空想アルプススタンドの夢女子
水島新司先生が鬼籍に入られました。
小学生の頃、夏休みだか冬休みだかに祖父の家の押し入れの段ボール箱の中に眠っていた『ドカベン』を発見し、夢中になって読んだのがおそらくは出会いだったはず。もしかしたら続編の『大甲子園』が先だったかもしれないけど、はっきり覚えてないです。
そう、水島新司先生と言えば野球漫画。野球漫画で思い浮かぶタイトルは何かと問われて、いちばん最初に『ドカベン』を思い出す人も多いのではないでしょうか。アニメの主題歌をいまだに口ずさめる人もたくさんいらっしゃると思います。6巻くらいまで柔道漫画だったことを思い出せる人はたぶん結構なファンですね(笑)。
地元にプロ野球チームがあったため多少馴染みはあったかもしれませんが、運動が嫌いでおそらく興味もなかったであろう野球を題材にした漫画に、小学生女子が思いっ切りはまり込んでしまう。ドカベンとはそれほどに魔力のある作品だったのです。
今考えると、キャラクターや内容は漫画的でディフォルメされているにも関わらず、時にルールの隙をつくような細かな描写が見られたり、荒唐無稽と現実のバランスが絶妙な作品だったのかもしれません。各キャラクターの個人的なエピソードには人情を感じる面も多々あり、野球がわからなくても面白かったんですね。もちろん、わかったほうがもっと面白いので、当時は子供向けの野球のルールブックを読んで覚えようとまでしてました。全部忘れてしまいましたが(笑)。
それでもって、ご多分に漏れず里中智の大ファンでした(笑)。作中の美形キャラの数がそこまで多くないからこその人気だったのでしょうが(カッコいいキャラはたっくさんいますが)、美形なんて世の中にはそれほどしょっちゅう歩いていないということを考えれば、実はとてもリアリティのある作品だったのかもしれませんね(笑)。
美形も美形以外も、特徴的で個性的なキャラクターをたくさん描写できていたのは画力の為せる技でしょう。岩鬼とか殿馬みたいなキャラ、今もうあんまり見かけないような…。
殿馬はあの見た目でも女性からの人気は高かったそうですが、彼は立ち位置的には「クールな美形キャラ」のそれなので、人気があったのも今となってはよくわかる気がします(笑)。
そう、里中君が大好きだったので、と言うか今で言うところの夢女子だったので、おそらく何かのレーダーが働いたのかプロ編は途中までしか読んでないのです…。ええ、何も聞くな…。小学生当時の私が知ったら発狂してたでしょうね(笑)。
でも大甲子園か何かの時点で既に「サチ子が相手を異性として意識してるかしてないか」の違いの描写はなされてたように思うのですよね…。ああそういうことなんだなって子供ながらに気付いてたから。ヒントは風呂。水島先生の当初の構想は違ってたみたいな話を聞くと、あれ、どっちだろうなあとは思うんですけど。怖いな、女の勘(笑)。
風呂といえば山田がお風呂の入り方を教えるシーンはいまだに入浴のたびに思い出すし(足から温めて、的なやつ)、米粒の中には神様がいるからごはんは残せない…と思ってしまうのも山田のせいです(笑)。秘密のサインと言えば「紅玉!」と叫びそうになるのも大甲子園のせいですし、嵐と言えばアイドルグループより先に土佐犬を思い出すのもドカベンのせいです。ええどうせ私は、職場の飲み会で先輩(※酔っ払い)に「明訓を唯一倒した高校はどこか」と聞かれて即答してドン引きされた女ですよ…。
しかしまあ、大甲子園もドカベンも手元にないのに、よくこれだけ覚えてるもんだよなあ(笑)。
ドカベン以外では『球道くん』が面白かったですね。家族のドラマとしてもすごく読ませる展開。けど実は球道が青田高校に進学するあたりまでしか読んでなかったりします。
満田拓也さんの『MAJOR』を読んだときは、球道くんのオマージュかなと思ったものですが、やっぱりそれで合ってる?どうなのかな。
これは最後まで読みたいですね。球道くんもやっぱり押し入れの段ボールから発見して読んでいたのですが、どうもそのあたりまでしか買ってなかったみたい。
ちなみに、『ダントツ』も『あぶさん』も同じく祖父の家で読みました(笑)。
水島先生のご逝去で、私の青春がひとつ終わってしまった感があります。たぶん、私が初めてオタク的にハマった漫画がドカベンだったんです。コミックスくらいしか集めるものがなかったけど、今みたいに関連グッズがもりもりと発売される時代だったら、お小遣いのすべてをドカベンに捧げていたことでしょう…。
先生には、いつまでも胸に残る素晴らしい作品をありがとうございました、のひとことしかありません。全巻読み直したくなりました。プロ編も勇気が出たら頑張って読みます(笑)。先生本当にありがとうございました!
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