マッチングアプリ3700円と頼られたくないのとテイカー気質の話
マッチングアプリとかいう平等性を欠いた空音の猿芝居
マチアプは男だけ有料
大学生以上の男性諸君。おはよう。よーそろー。元気ですか?
君たちは知っているだろうが、マッチングアプリという恋愛活動ツールは、基本的に男性有料で女性無料である。
いかに有名アプリの料金を挙げていく。
ペアーズ:月額3,700円
タップル:月額3,700円
with:月額3,600円
(ちなみにtinderは男も無料)
あぁ、気持ちいいですね。気持ちが良い。この料金表を見るだけで僕はある種の法悦を得られる。
価格の相場が良くわかりません、という純粋無垢な孺子に他の定額制サービスの月額料金を見せてあげよう。
Youtubeプレミアム:1,280円
ニコニコプレミアム:790円
DMM:550円
U-NEXT:2,189円
よくU-NEXTは、配信サービスの中では値段が高いと揶揄されることが多いのだが、なんとそのU-NEXTよりも1500円程度、マチアプの方が高いのである。
男だけ有料?当たり前田のクラッカーでしょ
もう、この「男性のみ有料」という勝負する前から敗者を生成するような謎制度に疑問こそ持ってもあーだこーだ文句を垂れる人間はいなくなってしまったのだろう。
大変遺憾ながら、「絶対こいつマチアプに金出すことなんてしないだろ」と(僕は)思っていた、大学のサークルの後輩も、社会人になった今では当たり前のように3,700円を支払っている(今は彼女がいるので払ってないとは思うが)。
だがちょっと待ってほしい(朝日新聞並み感)。果たしてこの制度は当たり前なのだろうか。わたくし、てんぷしぃろーむは今一度この制度について調べてみる(自分の頭の中だけで)ことにした。
あなた(女性)の目の前にいる男は月3,700円払っているという事実
「こんにちわ。へぇ、君が○○ちゃん?お・ま・た・せ☆」
新宿駅近辺、”新宿”駅とは名ばかりの、実は渋谷区代々木だったりする――と思いきややっぱり新宿区の西新宿に位置するルミネ新宿の入り口で待っていたあなたは、ふいに掛けられた声に顔を上げた。
身長は180cm程度だろうか。自分より頭半分ほど高い美丈夫に、あなたは少し顔を赤くしながら「は、はい」と返事をする。
「コッ☆(舌鳴らした音)、来るの早いね。早速だけどお店、行こっか」
今流行りのウルフの茶髪の下、すらっとした鼻梁の顔貌が、これでもかというほどに主張している。アプリで見たものと少しも違わない面差しに、あなたの鼓動は少しずつ増していった。
と、その時。
「あッ、す、すみません……」
識閾下をうろうろ彷徨うように半ば惚けていたあなたは、近くを通り過ぎようとした人にぶつかりかけてしまう。
「いやぁ人多いね。――ほら」
そんなあなたに彼は手を差し出してきた。「へ」と素っ頓狂な声が漏れる。
「コッ☆逸れたらマズイだろ?君が嫌ならいいけど、どうする?」
なんと、あなたと手を繋ごうと言うのだ。
「は、はひッ!繋がせていただきますッ!」
手汗を拭うために上着に手を擦り付けた後、あなたはその手を取った。
瞬間、彼とあなたは体温を共有する。その感覚に、あなたは頬を赤らめてしまった。
「きゃわうぃ☆」
――きゅ~ん。どうやら気取られてしまったようだ。
身長差は20cm程だろうか。あなたの理想と近い。そして、自らイニシアチブを取ってくれるその気質と、引っ張りつつも最終的な決断は自分にまかせてくれる彼の態度に、あなたは一気に惹かれていった。
――アプリやってみてよかった!
