0528 烏ヶ山
今後も山へ行く機会が多そうなので、登山靴を購入した。登山靴を購入するのは、これで三回目である。初めて買ったのは高校生のとき八王子で、二回目に買ったのは大学院生のとき札幌で、そして今回は茅ケ崎で。初めて買ったときに比べたら、登山用品を売っている店もずいぶんと身近になった気がする。そうして購入した登山靴は、鳥取で初めて使うことになった。
遠方へ登山靴を持っていくときにはどうするか。今まで、屋久島や層雲峡など、何度か登山靴を持って旅行へ行ったことがある。はっきり覚えてはいないが、大きめのボストンバッグの隅に入れていたのだと思う。しかし、けっこう持ち運びが大変だった。
今回は、登山靴の近くにシューズを持ち運ぶ専用の袋が売られているのを見て、これに入れて登山用のリュックに入れたらどうかと思い、試してみたら、それなりによかった。またどこか遠方の山へ行くときには、この方法を用いることになりそうだ。
大学時代、私は鳥取に住んでいた。大学ではワンダーフォーゲル部に入り、森林の勉強をしていた。樹木の名前を百個覚えるなどのテストをしたのは、関東ではなく、山陰の山でだった。どうりで丹沢の山を歩いても、とっさに植物の名前が思い浮かばなかったはずだ。コハウチワカエデ、オオカメノキ、ナナカマドは、丹沢で私がうろちょろしていた地域にはないものだったが、烏ヶ山でおよそ二十年ぶりにこれらの樹種を見た瞬間、頭の中で名前がよみがえった。
ここら辺にはシカがいないようで、木の下には、本当にたくさんの植物が生えている。
丹沢では、シカが入らないように柵で囲わないと、あっという間に木の芽生えも食べられてしまう。ミズナラやカエデの、芽が出てから数年たった様子の木などがのびのびと生えていて、地元との違いに驚いた。途中で笹の花が咲いているのも目に入った。
はしゃぎながら歩いているうちに、あっという間に森林限界を過ぎ、わずかながらも、高山植物が岩の陰に隠れてひそひそと咲いているのが目に入る。事前に下調べをしていなかったので、そんなことも予期せぬ出来事として楽しめる。宇多田ヒカルが水の宣伝で撮影を行ったという場所があり、そこで水を飲む様子を撮影したりもした。
行動食として、デーツとナッツの組み合わせがなかなかよいなど、新たな発見もあった。学生時代はお金がなかったので、部活では100円のビスケットを買い、それを一人100グラムづつ分けて食べていた(事前に秤で測って、袋に小分けにしていた)ことを思い出し、当時はよくやっていたものだと思った。
当時いた部活は、どちらかというと古い体質であり、休日はほぼすべて部活に費やしたり、放課後も予定が盛りだくさんなど、バイトもろくにできないどころか、挙句の果てには授業すら受けられなくなるほどの忙しさだった。私が入ったころは人が減って、一人あたりにかかる負担が以前と比べて増加していた時期だった(その後どうなったのかは知らないが)。また、一つ上の先輩が辞めてしまうなど、今思うと、入ったばかりの新人がろくに教育も受けないままがっつり業務を任されるという、よくある次々と人が辞めていく職場のように、負の連鎖が続いていたのだろう。結果、本州にある山登りの部活に入っていて、それなりにきちんと活動していたのに、私は北アルプスも南アルプスも行くことはなかった。唯一残った同期は、「そういう山にも行きたいけれども、トレーニングはしたくなくて、葛藤している」と言っていて、単独登山は禁止されていたので、行きたければ退部するしかなかったのだった。最終的に退部せざるを得なくなったころには、もう山へ行く気力はなくなっていた。今回行った烏ヶ山も、部が機能していれば、普通に行ける山だったはずなのだが、機能不全となっていたため、なんとあれから二十年前後のときを経て、初めて行くことになったのだった。
朝から登って、昼過ぎにはもう降りてきてしまい、下山後は昼食を食べて、温泉に入った。懐かしの鳥取の山や、久々の大きな岩や高山植物などにはしゃぎすぎてしっまったのか、帰宅後は寝込んでしまった。
案今回提案してくれて、車を出してくれて、そして同行してくれたWさん、どうもありがとうございました。
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