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駐妻がもはや嬉しくないこの時代にコロナが希望の光を灯した
自分で言うのもなんだが、
夫はなかなかのエリートである。
そのおかげで、
娘大好きな我が父親への結婚報告では、
「どこの馬の骨ともわからん奴にうちの娘はやらーん!」ドンガラガッシャーン
というお決まりのちゃぶ台返しイベントは発生せず、
父は私の部屋のドアをうすーく開け、
娘は身の安全確保のため、母に伝えさせて身を隠していた
「パパは何も文句ない。安心だよ。」
と言うコメントを残して去っていっただけだったので期待外れで拍子抜けだった。
そんな父をも黙らせるエリート夫はなにせ、
大企業にて世界を股にかけ、駐在してキャリアを積み上げていくという、特に保守派の権化のような両親にとっては満点の肩書き。
周りも、
いいじゃん!将来駐妻で海外に行けるし!
とヨイショしてくれ、
そう言われると私もまんざらではなく、エリート夫と結婚し、その駐妻とやらになるのは何か楽しく幸せでワクワクなことなのだと信じて止まなかった。
まさに、ディズニープリンセスの物語でいうところの
『二人は結婚しました。めでたしめでたし。』
で完全なる思考ストップ。
が、
当時の私は非常に大事なことを忘れていた。
自分も世界を股にかけて働きたい、
なんて思っているなかなかのキャリア思考女子だったという事実を。
『越境ワーキング』という選択肢
親世代のみならず、今でも一般的に喜ばしいとされる安定した大企業にお勤めの海外で活躍するエリート夫との結婚は、
女性の働く選択肢が増え、様々な夫婦の形が受け入れられるようになった今、
喜ばしいどころか結婚した瞬間から一生夫婦についてまわる頭の痛い大問題を抱えることになると言っても過言ではない。
さらに、もちろん逆パターンもあるわけで、
平成で常識となった共働きという価値観の中で
結婚相手の仕事のために自分が自分らしくいれない人生の選択をするという昭和の価値観
を取らざるおえない夫婦を何組も見てきた。
男女共に、だ。
そんな中、
それはおかしい!と足掻いていた諦めの悪い私に降ってきた選択肢が、
まさに日経COMEMOさんの企画でとりあげられている『越境ワーキング』という働き方で、
結婚相手に合わせて望まぬ選択を迫られてきた夫婦の令和における新しい可能性だと思っている。
なので、今日は改めて『越境ワーキング』についてあくまで会社組織に所属しているフリーランスではない人間の視点から書きたいと思う。
コロナと夫の駐在で掴んだ外資系本社への『越境ワーキング』というポジション
私の場合、はじめから『越境ワーキング』をするつもりだったわけでなく、元々は夫の駐在国の現地採用を狙っていたのだが、
どういうことか以下の
ラッキーとアンラッキーのマリアージュ
により、
日本から海外本社の仕事をする『越境リモートワーカー』のポジションに転がり込むことに成功してしまった。
1. たまたま夫の駐在国が勤めていた外資系の本社のある国だった
2. 各所の理解により現地採用のポジションをもらえた
3. コロナで渡航出来なくなる
4. コロナで全世界出社停止になる
5. 仕方がないので渡航出来るまでとりあえず日本から海外本社の仕事を始める
出典: 駐妻×海外転籍を目指した話
そして、ありがたいことにそこから結局コロナの影響で夫が早めに帰国することが決まった後も日本から海外本社の仕事を続けさせていただいている。
もし4の【コロナで全世界出社停止】がなければ、きっと私は現地採用の枠を失って終了だっただろうが、
本当にコロナのおかげで、
あれ?どこからでも仕事って出来るのでは?
