#26 荷の重い仕事への向き合い方
健全な職場においては、自分の能力以上の成果を求められる「荷の重い仕事」が少なからずあるもの。
緊迫する修羅場や高い数値目標、重鎮との商談など、自分が経験したことのない大事な局面を乗り越えるには、知識や技術よりもまずメンタルコントロールが大切になります。
僕自身も特に新人の時は、任される業務や目標の多くは力に余るものばかりで、精神的負荷はそれなりに大きかった記憶があります。(経験に乏しいので当然のことですが)
そんな場面で意識してきた言葉として、
『大きな仕事を手軽にやってのけるのが、大事を成す秘訣。』という三国志の英雄、曹操の名言があります。
「仕事を手軽にやる」というと手を抜いているように感じますが、
「困難を前にしても、いい意味で気楽に構えて立ち向かうことが、後に大がかりな仕事を成し遂げることに繋がりますよ」というのが正しい文脈です。
(曹操はこの言葉で、実の父親である曹嵩をなだめたそうです。若いうちから肝が据わっていますね。)
僕もこの言葉によって、何度もつらい場面で視座を上げさせてもらっていました。
冷静に考えてみると、若造の自分にとっては大変に思えることでも、大抵のことは人生の先輩達が通ってきた道なんですよね。
経験の少ないうちは、いきなり慣れない局面に置かれると、必要以上にメンタルブロックをかけてしまいがちですが、そんな精神状態で慌てて動いてもいい成果は出ません。
メンタルブロック
・人間が何か行動等を起こす場合に、出来ない、ダメだ、無理だと否定的に考えてしまう思い込みによる意識の壁、あるいは抑止・制止する思考のこと。
・メンタルブロックをかけ続けると、結果として何もしなくなる(何もできなくなる)といった状態に陥る。
・従って、人間は意識的にメンタルブロックを打破するような思考を身につけることが、積極性等を維持する意味で重要となる。
自分1人ではどうしても気持ちが落ち着かない時は、現状を上司や先輩達に話して壁打ちをするのもおすすめの打開策です。
自分が主観的に感じている仕事の手強さを、経験者の視座で客観的に捉え直してもらうことで、「あれ、そんなにテンパる必要はなかったかな?」と思えるようになってきます。
困難な仕事を、自分の精神や時間を蝕む敵と見做すのではなく、今後更に大きな仕事をするための成長の機会として、前向きかつ気軽に捉えることで、自分に足りない知識や能力を冷静に見抜き、来たるべき時に正しく準備することができます。
そうやって自分に力がついてきて初めて、徐々に仕事が楽になってきます。若いうちの苦労は買ってでもしろというのは、ここに繋がってくるんだと思います。
最初から楽な仕事は、始めたばかりはできることも多く楽しくこなすことができるかもしれませんが、それを何年も何十年も続けていればいずれ飽きますし、
定期的に困難に立ち向かう習慣が無いことで、将来の大きな困難に柔軟に対応できなくなるというリスクも高まります。
目の前の困難に対する感謝の気持ちを大切に、
かつ気楽に構え、自分にできることを一歩一歩増やしていくことが、人生に彩りを与えてくれるはずです。