「自由に弾く」ということ
1月の発表会で弾くコル・ニドライは短い曲ですがチェロ協奏曲です。
なのでレッスンで言われます。
「ソロなんだから、もっと自由に弾いて。テンポもゆらしていいし、ためていいんだよ。オケは待ってくれるから。だから伝えたいことを表現しなさい。」
もちろん発表会はオケじゃなくてピアノ伴奏ですが、先生はオケと言う。
数年前にオケでピアノ協奏曲をやった時、ソリスト(学生さんでした)のピアノの先生がゲネプロにいらしていて、同じように
「オケはちゃんと合わせてくれるから!もっと好きなように弾いていいのよ!」
とソリストに言っていたことを思い出しました。
バッハをやっていた時も、もっと自由に弾いていいんだよ、とよく言われました。
なにがうまくいかないんだろうと考えてみて、表現力のなさの背景に長年のオケ・合奏人生で染みついた「テンポで弾く」から脱却できていないのかなぁと思うようになりました。
でもテンポで弾くことが悪いわけではなくて。
オケの時はオケの弾き方、室内楽の時は室内楽の弾き方、ソロの時はソロの弾き方⋯とプロは弾き分けていますよね。先生の演奏を聴いていても本当にそうだなと思います。
私はこれまでオケ(合奏)一択で弾いてきたので、その切り替えが身についていないんですよね。そもそもソロをやったことがなかったので、絶賛修行中なわけですが。
先日もレッスンで自由に弾けとさんざん言われた後、弦楽アンサンブルの練習では
「チェロがテンポ崩れるとみんな困っちゃうよ!転ばないできちんとリズムを作って!」
と言われました。
切り替えどころかどっちもできてない(泣)
アンサンブルでも緩急はあって当たり前ですが、集団の場合は自由ではない。ちゃんと合わせて弾くことが前提なので、アンサンブルの時は「テンポを大事にする」が第一優先になります。そしてそれがずっと自分にとっての当たり前でした。
とは言え、私にもイメージはあるし、自分では自由に弾いているつもりなのです。が、しかし全然伝わっていないから毎回指摘される。
よくアマチュアが言われる「その10倍弾いてやっとフォルテだよ!」とか「弓の毛一本で弾くつもりじゃないとピアニッシモにならないよ!」みたいなのと同じですね。
ゆらすにしても、ためるにしても、自分の思う10倍やってやっと、ああ、そう弾きたいのねって伝わるものなのでしょうか。
こんなことを考えているので、最近また曲の出だしの無限ループに陥っています。発表会まで1カ月ちょっとだというのに。
殻を破るって簡単じゃないですね。がんばろう。