と世の中なってくれたおかげで、
在住国に縛られる現地採用よりも俄然ナイスな
『越境リモートワーカー』という棚ぼたオプションに出会えたわけで、
コロナというものは、
間違いなく私のような駐妻・駐夫になる可能性が高い人たちの選択肢の幅を広げ、
そうでない人に対しても住んでいる国に縛られない流動的なキャリアの可能性を広げたと思う。
世界各国に異動するであろう夫と住みながら『越境リモートワーカー』として働き続けたい私の悩み
理想的には、
『夫くんA国からB国に移動してね!』
となれば妻の私はPCをもってほいほいとその国に行き、そこからまた『越境してないワーカー』達と同じように『越境リモートワーカー』として働くことなのだが、
世の中そんなに甘くなく、なかなか悩みは尽きない。
①そもそも時差の中でパフォーマンスを評価されるためのプレッシャー
日本から海外本社の仕事をしているときに一番恐れているのは、
『日本と時差があって面倒だから仕事任せるのやめよう』と上司に思われる
もしくは
『日本と時差あって面倒だから近くにいるMaryとだけ相談して決めちゃおう』と同僚に思われ、
社内失業及び蚊帳の外状態になること。
海外から日本の仕事をする場合でも同じだと思うが、『越境リモートワーカー』が『越境していないワーカー』と比較してもなお評価されるにはそれなりに人一倍、時差の中で工夫をしなければならない。
○メールには必ず24時間以内のなんらかの返信
○時差を利用して相手の夜の依頼を朝起きる前に終わらせて評価ポイントを作るようにする
○短時間のミーティングで決定まで持ち込む
などの日々の工夫はもちろんのこと、
ワークライフバランス的に褒められた働き方ではないのは重々承知なのだが、時にはオンコールを待つ医師のようにメールをウォッチし、緊急で解決しなければならない案件の場合は
ベッドに片足突っ込んだ瞬間だったとしてもPCの前に舞い戻る、
ということをせざるおえないこともあったりする。
②企業側が税金/年金/社会保障関係の処理をどれだけサポートしてくれるのかという問題
物理的に仕事自体はリモートでどこでも出来るように認められたとしても、一番面倒なのが国を跨いだ税金/年金/社会保障関係上どういう処理にするのかということ。
私の場合は最終的に日本法人から籍を移さずに海外本社の仕事をすることになったので、わりと単純で日本法人が日本という国に対してそういった処理をし、本社が私にかかる費用を補填するという形をとっているが、
これは今回の所属組織と在住国の関係性だからどうにかなった、というだけの話で、
例えば、
突然夫の赴任先がうちの会社の拠点がないホンジュラスになったら、
・どこの組織の所属で
・どの国に税金や社会保障関連のお金を払い
・誰が処理をしてくれるのか
果たして会社はサポートしてくれるか、という問題が浮上し、会社に所属しているかぎり、「越境リモートワーカーやーろうっ♪」とあっさりどんな状況でも始められるようなものではないのが現状だ。
③今後私はどうなっていくのかという消えないキャリアの不安
『越境リモートワーカー』のコンセプトは間違いなく新しく働き方なわけで、先駆者達の前例はまだまだ少ない。
遠隔から仕事がある程度続けられたとして、じゃあ私はその先にどういうコースでキャリアを進むのか、どの国の組織でキャリアアップを目指せばいいのか、日本の組織もしくは本社組織で今まで通り普通のキャリアパスに乗った人たちと比べたらどう考えても優先的にキャリアアップをとはならないのではないか、
など、もやもや考えると1ヶ月に一回は思い悩んで脳内ショートを起こすという日々を過ごしている。
この企画があること自体希望の光
とはいえ、日経COMEMOさんの企画があること自体私はすごく希望だと思っていて、
真剣に『越境リモートワーカー』について語れる機会と場があるこのご時世というだけで、本当に素晴らしいことだと思う。
なぜなら、それだけたくさん同じことを考えている人がいて、問題提起を出来る場が提供されていて、今後一般化する流れとも言えるから。
いつか
「おばあちゃんの時代はおじいちゃんが海外に引っ越すたびにおばあちゃんは仕事を悩まなければならなかったのよー」と孫に昔話をし、
「えーなんで?変なのー」と言われる日が来ることを楽しみに、
これからも一端の『越境リモートワーカー』として私は頑張りたいと思う。
#日経COMEMO #越境ワーキングが救う人材