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友達と距離

柚木麻子『デートクレンジング』を読み終わった。

今日はその読書感想文。

時間と立場と状況と、今まで良好(に見えた)だった人間関係が、ちょっとした変化で崩れていく。それに抗ったり、そのままでいいのだと思ったり、その変化ごと認めあえたらいいよなぁというお話。

だれでも、どこかで分岐点があって、今までの仲良しと別れてきた経験があると思う。中学でクラスが別れた。大学の進学先が別れた。地元を離れたなど。

この物語では、女性の結婚、妊娠、離職、再就職、保活、妊活、、、という節目のような、ステージの変化に、翻弄されるように人間関係が揺れていく様が描かれている。

私は、自分が病気になって、1年大学を休学した時のことを思い出した。人間関係を築くのは得意ではなかったから、そんなに影響がない、かと思われた。でも、ちゃんと人間関係は壊れた。離れてしまった。

病気だからと、今まで住んでいた寮にいられなくなり、退寮。今までの行き来のあった人達の間からこぼれ落ちた。休学して復学。同じ学年でなくなっただけで、もう会うことも、顔を偶然でも合わせることすらなくなった人達から、義理でもの連絡も消えた。

唯一の友人と思われていた同学年の2人も、卒業年度が違ってしまい、1人は卒業してから音信不通になってしまった。1人は今でも時々私がメールすると律儀に返信をくれるけど、彼女は彼女でとても忙しく、私は彼女の優先すべき「友達」ではなさそう。

自分の環境が、自分の意図するところに構わず、変わってしまうことはいくらでもあって、友達も変わってしまう。

それはとても寂しい。

私は大学で初めて友達ができたようなつもりでいたから、2人が卒業してしまったあと、ぼっち感がとても強く、大学では孤独だった。勉強がしたくて、楽しくて、だから大学に行く。行き続けて卒業したけど、大学で得るべきと言われる友人関係や、人間関係は、さっぱり消えてしまい、私には仲間がいない。

それはしかたのないことだと思う。立場が違うと、話す人も変わっていく。取り囲む環境が変われば、普段話す内容も変わる。話が共有できなければ、次第に疎遠になっていく。

でも寂しい。

寂しさも丸ごと全部認めあえて、また仲良くなれたら、いいのにな。

『デートクレンジング』は、そんな夢をみさせてくれる、現実を乗り越える術を考えさせてくれる、そんな本だった。分かり合えないって、誰が決めたの? って。

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