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30代半ばで初めて食べるもの
初めて食べるものに、抵抗のないタチである。
イナゴもカエルもワニも、出されたらワクワクして食べるだけだった。
口に合う合わないの前に知らない味があることが嫌なので、未知のものを発見したらとりあえず食べたいと思う。
そんな感じで35年生きてくると、食べたことない食材というのはあんまりなくなってくる。
しかし、割と身近なのに食べたことのない食べ物と出会ってしまった。
イチジクである。
否、生のイチジクだ。
ドライフィグはおつまみによく食べるし、
大学時代は友達が実験し終えたイチジクをジャムにしていっぱい食べた。
だけど生のイチジクだけはなんとなく、食べたことがなかった。
生以外の状態は食べ慣れていたから余計にわざわざ生のものを買おうとならなかったのかもしれない。
あるパン屋の冷蔵コーナーにイチジクのフルーツサンドがあった。
半分に切られたイチジクがごろりと入っている。
周りはふわふわのクリーム、パンに塗られているのはイチジクのジャムだろう。
週末限定、とあった。残りは1つ。
色々相まって輝いて見えたそれは無事、私のお盆の中に収まった。
帰宅後、食べてみると、なんとも繊細なおいしさだった。
しっとりしたパン、甘さ控えめのクリーム、無限に果汁が溢れてくるジューシーなイチジクの実、全体を引き締める甘酸っぱいジャム。
イチジクというとプチプチした食感をイメージしていたのでこのジューシーさとあっさりした風味は意外だった。
もっとなんというか、トロピカルフルーツみたいに癖の強い食べ物だと思っていたのだ。
イチジクってこんな食べやすいの?
上品さの塊みたいな味だ。
それから、イチジクを見るたび買ってしまっている。
今まで意識していなかったが私の住んでいるあたりはイチジクの産地で普通のスーパーでも朝取りの美しいイチジクが並んでいる。
そのまま食べるのも大好きだが、おつまみにしても美味しかった。
昔、漫画に出てきたイチジクの生ハム巻を作ってみたのだ。
生ハムとフルーツの組み合わせはよくあるが、正直私はあんまりピンとこない。
生ハムメロンも圧倒的にメロンが勝ってしまって生ハムが余計な感じすらする。
ただ、イチジクは違った。
あまり主張せず、生ハムにないジューシーさと食感を与え、生ハムの強すぎる塩気を旨味に変えてくれるイチジク。
生ハムメロンがやりたくてできなかったことを見事にやってのけた感じがする。
イチジク、すごい。
多分チーズにも合うだろう。
もちろんスイーツもいい。
パフェやケーキも食べてみたい。
さすが産地、気づいてみると魅力的なイチジクメニューがそこら中にある。
季節感のある食べ物は後悔しないように全力で食べてしまう。
秋は美味しい食べ物が多すぎて、財布の紐がゆるゆるです。