私はディスポーザーを愛している

好きなんだ。愛している。

我が家には、「ディスポーザー」なるテクノロジーが採用されている。

最初は「便利だなコリャ」くらいで台所設備の一つにしか見ていなかったんだが、最近ではもう、愛してる。

台所に立つ度に、熱をもった目線でディスポーザーを見つめている自分に気づくことがある。好き。

ディスポーザーが何者か、改めて説明する。

ドラえもんのひみつ道具的には言えば、生ごみ専用の「通り抜けフープ」である。生ごみを穴に入れるだけで、どこか別の空間に行ってしまう便利アイテムだ。

現実に即してに言えば、生ごみ粉砕機である。

見た目はノーマル。シンクの排水口が「ディスポーザー」というけったいな名前のモノに変わっているだけ。

一般的にシンクの排水口部分にはゴムのフタがついており、それを開けると、ほっとくとヌメヌメしはじめる穴のあいたプラスチックのコップみたいなモノがあるかと思う。

ディスポーザーだとそのゴムのフタ部分がプラスチックのフタになっている。そしてヌメヌメコップの代わりに回転式の刃がついた鉄の空間が控えているのである。

その鉄の空間に、むいた野菜の皮、食べられない部分、食べ残したモノなど、思いつく生ごみを投入する。そのあとフタを閉め、水を流しながらスイッチを起動する(フタを右にひねる)。すると、鉄の空間にしまわれていた刃が高速回転を始め、すべての生ごみを粉砕する。手羽先の骨までいける。

そのあと、粉砕された生ごみは排水口の奥へ流されて消えていく。フタを開けると、生ごみだらけだった鉄の空間はギラギラと鉄の輝きを取り戻し、「今、何か入れたか?」とでも言いたげに輝いているのだ。


今まで、ただ水を流され、ストッキングを履かされ、生ごみを回収されるだけだった受け身の排水口。定期的に洗ってやらないとすぐ汚くなる、手のかかるだけだった排水口が、「やってやりますよ…おれ…」みたいな感じで、生ごみを粉砕する気満々で口を開けているのが、たまらなくゾクゾクする。

今まで受け口の形態の進化しかなかった排水口に、回転する鉄の刃を入れるというアイディアと、それを商品化までした手腕。「これがテクノロジーの答えっすわ。いままでお疲れさん」て言われてるようで、ワクワクする。

それが、ディスポーザーである。

もちろん、マイナスな部分もある。

まず、台所で漂白剤は使えない。粉砕された生ごみはそのまま下水に流されるのではなく、微生物のいる槽でさらに分解される。なので、台所で漂白剤を流すとその微生物が死ぬので、使えないのだ。でも、普通に食器用洗剤は使ってもいい。なんで?

しかし、それは問題ではない。昔は100均で売っている色残りのひどいまな板を使っていた。だからよく漂白剤を使用していたが、今ではいけ好かないオシャレレシピ動画でよく俯瞰で映される木目のまな板に変わったため、漂白剤を使用することもない。さいあく、洗面台で使えばいい。

もちろん、ぶっ壊れた時のことも怖い。しかし、ここら辺は補償してくれている。安心。

マイナスな部分ももちろんある。あるのだが、日々のストレスが確実に減るモノのうちのひとつであると断言できる。

排水口用ストッキングを買わなくていい。残り枚数に一喜一憂する必要もない。

生ごみを燃えるゴミに捨て、日が経つごとに「ああ早くごみすてないと」と焦ることもない。

匂いもない。

「ドラム式洗濯機」「食洗器」「ディスポーザー」。現代の3大ストレス軽減アイテムだ。そう言い切って、差し支えない。

私は、マイナスな部分も含めて愛す。

卵の殻や玉ねぎの薄皮は実は粉砕できない。繊維系も。

いいんだよ。かわいいじゃん

大きな顔しておきながらリスクと苦手分野があるなんて、かわいいやつだ。

好きだよ。これからも野菜の皮とか、細かい食べ残し、粉砕してね。

私は、ディスポーザーを愛している。






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うさぎさん
もしよければ、何卒…