初めて買ったCD問題
自分は一応音楽好きを名乗らせてもらっている。
実生活でもネットでも、自己紹介のフックとして「音楽」「ギター」などを会話のなかの手札で出すことが多い。
その中で、たまに訊かれる質問がある。
「初めて買ったCDなに？」だ。
自分はこの答えに対して逡巡することがある。
その理由は、別にCDを買ったことがないという訳ではないし、配信音源しか知らないみたいな今どきのキッズ的理由でもない。
明確な答えはある。
小学6年生の時にシングルを買ったこの曲、
Kinki Kidsの『ね、がんばるよ。』だ。
彼らのディスコグラフィーではいまいち話題に上がることは少ないが、実はこの楽曲、DREAMS COME TRUEの2人が詞曲を作成している。ドリカム印の超良質なミディアムナンバーでグループ中期の名曲と言っていいだろう。是非聴いてみてほしい。
勿論いまでも再生する大好きな楽曲なのだが、これを公言するにはやや後ろめたさがある。それは、「ブックオフで400円の中古で買った」からなのだ。新品では購入していない。
当時の自分はこの曲を音楽番組で知り、感銘を受けた。
そこから半年ほど経ったころだと思う、両親に連れられて行ったブックオフにて偶然にもこの曲が流れていた。発売から結構経っているのに。シングルの棚を探すとこのCDが400円にて売られていた。
これは何かしらの縁ではないだろうか、と幼いながら思った自分はなけなしのお小遣いと「初めてCDを一人で買う」という行為のドキドキを持ってレジへと向かった。
どうしても「中古で買った」ということが自分の中に堂々と公言していいものか引っかかっている。細かいことかも知れないが。
まあそもそも新品シングルが税込み1200円もするのが悪い。いまは配信で一曲255円で買える世界だ。
「いや、それくらいなら悩む必要なくない？」「考えすぎでは？」という声が聞こえる気がする。
正論だ。だが自分にとってのこの話題、もう一つ問題がある。
それは、「その時に買ったCDはもう一枚ある」からだ。
小6のなけなしの勇気はレジで2枚お会計を済ませていた。
そのCDはこちら。
day after tomorrowの『lost angel』だ。ちなみに200円だった。
そして更にもう一つ、この問題をややこしくする要因がある。
自分が目的としていた楽曲は『lost angel』ではなくカップリングの『そして僕にできるコト』だったからだ。
当時の自分はまだ12歳。音楽よりテレビゲームに興じている時間の方が長かった。その中で「テイルズオブシンフォニア」というゲームに感銘を受け、その主題歌であったこの曲も好きになった（更に話題をややこしくするとこの曲は自分がプレイしていたゲームキューブ版ではなく移植のPS2版主題歌なのだが）。
そういう訳で自分はdat時代もヘキサゴンでネットのおもちゃになっていた時も今でも変わらずmisonoさんをシンガーとして尊敬している。そしてそのゲームのヒロインを演じていたのが後に大きな沼にハマることとなる水樹奈々さんである。
閑話休題。
初めて買ったCDは？という質問に2つ答える人あんまおらんやろ、という。
「Kinkiのね、がんばるよ。とday after tomorrowのlost angelです。ちなみに後者は表題じゃなくカップリング目当てで買いました。」
いらんいらん。ブレるブレる。
しかもこの感じだと話の軸が後者になってしまう。だがどちらかというと当時のマインド的にはキンキを優先している。ちなみにdatの方、表題のlost angelには大した思い入れもないので特に語れもしない。悪い曲じゃないけど。
という訳で「中古で買った」「2アーティストいる」がこの質問を訊かれた時に一瞬よぎった結果、misonoさんごめんと心の中で謝罪し自分は初めて買ったCDはと問われたらKinki Kidsを挙げている。
"じゃあ、初めて「新品で」買ったCDは？"と聞かれると正直記憶にないが恐らくKAT-TUNの『SIGNAL』だった気がする。ジャニーズ大好きじゃん当時の自分。
「初めて買ったアルバム」は明確な記憶がある。w-inds.の『THANKS』だ。
『十六夜の月』は良い曲だぞ。1曲目の『1 or 8』もいいぞ。
"初めて買ったCD"という言葉だけを軸に考えると、幼稚園生くらいの頃に父親と一緒に買った松田聖子のベストアルバム『Bible』である。たしか誕生日プレゼントとかだった記憶があるが、いま考えるとどう考えても父から子による洗脳教育の果てである。管理は父が乗っている車のラックだったし。
”初めて「一人で」買ったCD”でいうと、
Every Little Thingの『Time to Destination』だ。これは未だに聴く名盤。
確かこれも幼稚園くらいの頃に親から「お金あげるからCD1枚買っといで～、自分で選んでええよ～」のノリだった気がする。
こうして遍歴を辿っていくと、自分の音楽好きのルーツは邦楽、歌謡曲、アイドルソングにあるのだなあという事に思いを馳せつつ。
以上、読んでくれてありがとうございました。
自分の内にあるささやかな悩みを共有していただけて嬉しいです。
それではまた、次の記事で。