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ウイバナ考 番外編6 サキマル生誕祭2024

日曜日はサキマルさんの生誕祭。マクマキさん描いた百面相イラストがかわいくて見た瞬間爆笑。なんとフライヤーが“31アイスクリーム”のパロディーになっている。"Berkin Robinson" もよく見ると"Birthday Princess"としっかりサブタイトルにして、「恐れ入りました」としか言いようがなかった。

生誕祭フライヤー

生誕祭は普段できない個人としての表現ができる場。そこでなにをするのか、サキマルさんほどのアーティストとなると、やはりそれから目を離せない。なにを思いステージに立っているのか、そしてなにを伝えるのか。どんなメッセージを送るのか、見守った(こう書いて、誕生日を祝う気がとても欠けていたことに気づいた)。

非常に明確だった。「ありがとう」という言葉だった。かかわるすべての人にサキマルさんはこの言葉を伝えた。そして思いの丈を代弁するかのような、SUPER BEAVERの同名の楽曲を唯一のカバー曲として披露した。

私はこの曲を知らなかったのでまるでサキマルさんの持ち歌のように聴いた。あとで調べたら、サキマルさんの造詣の深いバンドソングだった。オリジナルを聴いたがこれはとても難しい。同じような歌詞、同じようなメロディ、曲調が延々と繰り返されるのである。自分で作詞でもしていないとまず歌詞を覚えるのが一苦労である。そして歌い方も簡単ではない。オリジナルはバンド編成だから同じ曲調でも伴奏に変化がつけられる。しかし、サキマルさんはピアノソロの伴奏なので限界がある。Ravelのボレロ程でないにしろ、ややもすると単調な繰り返しになって飽きてしまう。
しかし、ここは”サキマル節”の出番。ありあまる声の変化と、なにより思いをのせて、発するワンフレーズ、ワンフレーズすべてで観衆を釘付けにした。

あなたの願いと 祈りと
夢と 明日と 僕と共に生きるよ
あなたがその想いをくれたんだよ

「ありがとう」 SUPER BEAVER

畳みかけるように放たれたサキマル節に異なるphaseに入ったサキマルさんが見えた。サキマルさんの言うところの「魔力」だろうか。その力はいま、聴衆だけでなく、サキマルさん自身にも向けられているように感じられた。

昔の記憶をたどってすぐ類型化するのは年寄りの悪いところなのだが、今回の「ありがとう」というサキマルさんの真っ直ぐで率直なメッセージはDREAMS COME TRUEの吉田美和を思い出させた。彼女が30歳だった1995年発表された「love love love」はレトリックなしでダイレクトで「愛してる」「愛」「love」という言葉ずばりを並べている。なんの躊躇もないこの歌詞にとても鮮烈な印象を受けた。サキマルさんが「ありがとう」という真っ直ぐな言葉を畳みかけるような楽曲を自らのメッセージとしたのは、ただの偶然なのか世代は違えど同じ年頃になると女性アーティストがたどり着く境地なのか、興味深いところだ。

熱唱するサキマルさん

年をとってひねくれる一方で、なかなか素直な言葉をかけられなくなったが、生誕祭だけに、
生まれてきてくれてありがとう。
なのだろう。
そしてステージに立ってありがとう。
舞ってくれてありがとう。
歌ってくれてありがとう。

だけれども、なにより、
サキマルさんという存在にありがとう。

帰宅後、生誕祭の聴衆全員に配られたサキマルさんのメッセージを読む花粉症ピクルス

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