大切なひとが激務な話。
※2021年の私に捧ぐ
こんな話、他にはどこにも書くところがない。
いやもっと大変な人、他にいっぱいいるよ、
とか言われたらたしかにそうかも…となってしまうなと思うし。
でも、少しだけ文章にしてみる。
私のいま一番大切な人は、
激務サラリーマンである。
平日の退勤時間は、早くて23時半。
週に3日は日付を超える。
お休みの日もいつも仕事。
月の残業時間は160〜200時間を行き来しているらしい。
そんな生活がかれこれ1年半続いている。
私の働く会社も、到底ホワイト企業とは言えないけれど、今はそんなことはまずあり得ない。
私はとても心配である。
いつもそばにいて、体とか心のメンテナンスをしてあげられれば良いのだけれど
いま、私と彼の勤務地は500kmほど離れている。
会いに行ける時は出来るだけ私が会いに行って、
起きている時間は一緒に布団でごろごろしたり、外でまったりしたり、軽く体を動かしたりして、
それ以外は寝られるだけ寝る。
でも私は、彼とは違ってそれほどいっぱい働いているわけじゃなくて、毎月そんなにたくさん給料をもらっているわけでもないから
彼とは違って毎週だいたいちゃんと来るお休みのたびに、新幹線での行き来をするのは容易いことではない。
その代わり、というわけではないけれど、毎晩日付が変わる頃にかかってくる電話に出て、
無事に家に帰り、規則正しく呼吸をしながら眠りにつく彼を見届けている。
彼はいつも、
ごめんね、寝てていいからね
と言ってくれるけれど、苦痛とかでは全くない。
むしろ毎晩12時とか、1時ごろにかかってくる電話を心待ちにしている。
彼のことが大好きだし、彼の声を聞くのも好きだし、話したいこともいろいろある。
だから、毎晩の電話は必ず出たいし、出ている。(彼の帰りが2時半とか、3時とか、はたまた朝日が昇る頃になる時以外は。)
むしろ頼ってくれることが、会いに来てって言われることが嬉しいし、
彼より時間と心に余裕がある分、全力で応えたい。
少しでも、ほんの少しでも私の存在が癒しで、支えでいられればそれでいい。
尽くすタイプとか、見返りを求めないとかそういうやつではなくて、
社会の常識から逸脱した働き方を、このご時世にしっかり体現している彼が、
心身ともに安定した生活を、せめて、会社の外では送れるように。それだけ。
でもときどき、目が真っ赤に充血していたり、
肩とか腰とか脚が、ありえないくらい凝っていたり、
(脚ってデスクワークでここまで凝るの、知らなかった。全デスクワーク勢は気をつけた方がいい)
かかりつけの整体師さんに、かなり血流が悪くて危ないから気をつけてって言われた〜って帰ってきたり、
そのたびに、不安で、心配で、たまらなくなる。
明日もちゃんと、メッセージが既読になりますように。
会社からの帰り道に、電話がかかってきますように。
もし、何かあっても私はすぐに対応してあげられない。
もし、電話をかけても出てくれなかったら、
何が起こっているのか確かめに行くことも、すぐにはできない。
この状況、短くてもあと1年は続くらしい。
それが終わればこの遠距離恋愛も、終わらせられるらしい。
私と彼は、その日を心待ちにしている。
どうかどうかそれまでは、
大変なのは知ってるから、
上司も会社も守ってくれないみたいだから、
ちゃんと、私に見届けさせてほしい。
いや、もっとすぐ近くにいて、何かあったらすぐに気づけて、ちゃんと癒してくれる人が他にいるなら、
その誰かにこの役目、代わってしまっても全然いい。
彼がとにかく健康で、この仕事をやりたいように全うできる形ならなんでもいい。
お願いだから、元気でいて。
こんな生活で、元気なわけないけど。
明日もベッドから起き上がって
お昼には私のしょうもない報告とかスタンプに既読をつけて
夜、会社から出たら電話をかけてきてほしい。
それだけ、ただそれだけ。