Appleプラットフォームで“app”が「アプリ」表記に変わった件
時期的にはiOS 17, macOS Sonoma 14のリリース辺りから、Appleプラットフォームでの日本語環境における“app”の訳・表記が「アプリ」に変わりました。これまでは日本語表記はほぼ一貫して「アプリケーション」または英語のまま“app”が使われてきたので、この表記ルールに関しては大きな転換が起きたようです。
一般ユーザーからすると、「単に“app”が『アプリ』に変わったくらいで、大した変化ではないだろう」と思ってしまうのですが、今回はOS内の表記のほぼすべて、公式webサイト、マーケティング関係資料、開発者向けの資料およびデザインガイドライン、Appleのスタッフが用いる言葉のガイドラインなども一斉に切り替わっているように見受けられるので、中々に大きなトランジションな気がしています。もちろん更新が止まった古いweb資料などはそのままの場合もありますが、これだけ一気にやるのは大変だったと思います。WWDCの日本語字幕や関係資料も2024年以降は基本的に「アプリ」表記に変わるのでしょう。
日本語版HIGではすでに「アプリ」表記に変わっています。
ちなみにApp Storeはそのまま“App Store”表記、『アップストア』読みのままですし、macOS日本語環境の「アプリケーション」フォルダの名称も『アプリケーション』が維持されています。伝統的にその表記・読み方が強く根付いているパターンや固有名詞などでは変更が起きていないようです。一方で「Appライブラリ」はiOS 17から「アプリライブラリ」表記に変わっていて、ブランドの浸透具合で訳が区別されているようにも見えます。明示的に“application”と略さず書かれる場合は「アプリケーション」表記なのかもしれません。
アプリ開発者としては、基本的にはAppleのスタイルに合わせてOSや他のアプリとの調和を目指していかなくてはなりませんから、今後の日本語表記を「アプリ」に切り替えていく努力が必要です。
そもそも日本市場では昔からappを「アプリ」と表記、読むことが主流なので、どちらかというとAppleだけがこだわって「アプリ」を避けてきた印象が強くあります。何か強い思想があってなのか、権利的な事情なのかは定かではないですが、現在のAppleプラットフォームでの日本語表記は「アプリ」が正であることは確かです。まあ日本語だと『アップ』と言うとupの方を想起してしまうので相手に通じにくく、アプリと言えた方が無難であることは言うまでもありません。
しかし私のような属性の者は、これまでも分かっていてあえて『アプリ』とは言わないで過ごしてきたものですから、自分で能動的に『アプリ』と書いたり読んだりするとどうしても身体がむず痒くなってしまいます。なんかガラケー(iアプリ)っぽいなと思ってしまうんですよね。慣れるまでには時間がかかりそうです。
余談
2020年初頭ごろにApple Payの日本語Webサイトにて「Walletアプリ」「アプリ」の表記が登場しました。それ以前は徹底して「Walletアプリケーション」と書かれていたので、当時は大きな変化だと思いました。しかしその後しばらくは全体として「アプリケーション」表記が維持されたため、Apple Payの事例は非常に限定的な“表記揺れ”でした。
ということで今後は一般の慣習や他のプラットフォームとも特に区別せず、アプリと表記していきましょう。
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