見出し画像

【UAV】災害時におけるドローン運用の可能性と限界【運用】

この度の台風19号被害により被災された皆様ならびにそのご家族の皆様に
心よりお見舞い申し上げます。
皆様の安全と被災地の一日も早い復興を心より お祈り申し上げます。

さて表題のとおりである。

地域土建屋については業界が地方自治体が締結している災害時応援協定等に基づき出動して、各種工事等に従事する必要があるのは言うまでもないだろう。

地域の防災訓練においても地方自治体から「ドローンを出せないか?」などと頼まれることも珍しくないのではないだろうか。

ドローンの可能性は無限であると思料する。ただしその運用方法が確立されていると言えないのも事実であろう。

ドローン運用の特性・意義は「簡易性」「多機能性」「高速性」であると思料するが、それだけに何にでも使えそうでそうでないケースも多い。要するに器用貧乏であるという事である。

災害時に何の目的をもって運用するのか。被災状況の確認の為の空撮なのか。残留住民の捜索なのか。はたまた軽量物の運搬等に使うのか。

スライド1

つらつらと書いていても理解し辛いので凡例を用いシミュレートでもしようかと思う。※シミュレートです。実際の地名等は無視して下さい。

上図はZ県Y町の被災状況である。
〇地形
Y町は四面を山岳に囲まれた典型的盆地であり、市街中央を甲川が縦段、支流である乙川が市街中央に延び本流と合流する水系を有する。
道路は国道A号が南北に延び、他方面接続は国道A号の他B・C道に限定される。
〇現在までの状況
台風155号の影響により昨晩より800mm超の降雨があり、各地で土砂災害や河川の氾濫が連続的に発生し、Y町は孤立状態となっている。
消防・警察・自衛隊のヘリに関しては他方面への救助・捜索に当たっており、Y町へ手が回っていない状況である。なお通信・電気・水道はすべて断絶している。
県は早急なY町の現況の確認を行う方針を決定した。
〇弊社の行動等
・災害等応援協定等に基づき県建設業界からUAVによるY町の被災状況の確認等を依頼された。
・ドローンに関しては中型クアッドコプターを選定、最高速度60km/h、実質飛行時間20分、国内仕様機

スライド2

上図はおおよその距離と飛行経路を白紙的に描いたものである。

目視内外の話は別の話になるので置いておく。なおプロポの送受信が届く範囲は2km程度とする。

飛行時間30分程度の商品が多いが、実質飛ばせるのは20分程度である。安全マージン等考慮すると20分以上の連続した飛行は危険である。風が強いと思った以上に電池の減りも早い。

直線距離1500mを超えるとプロポの画像は乱れ、表示にラグが発生するため直接操作するのは厳しくなるだろう。

どの方面に飛ばすにしろ自動航行、自動撮影が大前提である。

〇A市街方向の被災状況確認
総飛行距離約5800m、往復2000m、市街地上空飛行可能3800m(22km/h)
必要にして十分といったところである。
〇B市街方向の被災状況確認
総飛行距離約6100m、往復3400m、市街地上空飛行可能2700m(22km/h)
〇C市街方向の被災状況確認
B市街と同等(以降考慮せず)
〇D市街方向の被災状況確認
距離的尺度はA市街に準ずるが、地形上当初から高度を上げる必要があり、地形図等での標高確認を要する。

とまあ飛行・状況確認の可否はこんなものであろうか。離陸~観測~着陸まで自動であるので、画像等は帰還させてからという流れになる。

風向風速により飛行可能時間は大きく変わるのでB、C市街方向の十分な観測は厳しくなる可能性もある。

また時速22km/hでの流し撮りは画質悪化等の心配も出てくる。飛行速度を遅くすれば画質は上がるが飛行可能距離が短くなる。

高圧線は考慮していないが、上下どちらかに30m以上離して飛行させなければならない為、事前に地図等でチェックしておく必要がある。

統括すると
B、C市街への飛行は高度を上げてフライパス程度にしておいた方が無難だなあという感じだろうか。
このような判断をしっかりと行政に伝える必要も出てくるだろう。墜としてしまっては無用な被害や損害を出すし、後の捜索にも加われなくなる。

因みに捜索を主目的とすると普通の撮影では能力が不足する。IRセンサーカメラを搭載する必要がある。とてもイチ零細企業には揃えられない器材だがwww

まだまだうちもドローンについては駆け出しなので、零細時間を活用して可能性を見出していきたい。

自動航行の限界は今後しかるべき処置を取り検証してみたい。

画像3


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?