#11 実業団という選択
選択と言うと、色々選択肢があった中からその道を選んだかのように捉えられますが、実際にはバスケをまだ続けたいという気持ちから、大学の恩師、今の会社関係者の方々に多大なるサポートを頂き、“採って頂いた”という言い方が合ってます。
なので、実業団しか経験していない私が言うのも説得力に欠けますが、ちょうど10年仕事とバスケを両立してきて良かったと感じたことを纏めてみました。
①相乗効果(シナジー)
仕事は仕事、バスケはバスケと併行(両立)してやっていくというより、仕事⇆バスケの相乗効果で、自分のやれる事の幅を広げ、且つ相互に質を向上させていくことができる。それはいつの間にか自分の武器となり、結果“二刀流”というイメージが近い。
・人脈
私は営業という職業柄、仕事上でお付き合いのあるお客さんがミニバスのコーチをしている、クリニックでバスケを教えに行った先の御父兄だった等。(お客さんを試合にお誘いしたりも)
社内ではチームメイト、スタッフ、OBと仕事上で絡む機会が多い。また業務でお付き合いする前からバスケ部として存在を知ってもらっていることも多い。
・スキルアップ
バスケはチームスポーツ。会社や所属部署以外にチームとして目的・目標に向かって試行錯誤できる場があるというのは素晴らしいメリット。
目標設定から、タイムマネジメント、コミュニケーション力、リーダーシップ等、チーム作りにおいて重要なポイントが共通しているため、一方で得た経験がもう一方に役立つことは往々にしてある。
・自信
仕事で右も左もわからない、お客さんと何を話せば良いかわからない時期も、バスケという人より自信の持てる武器が自分にあったからこそ、人間関係だけは構築できていたんだと思う。
最初は仕事にとって“根拠のない自信”だったとしても、後々“根拠のある自信”に変えられれば良いのかなと。
反対にどちらも中途半端、どちらも自信を持てなくなると負のスパイラルに陥るので注意。
②引退後に向けた準備
VUCAと呼ばれる何が起きてもおかしくないこの時代において、一つのことに固執しない姿勢が重要だと個人的には思っている。
■VUCAとは?
VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の4つの単語の頭文字をとった造語で、ブーカと発音します。取り巻く社会環境の複雑性が増し、次々と想定外の出来事が起こり、将来予測が困難な状況を意味する言葉です。
仕事は完璧に、バスケは趣味程度で…
バスケ優先のため、仕事は半日だけ…
ではなく、どちらもトップレベルを目指し努力できる環境に我々はいた。
どちらも妥協することが許されない環境から、無駄な時間を少しでも減らす努力をし、限られた時間で何をすべきか良く考えた。(結果、家族との時間や睡眠時間など犠牲にすることも勿論あったが…)
これからの時代を生き抜く上で、一つのことしか知らないというのはリスクが大きい。万が一に備え複数の武器を持っておくこと、そのために時間を捻出すること、学び続けること。
引退後の人生の方が長い。
そこに向けた準備(習慣化)や経験という意味では、実業団は素晴らしい環境にあると思う。
※注:副業とか兼業をお勧めしたいのではなく、あくまで考え方やスタンスのお話。
③ちやほやされる!
深い意味はない。
社内外問わずとにかくちやほやされる場面が多い。
声を掛けてもらえる機会が多く、純粋に気分が良い。
特に我々のチームは実業団にも関わらず、先人たちの努力もあり地域密着型、クリニックやミニバスの大会運営など伝統として積極的に行っているため、地元の子ども達から注目される立場にいる。
(今でもサインを求められたり、プライベートでも声を掛けてもらえたり…)
何事も見返りを求めてはいけないが、いくつになってもちやほやされることは嬉しいことである。
以上が、私の経験における実業団の良さである。
今日本ではBリーグが盛り上がり、プロバスケ選手が夢の職業となった。
だからこそ二足の草鞋を履いた実業団、それもまた魅力的な存在だと感じる。仕事で練習ができていない選手、練習が満足にできずチームとして万全な状態では決して言えない状況でも、言い訳せず、仲間を支え合い、勝利に向かってベストを尽くす姿。
これからもっと多くの人に注目されることを心から願っている。
ちなみに…
世の中には【デュアルキャリア】という考え方があるようですね。
「デュアルキャリア」とは、人生や生涯のひとつの軸を「キャリア」と捉え、そこにアスリートとしての「キャリア」というもうひとつの軸を加えた「二重性」を示す概念です。
この期間には、同時に進学や卒業、強化育成カテゴリーにおけるステップアップなど、次の段階に進む重要な出来事が訪れる一方で、肉体面や精神面、社会面、経済面などで、困難や課題に直面すること、人間形成において基盤を構築する重要な時期であることも忘れてはなりません。
おしまい。