「身持が固すぎる」と、大学の頃の友達に進められて入れたペアーズ。最初は使い方が良く分からず、しかし友達の助言のおかげでなんとか仕組みを理解し、あなたは1か月ほどで様々な男性からメッセージを貰っていた。しかし彼らは、会った瞬間から何かパッとしない雰囲気を醸し出しており、そしてその予想通り、全員あなたのお眼鏡には叶わなかった。
もうアプリも辞めてしまおうか。そう思い、今回で身を引こうと覚悟していたあなただったが、歴1か月にしてやっと、熱願していた好みの異性に出会うことができたのだ。
「ついたぜベイビー」
目的地であるその店は、輭紅塵中の中でも一際目立つ外観のビルの最上階にあった。自動ドアを潜ると、小綺麗なスーツを着た青年が恭しい態度で二人を出迎えてきた。
彼と青年が手続きをしている中、手持無沙汰なあなたは店内をぐるぐると見回した。
天井にはいたるところに黄金のシャンデリアがぶら下がり、十数個程おかれたソファはAmazonでは見られないタイプの、高級そうな生地で出来ているように見えた。
――これが、無料。
そう、あなたは今からロハで、彼との雑談や店でのディナーを味わうことができるのだ。ここに来るまでかかった費用は、電車代約500円のみ。
「お・ま・た・せ☆コッ☆」
手続きが終わり、こちらへ笑顔を向けながら歩いてくる彼を見つめながら、あなたは思考を巡らせた。
彼はここに来るまで、そしてこれから、一体いくら金を使うのだろうか。
ここに来るまでに電車代――いや、タクシーかもしれないが、とにかくある程度の金は消費しているだろう。他に――
「あれ?ちょっと待って」
思考の末にある事に気付き、あなたはつい声を出してしまう。
――私はアプリを使って彼と出会った。であれば彼も……。
そう、目の前の美丈夫も、アプリを使ってあなたにメッセージを送り、この都会の喧騒の中であなたと出会った。
いてもたってもいられなくなり、あなたは自身の携帯を2日前に買ったエルメスのバッグから取り出した。
「コッ☆どうしたんだい子猫ちゃん」
そんな彼の言葉を無視しながら、画面を操作していく。
『マッチングアプリ 料金』
都合よく出てきたサジェストに無心で従い、あなたはSEO対策がばっちりの、一番上に出てきたサイトのリンクをタップした。ロードの時間すら待ちきれず、画面をスライドさせるために指を上に振り続ける。
「あっ……」
ほどなくして、探していた情報を見つけ出すことができた。
『ペアーズ:月額3,700円』
「あぁ……あああぁぁあ」
予想はしていたが望んではいなかったその結果に、あなたは開いた口を閉じられなかった。
ばさっ。と音を立ててバッグが方からずり落ちる。手が力を失い、携帯も高級そうな絨毯に音を吸われながらバウンドした。ついに足も力を失い、あなたは崩れ落ちた。
「お、お客様……?」
「ベイビー!」
身も世もなく膝を折るあなたに、彼と青年が駆け寄ってくる。
「3,700円!!」
そう叫んでいた。その絶叫に空気が揺れて、静謐が店内を包んだ。
「3,700円!!」
――もうだめだ。耐えられない。
愁嘆の念に心を揺り動かされ、あなたは立ち上がって店を出ようとする。彼の制止も聞こえなかった。勢い余り過ぎて絨毯がたわみ、まろびそうになるが、あなたは鋼の意思で足を動かし続けた。
――3,700円。
そう、3,700円なのだ。
彼はすでに、3,700円だった。
あのイケメンも、3,700円
上の話はほんの一例である。あとフィクションである。
しかし、あなたがアプリを通して出会った男性は、悉く、もうホント余すところなく全員アプリ内科金をしている――つまり、3,700円(ペアーズ)払ってあなたに会っているということは紛れもない事実である。
高身長でマッシュヘアが似合うバンドマンの彼も、おしゃれでビッグなイヤリングを携えた金髪のホストっぽいイケメンの彼も、ザ・体育会系で肌を浅黒く染め上げたマッチョの筋肉マンも……。
アプリで「支払方法」の欄に自分のクレジットカード情報を入れ、税込み3,700円、月々支払ってからあなたの元へ馳せ参じたのだ。
そんな男が、枉屈しながら月々3,700円アプリへ賽銭している情けない男が、あなたに向かって「自分、リードしてます」「自分、頼れるいい男です」という感じを出しながらあなたと会話しているのだ。
――なんたる惨憺!哀切ここに極まれり、である。
もし僕が3,700円君だとしたら、女性と会う時に絶対そんな偉そうな態度はとれない。「僕はあなたに会うために3,700円払っている情けない男です」と、タダと3,700円の径庭をしっかりと彼女に認識させながらコミュニケーションをとる(とれないけど)だろう。
むしろ疑問ですらある。女性に方に聞きたい。流石に自分はタダで相手は3,700円払っているという事実を知らない人はいないだろうという想定の下で聞きたい。
あなたはふと思わないのだろうか、「あ、こいつそういえば3,700円じゃん」と。そして、「3,700円払ってるくせして一丁前に私のことリードしてるわこやつぅ~笑」と嘲笑ってないだろうか。
それとも、その事実をしっかりと理解しながらもそれを取り繕って「何も知りません私」という感じで相手との会話にいそしむのだろうか。
おかしいと思わないのか。可哀想だと思わないのか。
相手だけが3,700円であるという事実に、あなたは何も感じないのか?
