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やりたかった看護は、できているようだ

野戦病院の白衣の天使には、なっていない。

けれど、患者さんとゆっくり関わる。
寄り添う看護は、叶えられている。

新卒は、大きな病院で経験を積まないと。
看護学校に在学中から、就職先を決め、
奨学金を得ていた。
自分の能力や性格、適性など、
考えもしなかった。
いざ、就職し、
早々に向いていないと感じる。
透析を始めれば、血圧が下がる。
それでも、低速でも行わなければならない。
心停止しても、家族の到着まで蘇生をする。
透析は、週三回。1回四時間程かけ、
血液をきれいにする。
透析をしなければ、生命に関わる。
患者さんたちは、死の恐怖を抱え生きている。
ゆっくり、じっくりお話を聴きたい。
けれど、ここは、治療優先。
急変もある。
ピリピリした雰囲気が漂う。
透析が希望だった訳ではない。
大量欠員があり、希望の内示が、
急遽変わった。
尚更、やる気が起きない。

仕事に慣れ、ゆとりが出てくると、
機会を見つけ、患者さんと会話をする。
リクエストがあり、
陰に隠れて、歌を歌ったこともある。
職場のスタッフとは、関係が築けなかった。
患者さんが可愛がってくれたから、
何とか、石の上にも三年踏ん張れた。

看護師も嫌になり、退職後、
貯蓄が尽きるまで、職に就かず。
いよいよまずいと、
産休代替え(有期)の仕事を見つける。
「公立精神保健福祉センター」
保健師の産休期間中、
精神科デイケアに配属された。
私服。
業務は、臨床心理士、作業療法士と、
統合失調症や自閉症などの若者対象の、
リハビリテーションを行う。
工作、運動、調理、話し合い。
外出の同行。
10代20代と、年齢の近いメンバーとの関わり。
学校に行けない、仕事に行けない。
家から一歩出るのも大変。
生き難さを抱える彼らからすると、
看護師の資格を持ち、働け、
みんなに寄り添える職員は、凄い存在。
良く慕ってくれた。
中には、
「キラキラして見え、始めは近寄りがたかった」と、
後から打ち明けてくれた人も。
一緒に活動し、時には寄り添い相談にのる。
仕事が出来ず、看護師を辞めた。wo 
しかし、ここでは、
慕われ、
上司から「この仕事が合っているのでは」と、
評価を頂く。
精神科、
社会復帰支援をこれからもやって行きたい。
期間満了後も、精神病院の社会復帰部で、
職を得ることが出来た。

途中、看護行為がしたく、
訪問看護にも行った。
そして、精神科に戻る。
精神科デイケア、精神科訪問看護、
病棟勤務。
退院に向けての準備は、
ゆっくり進む。
身体ケアも、時間をかけ、
取り組む。

例えば、
「毒が入っているから、飲まない食べない」患者さんを、
説得するのは難しい。
苦しさを受け止め、
「毒味をしたよ」「解毒したよ」と、
芝居をする。
退院する自信のない患者さんに、
少しずつ、成功体験を重ねてもらい、
自信をつけていく。
何が辛い、苦しいのか、
言葉にできない患者さんは多い。
答えやすい言葉を考え、
ゆっくり関係を築いていく。

時々、「何をやっているんだろう」
思いうように進まず、
もどかしさを感じることもある。
けれど、あの頃を思えば。
患者さん達と、笑って泣いて、
交流する時間はいっぱいある。
私のやりたかった看護は、
寄り添う。
一緒に感情を味わう。
おならが出た!と拍手をする。
立てた、歩けた、と一緒に喜ぶ。
できているじゃない

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