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化粧について思うこと


化粧が苦手

 最近また、化粧ができなくなってしまった。
 以前は、眉毛は描いていた。描くと気合が入るし、描いていないと、何か目の上が「スカーン」としている気がしていた。
 だけど、最近は、眉毛でさえ専らダメである。
(ちなみに、あるときから、お風呂のときの洗顔と、お風呂あがりの化粧水と乳液はするようになった。これはなぜか、続いている。我ながら進歩かも。お風呂あがりのぽかぽかしているときに、顔にぴちゃぴちゃするのが気持ちいいからかな。笑)

化粧ってね、お金と時間がかかるのよ…

 眉毛をまだほぼ毎日描いていたあるとき、眉毛を描くやつをドラッグストアに買いに行った。これだ!っていうのが定まっていない私は、どれにするかものすごい時間、悩む。(店員さんに、「あの人めっちゃ長い時間ウロウロしてるな…」って怪しまれてるんじゃないかと思う。笑)
 ペンの先が楕円形かしずく形のものが描きやすいなと気づいた。そして、下地のパウダーや、ぼかすブラシもついているとなお良い。だけど、そうやって描きやすいものを選ぼうとすると、1000円を超えてきてしまう。そのとき、私は金欠気味だったので、1000円の出費は少し痛かった。
 「どうしよう…」と考えたのち、「まー、描けはするだろう!」と思い、
ペン先は楕円形で、パウダーやブラシのついていないシンプルなものを選んだ。それで確か、600円ほど。価格と使いやすさの折衷案をとった結果である。今のところ、書きやすくて満足はしている。

 ただ、眉毛を描くのを買うだけで、これだけお金がかかるのだ。例えば、下地とおしろいと、アイシャドウとアイラインとマスカラと、コンシーラーとリップと…って、全部揃えたらまあまあな金額になる。私の場合は、アイシャドウは苦手なので、BBクリームとリップとアイブロウくらいではあるが、それでも数千円はかかる。化粧をするといっても、まず、金銭的になかなか大変なのだ。

 そして、私はそもそも化粧をあまりしないから実感としてあるわけではないけど、化粧って時間がかかるのだ。私の友だちは、30分くらいかけていると言っていた。朝、30分寝ていられるか、30分早起きしなきゃいけないかって、なかなかの差じゃないか…。

みんな女の子すぎて苦手…

 そんな、「化粧ってお金かかるよな…」っていうもやもやを感じた次の日、講義を受け終わって講義室の外に出ると、次の講義のために待っている学生たちが並んでいた。その子たちが、とにかく、化粧をしっかり決めて、
いわゆる”女の子らしい”服装をしている子たちばかりだったのだ。(「化粧ってしんどいな…」と強く感じているときだったから、より強くそれを感じてしまったというのもあるが…)
 なんか、ほんとに、「みんな女の子すぎて苦手だ」と思った。同時に、男と女の見た目の差があまりにもはっきりしているように見えて、なんだか息苦しさを感じた。

 ちなみに、私の所属している学科は、学問柄、山や野に入ってフィールドワークすることもあったし、講義も実習が多かったので、女子でも、薄化粧で、ジャンバーにスニーカーみたいな出で立ちの人が多かった。(これは、めためたに気が楽だった。他の学科の集団とすれ違ったとき、友だちが、「なんかコートがカラフルだったねぇ…」と言っていたことが、今でも忘れられない。笑)

化粧をしている自分を好きになれない

 お金のことをつらつらと書いてしまったけど。自分に関して言うと、
大学生になってから、たまーに化粧をするようになったけど、なんか、自分じゃない感じがして嫌なのだ。化粧をしている自分の顔を見るのが好きじゃない。化粧をするとテンションが上がるという人もいるだろうけど、私の場合は嫌悪感が勝ってしまうというのが大きいかもしれないなぁ。

 そして、大学でも実習が多かったし、普段から農作業などの作業に参加させてもらうことが多い。化粧崩れとか気にしている場合じゃないし、そもそも、ものすごく汗っかきなので、落ちやすいというのもある。さっぱりとしていて、活発そうな印象をもってほしいというのもあるかもしれない。

”女らしい”のもかっこいい

 ここまで自分自身のことをつらつらと書いてきたけれど、やっぱりそれでも、自分に合う化粧をしている人はきれいだなぁと思うし、その裏にはものすごい努力があるのだと思う。
 原田マハさんの『あなたは、誰かの大切な人』という短編集の、「最後の伝言」というお話の中に、こんな一節がある。

 物心ついた頃からずっと、私だって母の化粧をしていない顔を見たことがなかった。おしろいと、口紅と、ヘアスプレーの匂い。大人の女の匂いが、母の匂いだった。
 病院で、化粧をすることもできなくなったとき、母は、自分から「女であること」を取り上げられたようで、さびしかったのだ。その顔を、決して父には見せたくなかったのだ。

原田マハ『最後の伝言』(短編集『あなたは、誰かの大切な人』より)

 これを読んだときに、「ああ、そうか、”女らしく”いることを、誇りに思っている人たちもいるんだなぁ…」と思った。
 先に書いたように、化粧をするって、お金もかかるし、時間もかかるし、体力を使うこと。しかも、それを毎日続けるなんて容易なことではない。それでも”美しくあること”に命をかけている人たちがいる。それって強くないとできないし、ものすごくかっこいいことなんじゃないかな。

誰だって化粧してもしなくてもいい

 最近は、男の人でも、気になっているところを隠すなど、メンズメイクをしたことで、自己肯定感が上がったという話もよく聞く。介護施設で暮らすおばあちゃんが、髪の毛を整え、化粧をしてもらうことで笑顔になり、元気になったという話もきいたことがある。
 ”女は化粧をするものだ” "化粧は身だしなみでしょ” と、誰かから、なんだか義務のように押し付けられるのは苦しい。性別や年齢に関わらず、どんな人でも化粧したっていいし、しなくても良い。化粧は、したいと思ったときに、”いつもとちょっと違う自分” "いつもよりちょっといい感じの自分” になれる、そんなものであったらいいなと思う。

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