……そうか。君も大人になってしまったという事なんだね。二重の意味で。なんちて♪
なぜ男だけなのか
悪し様に長々と文句を垂れてきたが、事実3,700円なのだからもうどうしようもない。ただ僕はここで思考停止にならず、ネットで「なーんで男だけお金払ってるのー?」と調べてみることにした。
ここからそののっぴきならな”そう”な理由について突っ込みを入れたいと思う。
↓<参考サイト>
運営の利益のため
いや女からも取れや。ネットには「男性ユーザーは出会いのために積極的に有料サービスを利用する傾向があるから」と書いてあるが、逆だろ。有料サービスしかないからそれを利用するんだろ。男女比のバランスをとるため
「男性ユーザーが多いと、女性ユーザーが少なくなって出会いの機会が減少する」と書いてあったが、これ因果関係ないやん。男性ユーザー数と女性ユーザー数に相関が無さそうなんだが。出会いの数も減少しないだろ。出会えなくなる男が増えるだけで。
まあ男女比を5:5にしたいなら男の敷居を高くするというのはわかる。ただ5:5にしたから出会いが増えるというのは理屈が通らない。女性の安全を確保するため
これはちょっとわかるかも。敷居を高くすればヤバい奴も少なくなりそうな気はする。毎月3,700円払って恋愛しないやつとか頭悪いしな。でも逆に3,700円払ってでも女性に危害を加えたいやつは無料のやつよりやばそうではあるけど。質の高い出会いを提供するため/男の本気度を上げるため
まあ、まあまあわからないこともないけど、という感想。
質を求めるなら男だけに金を貢がせる必要はないだろ、とも思うが、「女性は遊びでアプリやんないでしょ」という偏見も納得できないわけではない。ただ僕から言わせれば「男も遊びでアプリやらないんじゃね?」ではある。遊びなら男女無料のtinderがあるし、質の高さを求めるなら両方有料にした方がいいよ。トラブル防止のため
3と4を一緒に言及してるだけですかねこれは。「有料にすることで不適切な行動をとるリスクが低くなる」らしいが、じゃあそれこそ女からも金取れや、である。
こいつらの頭の中には「女も無料にしたら虚偽のプロフを書いたり真剣じゃない行動とるかも」という思考回路はないのだろうか。頭腐ってんのか。女信用しすぎだろ。
上の5項目から自分が至った結論は、
利益欲しいなぁ。うーん、女は男ほど出会いに困ってなさそうだし、浅ましいから金取ったらアプリやってくれなさそうだな~。まあでも男は女日照りで困ってるだろうから、金取ってもアプリやってくれるだろ!
