かれていて、短いながらも非常に読みごたえがあって、とても面白かったです。ラストの展開も非常にいい……。こういうお話と、こういうお嬢様に弱いんだ……。

 王道を描く手腕、起承転結の利かせ方、場面ごとの盛り上げ方がとても秀逸です。お話の作り方が非常に丁寧で上手なので、ぜひ色んな方に参考にしてほしいなと感じました。


 というわけで、中盤ピックアップ五選でした。本当はもっと紹介したい作品もあったんですが、キリがないので五作に絞りました。(好きなお話が多すぎるんじゃ……)

 いよいよ第一回神ひな川小説大賞も残り十日、終盤戦に突入です。

 参加がまだという方も、二作目に挑戦しようと思っている方も、感想を投稿してくださっている方も、ラストスパート! 引き続き頑張っていきましょう!

 レギュレーションをしっかり読んで、ルールを守って楽しくデュエル!

  

 PS>主催の参加作もぜひよろしくお願いします。

  いつか野分の吹くところ/神崎 ひなた

 

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