夏の答合わせ 〜長い夏休み5〜
コロナ解雇ではじまったこの長い長い夏休みも今週で終わり。来週からまた真っ当に働き始める。この夏休みの締めくくりにウイバナさんのワンマンライブ「至誠」に足を運んだ。
人生を漂流していたこの夏、このnoteで出会ったhttps://note.com/webana_saki/n/n7991dcd9cd5a、といってもいいウイバナさんにどれだけ力をもらったことか。TIFの野外ステージでその歌声を轟かせ、天に聴衆を引き上げるかのような感動を与えてくれた。
そんなウイバナのサキマルさんが「答合わせ」と位置づけたワンマンライブ。推しのミリスパさんのワンマンは、仕事をしていたので、まともに一度も行けていない。まるでこのライブのために失業したかのようである。
おなじみのSEに続いてステージに立った姿を見て、意外にも最初につぶやきそうになったのは「きれいだ……」という思いだった。
ゴシックドレス調の新衣装、サテンの放つツヤもさることながら、サキマルさんの肌が美しい。そして腕や体がか細く見える。この日のためにこれほど美しくなれるのだろうか?
娘の花嫁衣装姿はこんな思いで見るに違いない、即座にそういう思いがよぎった。娘の代わりにサキマルさんがその体験をさせてくれたのだと思えた。
部分は全体であり、全体は部分である。一曲のなかにドラマが詰め込んである。そして普段の20分枠の対バンライブなどは、4〜5曲でまた大きなドラマを作る。そしてワンマンライブではさらに多くの楽曲で「ウイバナの世界」を作り上げる。
この入れ籠を、曲ふりをしたアニメの中で「ウイバナの夏」と最後に「自分たちの人生(母への手紙での回想と将来への思い)」で構成している。
そして、もちろん、楽曲での再現も。一曲の中の表現は曲数が多いのにもかかわらず、むしろ、普段より濃厚。そして全体としてもスピードの緩急、曲調の軽快さと荘厳さでストーリーを作り上げていた。
期待を裏切らないパフォーマンスの力。
ユニゾンの調和とソロの個性の対比。サキマル節とシグマさんのロングトーンの対照は今日も冴えわたっていた。
シグマさんのターンは新衣装のスカートを美しく舞わせていた。
そして余すところなく見せつけてくれたサキマルさんの歌唱力。
何曲歌っても揺るがないボーカル。余裕すら感じる安定感の中、ときに爆発力を発揮して圧倒する。
サビを歌わなくても、Aメロ、Bメロのワンフレーズだけでもロングトーンと変わらず胸に響いてくる。
そんな感動が、曲数を重ねた分、なん乗にもなって迫って来て、無防備だった私はただただ見入るだけだった。
そうして90分があっという間に過ぎていった。
しかし、胸がじんわりと熱くなっている感覚がずっと残っていた。
サキマルさんはこのワンマンを「答合わせ」と何度もおっしゃっていた。
どんな採点結果だったのかわからないが、私は答合わせどころか、たくさんの問題に向かうことになった。
なぜウイバナのステージはこんなにすごいのか?
ビブラートは繰り返すと普通あきるのだけれど、サキマルさんのはなぜ何度聞いても魂に響くのか?
このステージがなんでたった1000円なのか?なぜこんなに近づいて見られるのだろう?
なぜこのライブがホールでないのだろう?
これほどのアーティストがなぜMステに出ないのだろう?
才能あるライブアイドルに常々思っていることが頭の中を巡る。
持っている表現力からすると、ステージが狭すぎる。
持っている歌唱力からすると、天井が低すぎる。
舞台装置ももっとふんだんに使って演出するだけの価値あるパフォーマンスだ。
それでも彼女たちは謙虚だ。感謝と精進を忘れない。
すばらしい若者たちだと常々思う。
問題に向かうために、彼女たちにたくさん聞きたいことができた。
たくさん聞きに行こう。
90秒ずつ、たくさん聞きに行こう。そう思った。