Netflix作品「初恋」の瑞々しさに心揺さぶられた話
Netflixは料理のお供
私がNetflixを見るのは料理をするとき。
ながらで見るから、小難しい話や、吹き替えのない海外作品は選ばなくて。1話完結だったり、ライトな作品を見る傾向にある。
流行りものに疎い私の耳にも入っていた「初恋」の評判。
しかし評判がよくても、作り込まれたラブストーリーを見るのって疲れるし。
と思っていたけれど、知人が勧めてた「最愛」を観てみたら面白くて。名前も似てるし「初恋」も今ならいけちゃう?と思って見始めた。
だから、ほとんどが料理をしながらのながら見で、細かい描写はたくさん見落としていると思う。
それでも、とても余韻に浸る作品だったから、好きなようにあーだこーだとネタバレ含めて記しておきたくなった。
満島ひかりの瑞々しさに泣けた
初回は展開がよくわからず、
これは海外の話?(也英の運転する街が海外に見えて)とか、
也英はなんで晴道覚えてないの?(忘れたふり?昔すぎて覚えてない?)とか、
綴って何者?と也英の子どもだとわからなかったり。
物語が進む中で、記憶がないのか!とか、晴道は今でも也英を想い続けてるのかとか、執念すごいなとか(笑)。
見続ける中でいろいろ理解してきて、過去のキラキラした純粋なふたりを可愛らしく思い。
学生時代に恋し損ねた身としては、とても羨ましくもあり。
現代の交わらない気持ちや、結婚直前な恒美どうすんのとか、煮え切らない晴道にもモヤモヤしたり。(最後どうしたんだろ、現実はごめんって去って終わりにはならないものね)
也英パパといい、行人といい、色恋についてはダメンズが多いのかな…。
自然美に惹き込まれた。雪国には住みたくないけれど、景色は美しい。詩のダンスや綴のトラックもカッコよかったな。
昔と今の違い、繋がり方も面白い。
昔はうっかりすると子機での電話の会話聞かれちゃうもんね。それが今はスマホで、SNSですぐ繋がれるギャップ。作った曲もサクッと共有。
そしてこのドラマで、いちばんグッときたのは、満島ひかりさん演じる也英が、はるばる海外まで来て「晴道!」と呼ぶ場面。
あのときの顔、学生時代の也英と同じ、瑞々しさというかキラキラというか。
いろんなことを諦めたり、閉じ込めたりした大人の也英から、高校生の好奇心やワクワクする気持ちを抱えている頃に戻っていた(取り戻した)表情に見えて。
うわーって!!
よかったねーって!!
涙腺崩壊だった。俳優さんの凄みを感じた、心動いた場面だった。
あれは凍てつく寒さだから、より気持ちの動きが皮膚(血色)にも現れていたのだろうか?
ちなみに私は、8話を終えた時点で最終回だと思っており、お別れのラストだったのかーと号泣していた。と思ったら次話へのクレジットが出て「え?」ってなった。(8話後半からは料理を終えて集中して見ていたはずなのに)
20年ほどの時代の変化が、本当の出来事も多々交えられているのも面白かった。
電子マネーどころかカードのSuicaもなくて切符一択だったとか、親機・子機で会話筒抜けとか、同世代の宇多田ヒカルの歌詞が大人すぎて衝撃だったとか。
戦争、震災、コロナといった世情も取り込まれていたし。そして自分の戦争の記憶の薄さにも情けなくなったりして。
あとは好きなシーンもメモっておこう。
9話で也英が「晴道」と、学生時代と同じ瑞々しい笑顔で名前を呼ぶ表情
詩を見送るときは似合っていなかった綴のサングラス姿、3年後に迎えに行くときは似合っていた
旺太郎の告白・想いが也英を動かすところ
晴道が愛おしさ全開で也英を見る眼差し(学生時代も、記憶を取り戻し想いが通じ合った後も)
也英が有給休暇40日取りたいときの、社員の応戦(旺太郎の食いつきから、労働基準法読み上げ始まったり、いい仲間)
ウオークマンで蘇る想いが溢れる瞬間
キュンキュンしなくても、愛を伝えようっと
誰かを想う気持ちとか、挑戦したいことへの気持ちとか、也英たちがいつの間にか蓋をしているように、自分も多くの人たちも、知らぬ間に閉まってしまっている気がする。
学生時代の純粋で全力な也英と晴道。現代をもがく綴とグイグイ道を開きに行く詩。
いろいろ失ったり諦めたりしたけれど、記憶を取り戻し、想いを届け合う現代の也英と晴道の眩しいふたり。
初々しさとか、ときめきとか、維持させるのって容易ではない。
もしかしたら、彼らも学生時代のまま付き合っていたら、全然違う未来になっていたのかもしれないし。
ハッピーエンドから何年か経ったら、関係が変わってしまう可能性もあるし。
最後はラブラブだったけど、あれずっとつづくんか?なんて無粋な感想も持ち合わせるわけで。
さて今の自分。
今隣にいる人。
初恋の人な気もするし、違う気もするけれど。初恋とはなんぞや?
何年か時を一緒に過ごして、キュンキュンはなくなっているけど。
想う形は変わっても大事な人であることは同じだから、気持ちをきちんと伝えていきたい。
と、今は思ってるし、割と伝え合えてる気はしてる。
10年後、20年後も、隣にいる人のこと、大事に想っていたいなぁ。どうなるんだろう。未来を作るのは今の自分だもんなぁ。
最後に、年齢を重ねると彼らのように気持ちや行動に蓋をしたり、安心できる道を選びがちになる。気力だって減ってくるし。
でもでもでも!
五感で何かを呼び起こす、そんな経験・体験を、無邪気に感情を出してしまうような出来事を、幾つになっても作っていきたい。
ああ、キュンキュンしたいなぁ(笑)
※余談
どんな人が作ったドラマなんだろうと調べてたどり着いた、成田祐介さんとの対談も、作り方や裏側が垣間見れて面白かった。