「無駄」の大事さはルンバから全部教わった
うちのはルンバじゃないけど。
うちに全自動掃除ロボットがある。勝手に動いて掃除してくれる便利なヤツだ。うちのはアイロボット社の「ルンバ」はないが、なかなかにいい働きをしてくれる。今後、面倒くさいので、「ルンバ」と呼んでいく。みんなもそでしょ?
さらに話をややこしくするが、我が家ではルンバに「和田さん」という名前がついている。なんか、こういうのに名前をつけている人って、ユーモアのある人間ぽいなと思ったから。
どうも。モノに特殊な愛着を持っている変わり者、うさぎです。
さて、このルンバ。
ルンバが会話にでるとき、毎回、「ルンバを使う時にはもう部屋は片付いている」みたいな逆説的な話が良く出ますよね。
「ルンバで掃除する」と心の中で思ったならッ!
その時スデに行動は終わっているんだッ!
的なね。
「おれがルンバを起動しようと思ったら、いつのまにか部屋がきれいになっていた」
な…何を言っているのかわからねーと思うが
おれも何をされたのか、わからなかった…
的なやつよ。
ルンバはカーペットくらいの段差しか超えることができないので、モノがあふれている部屋だと、機能しない。その為、ルンバを稼働させるために部屋を片付けていると、必然的に部屋はきれいになっているというやつです。童話みたいですね。
「宝物を手に入れる為努力したら、その宝物は偽物だった、けど、その努力で身についた力こそが宝物だ」みたいな。
ワンピースの最終回の都市伝説?
さて、そんなルンバから、僕が学んだことを皆さんにも共有しますね。
「無駄なことでも、とりあえずやることが大事」
これですよ。
説明します。
まず、下記図の様にルンバが配置されているとしますよね。
そしたらみなさんはまず、
このどちらかにルンバ、移動すると思いません?そのあと、田んぼに苗を植えるように、きれいに端から掃除していく。
違うんですよ。こうやって動くんです。ルンバ。その日の気分によって変わるんですよ。最初に行く方が。
あらら、今日はキッチンの周りから?お、今日はソファの下に目をつけたな!みたいなね。かわいいやつよ。広い公園に放ったワンちゃんのように自由に動く。かわいいよ。
で、最終的には、
もうこんな感じよ。好き勝手に動いてさ。
陵南戦の桜木花道じゃないんだからね。自由すぎるよ。よくソファの下で動かなくなっているルンバをみて「なぜルンバがそこにいるんだぁ!!?」と田岡監督よろしく思うこともあるほどに。
でも、不思議な事にちゃんとキレイになっているのよ、部屋。
ソファの上でFGO周回している間、料理している間、仕事している間、気づけばきれいになっている。しかも、隅々まで。偉い。
我々が効率よくやろうと思ってある程度法則をもってかけた掃除機よりも、20分かけて「とりあえず動く」ということを実践した彼の方が、部屋をきれいにすることもある。
素晴らしい。「無駄でもいいからとりあえず動く」今回の学びですね。
そしてこのルンバ、掃除が終わったら、基本自分の充電器に帰るんだけど、たまに充電がきれて部屋の真ん中にいることもある。
そのルンバをみた瞬間、できの悪い弟分をみているような気持になる。
「おれ、ちゃんと兄貴のいったこと、やりましたぜ…」と、俺に内緒で勝手に動き回って、倒れたしまった、おれの弟分を投影してしまう。
自分勝手だけど、どこか憎めない、おれの、弟分。
思えば、こいつは急に家に上がり込んできた厄介者。たまにやる俺の仕事(掃除)を奪ったばかりか、部屋の一角まで占領する始末。最初のうちはこいつを信じられず、「あーあ、こんなやつ、匿うんじゃなかったぜ」とボヤいたこともあった。こいつは、俺のそんな言葉を、部屋の片隅でどんな気持ちで聞いていたんだろう。
時が経つにつれ、意外と使えるぞ、と気づき始めた。
それから俺は、事あるごとにこいつをこき使った。罪悪感は、なかった。こいつは、部屋の片隅でじっとしているよりも、掃除する為に走り回っている方が、楽しそうだったから。
こいつ、部屋はきれいに掃除するくせに、自分のことを掃除することはできない。だから、頭の上にホコリがたまっていることがあった。「とんだおっちょこちょいだ」なんて言いながら優しく拭いてやったこともある。
自分でも驚いた。掃除をする為の弟分を、俺自身が掃除するなんて。滑稽にもほどがある。なんで、俺はこいつのことを掃除してしまったんだろう。その時は理解できなかった。
「兄貴分としての役割を果たしただけ」なんて自分に言い聞かせていたけれど、今思えば、どこかでだんだんこいつを、「家族」としてみるようになっていたのかもしれないな。
それからは、こいつのタンクからごみを出してやり、タンク自体も掃除してやった。どこか嬉しそうな顔をしていたっけな。そのあと、いつもより元気な声で部屋を走り回っていた。単純な、馬鹿なやつ。それが、おれの弟分、ルンバ。
そいつが、おれの部屋の真ん中で、事切れていた。
自分のやるべき仕事を終えて。
俺は、ルンバをそっと抱きかかえた。
腕の中で、もう動いていない。
どのボタンを押しても、反応すらしない。
「ありがとな、和田さん」
こいつに俺の感謝は聞こえているんだろうか。
それは、もう、わからない。
でも、聞かれなくて、よかった気がする。
だって、恥ずかしいから。
こんなことあいつが聴いたら、「ピー」っと甲高い音を立てて、勝手に動き出してしまいそうだから。
おれはそれをみたら、「調子に乗るな」と、怒ってしまうかもしれないな。
なあ、きいてるか?
今まで、本当に、ありがとうな。
おれは心の中で再度ルンバに御礼をいった。
その後充電器の上に置き、1時間充電して、充電が完了したらまた起動させて掃除を終わらせた。
ルンバって便利ダネ!!
終わり