ということなのだろう。
おそらく実際にマチアプを使っている男性ユーザーも、このことは重々承知しているだろう。分かっていて”それでも”アプリを利用しているのだ。
サイトには「男性のみ有料というカスみたいな現実に納得していますか?」というアンケートの結果が載せられていて(信憑性は知らん)、結果は、
納得してるっていう体は出してる:42%
納得してるわけねえだろハゲカス:58%
で、まあ半分くらいは納得しているのだ。
現状に納得できない僕の話
ここまで前座(長すぎ)。
ここからじゃあどうして僕ちんは3,700円に納得できないんですか、と言う話になる。
吾輩はテイカーである
世の中には「ギバー」「テイカー」「マッチャー」という3つの人間が存在するらしい。語感がきしょすぎるだろという意見はごもっとも。
参考サイトはこちら
簡潔に説明。
・ギバー
ギブする(与える)人でギバー。名前が一番ダサい。ぎばーて笑。
見返りがなくても与えちゃう人。
・テイカー
テイクする(受け取る)人でテイカー。名前がこの中では一番マシ。
常に世界から多くを受け取ろうとする人。生き馬の目を抜く競争社会を体現している。
・マッチャー
語源は分かんない。名前が程よくダサい。抹茶やん笑。
与えられなければ与えないし、してもらった恩は返す人。
マッチャーはまだ理解ができるが、ギバーに関しては「そんなやついるか?」という感じ。勝手に与えて勝手に「なんで与えてくれないの!?」っていうめんどくさい人間はいそうだけど。
ネットで深掘りしていくと、ギバーには自己犠牲ギバーと他者思考ギバーとかいうのがあってだのなんだので、最終的に「他者思考ギバーになりましょう」という結論を出してるサイトが多いのだが、なんだかいろいろな屁理屈をこねくり回している感じが拭えない。
まあとりあえず、僕は常に「受け取りたい側」であることを主張しておきたい。
こと恋愛において、男側がギバーであるかどうかは甲乙つけ難いので無視するとして、女側がテイカーであることは決定的だろう。これはマチアプで男が3,700円払っているかどうかは関係なく、女性は”基本的に”男性のことを「頼りたい」という精神が働くからだ。
私を引っ張ってほしい。私は自分からは行きません。告白も向こうからしてほしい。デートの場所はいつの間にか予約していてほしい。ドライブする時はお前が運転しろ。金はお前が稼いどけ。麦茶切れてるの知っててそのままなのなんで?気付いたならやってよ。などなど。
え?その代わり?まあ、甘えて”やる”わ。
女性は”基本的に”(⇐これ大事)自分からなにかをするということはない。相手には自分のかわいい姿を見せたり媚びたりすることで相手の承認欲求を満たし、「はい、これでトントン!」というスタンスを取るのだ。
とはいえこれが悪いということが言いたいのではなく、男性も男性で女性に頼られることで自分の世界ランクを上げられるという思考回路なので、まあWin-Winということなのだろう。
頼られたくない、、
頼られたい、という男性心理が僕にもない。しかしそれは一般男性(ブチチ)よりは圧倒的に小さい。
「私を引っ張ってほしい」
⇒無理。自分で頑張れ。
「告白して」
⇒無理。好きなら自分でしろ。
「デートの場所予約して」
⇒無理。生きたいなら自分で予約しろ。
「運転して」
⇒無理。そもそも免許持って無い。ごめん。
こういうことである。
僕は自分が頼られていることを察知すると、すぐに「搾取されるかもしれない」という心理が働くのだ。もちろん相手が「代わりに○○するから!」のスタンスで頼っている可能性もあるが、そうであっても「かわいい自分、見せます!」では残念ながら僕は満足感を得られない。
その場合は僕のお願い、つまり僕が相手を頼るというシチュエーションを経なければバランスはとれない。
さらに「相手が頼ってきてからその埋め合わせのために後から僕が頼る」という順序のコミュニケーションが続く場合、僕は「なんで僕ばっかり頼られてるねん!」と、なんだか自分だけが搾取されているような気分になってしまうのだ。
「相手が頼ってくる」から「じゃあその後自分も頼ろう」になり、「自分が頼りたいから頼る」状態ではないことが許せないのである。
だから僕は頼られたくないし、自分が相手を頼りにしたいと考えているわけだ。
おわりに
今回めっちゃ長い!
まあこれも一興ということで。
頼られたくないよね。基本はね。たまにはいいけど。思い返せば、人生で「頼られる」ことを純粋に喜んだことはないかもしれない。そもそも周りにとっては「頼られている」状況でも、僕の内心ではなんらかの裏の目的があった場合がほとんどである。だから頼られてる感覚が自分にはなかった。
うーん、今回はここまで。またこんな感じの駄弁を綴るぜ。