
ファッションの歴史〈古代編②〉
こんばんは。
今回は、前2800頃〜前330頃の西アジアの服装史について学んでいきましょう。
西アジアの装飾とは
特徴的な服装4種
この2つを大まかにお話していきます。
西アジアの装飾とは
西アジアのスタイルは、エジプトとはまた異なった装飾が見られます。
基本型は似ているものの、根本的に最初に使用された素材が異なるためエジプト・スタイルとは全く質の違う美しさを生み出していきました。
前回の復習を挟みますが、エジプトでは最初にリネン(麻)を使用しています。
時代の流れとともにさらに薄手になっていき、流動的なドレープの構成が印象的なドレーパリーも登場するとお話しました。
全体的に柔らかい生地を使用しているのが特徴です。
一方、西アジアでは最初にカウナケスという独特な素材が使用されます。
カウナケスとは、ウールのかせ糸の束をいくつもウール地またはレザーの表面に結びつけたもの。
本ではこのように記載されています。
その後織物に変化していくのですが、割としっかりとした生地で平面的な印象です。
また、メソポタミア地方のアッシリア朝の王の服装からは、フリンジの錯綜と豪華な織りと刺繍による表面装飾的美しさを感じます。(王の服装はネット上で画像検索してください。難しくて描けませんでした!とても豪華な装飾が特徴のチュニックとショールの組み合わせです。)
今年はヒッピー・スタイルのリバイバルが起きていて、ハイブランドのコレクションでもフリンジの要素を盛り込んだデザインが多く見られ、装飾性の時代に移ってきたなと感じましたが、古代西アジアのフリンジ飾りは装飾としての役割ではなく、身分のシンボルとして扱われていたようです。
彼らは剛直なイメージを抱かせる体形をしており、それらを衣服や装飾によって隠し、自身の姿を絶対的な権力のシンボルに繋げるため表面装飾的美しさを求めたと考えられています。
エジプトの服装と同様、社会性から装飾が始まっています。差別化ですね!
黒いドラマが潜んでいそうな始まり方ですが、、、それでもやはりこの2種の美的表現を生み出したのは大きいと思います。
どちらのスタイルも大もとの素材の特性をしっかり活かして魅せているところが凄いですよね!生まれ持った美的センス!感激です!
特徴的な服装4種
①ロイン・クロス(腰衣)
初期王朝時代(前2800頃〜前2470頃のメソポタミア)のシュメール人はカウナケスを使用したロイン・クロスを着用していました。
毛足の長いジャギー状の風合いを持ったテクスチュアだったそうです。
②チュニックと外衣
チュニックの上に外衣として、カフタン型やポンチョ型(基本型のお話は準備編をご覧ください)、またはショールを着用する人々が増えていきます。
その人の実用性によってチュニックに合わせる外衣は異なります。
男性の当世風にいえば旅行着だと本には記されています。
フリンジ飾りなど、アッシリア風のデザインがポイントです。
③カンディス
ペルシャ帝国時代(前559〜前330)の王や貴族が着用したものです。
ポンチョ型のローブの上からベルトでウエストを絞り、袖下や脇にプリーツ状のドレープを形成しています。
これは絹や薄手ウールの素材を使用し始めたためであり、エジプトのカラシリスのような流動的なドレープ構成とは異なります。
またテキスタイルのデザインとしては、有名な紫貝からとった染料でテュロス紫に染められていました。
表面装飾性を重視した西アジアらしい発想です。
④ズボン
実はペルシャ兵士はチュニックとズボンを着用していました!
ここで初めてズボンが登場します(カンディスの中にもインナーとしてズボンを履いていました)。
私はパンタロンが最初のズボンかと思い込んでいたため、古代でズボンが登場していたことに非常に驚いています!
本では、もともとペルシャ人は中央アジアの寒冷な高原地帯で生活していたアーリア民族の一つだと記載されています。
暑い地方ではスカートタイプから始まり、寒い地方ではズボンタイプから始まったのか!と、よく考えれば当たり前のことに気付いて感動しました。笑
ズボン・スタイルは小アジア地方のフリュギア人に伝えられ、ギリシャ人はズボンのことを知っていましたが着用はしなかったそうです。
ギリシャの人々は流動的な美しさを求めるため、実用性のあるズボンスタイルはあまり響かなかったのではないかと思います。
最後に
ここまでご覧頂きありがとうございます!
古代西アジア服装史の特徴を少しでも理解して頂けたでしょうか?
次回は前3000頃〜前1100頃の古代クレタの人々の服装史をお伝えしていきます。
個人的に私はクレタの人々の性格が本当に好きです!笑
服装史のお話もしますが性格についてもたくさんご説明しますね!
ちなみに明日は別タスクがありまして、ブログの投稿はお休みします。
では次回もよろしくお願い致します!