後悔しないコンサートのつくりかた(2)場所を決め、準備する【吹部向け】
前回はまず、演奏会の目的やコンセプトを確認するステップについて紹介しました。第2回は、演奏会場についてです。
(1) 演奏会の内容を考える
(2) 場所を決め、準備する
(3) 曲目と曲順を決める
(4) チラシ、チケット、宣伝
(5) 対外手続きをする
(6) 役割分担
(7) 当日配布の印刷物
(8) 当日必要なものを準備する
(9) リハーサル
(10) いよいよ本番日!
演奏する場所、いろいろ
吹奏楽はオーケストラと違って、野外でもへっちゃらで演奏できます。
野外だろうが(…木管楽器には日影の方がいいけど)、室内だろうが(…あんまり狭くなければ)、ピアノもいらないし(…どうしてもやりたい曲に入ってる場合を除く)。
あれ? あんまりどうでもよくなくなってきた?
そう、よりよい演奏をしたいと思ったら、場をどこにするかというのは、すごく重要なのです。でも、吹奏楽団が演奏をお願いされる場所というのは、前回の記事でも挙げたように、本当にいろいろ。駅前の広場、たたみ敷の公民館、秋祭りのやぐらの上……
ですから、初めての場所で演奏をするときには、可能なかぎり会場の下見をしましょう。たとえよく知っている場所だとしても、そこで演奏したことがないならば「ここで演奏するとしたらどう聞こえるだろう」という目線で改めて行ってみたほうが良いと思います。
もし可能であれば、実際に楽器を持って行って、吹いたりしてみましょう。それが無理だったら手を叩いてかえってくる反響で、どんな風に響くのかをある程度試してみることができるでしょう。
※お金を払って借りる場所、文化会館やコンサートホールの場合は、下見のまえにも予約の必要が発生する場合があります。→そのへんは(5)対外手続きをするで詳しく解説します。
下見のポイント
さて、下見に来たら、ただ漠然と音をだすだけでなく、何を見ておけば良いのでしょうか。調べたいことは、だいたい次のような感じ。
◆ 音がどのくらい響くか、響かないか…
狭い部屋では音がうるさく感じられることも。反対に野外では音が跳ね返る壁が無いため、どのくらい音が分散してしまうのかが気になるところ。場所によってはPA(=音響設備…マイク・スピーカーなど)の使用を検討することになるかもしれません。もし当日までどうしても会場を訪れられない場合は、せめて写真ででも確認したいです。
◆ 床や壁の材質…
床がじゅうたんだと布地が音を吸ってしまいます。毛足の長いふかふかのじゅうたんほどよく音を吸うのでぜひ覚えておきましょう。フローリングの場所のほうが良く響きます。天井の高さが低すぎたり、窓にかかっているカーテンの数や厚さも、響きにとても影響するので、ぜひとも確認したいところです。
もし文化会館などの会場を検討している場合、いちばん良いのはそこで開かれるコンサートを聴きにいくことだと思います。吹奏楽だとなお良いですが、どんなジャンルでもOK。タイミングよく演奏会があって、チケットが手に入るなら、ぜひとも下見を兼ねて聞きに行きましょう。
ステージ周りの確認事項
ステージの響き方以外にも、以下のようなことが確認できると良いと思います。
◆舞台の大きさ…
奏者が無理なく全員のるか、パーカッションののる&動けるスペースがあるか。横幅と奥行きをチェックしましょう。あまり奥行きの無いところだと演奏しづらい場合もあります。
ステージの横幅はイスの並べ方にも大きく影響します。下見の際はメジャー必須。場所の見取り図があると、なおよいですね。(例:ティアラこうとう 大ホールの舞台平面図。たいていの文化会館ではこんな感じの図がもらえます)
ひな段が使えるかどうかも重要なことです。使用できたほうが、見栄えも音もよりグレードアップできます。寸劇や振り付けを取り入れた曲をやりたい場合は、演出のためのスペースが取れるかどうかも確かめておきたいところです。
一般的なコンサートホールのひな壇の例
◆運搬の問題…
演奏会場へ楽器などを運び込む導線は、見落としがちですが大事なポイントです。搬入口の大きさや停められるトラックの台数、大きさをチェックしましょう。ビルの最上階なのにエレベータが人用しかないとか(ティンパニ不可か?!)、階段しかないとか(運搬人数を強化せねば)、搬入口から舞台が遠いとかドアが小さいとか……これもやっぱり実際に見るのがいいと思います。
あと余談ですが、着替えや準備のために楽屋が用意できそうなときはぜひ検討しましょう。(借りる部屋の数を増やすと余分に料金がかかることもあるので、そこは確認を)。指揮者やゲスト、ソリスト、司会者など、特に外部からお招きする演奏者には個室の楽屋があったほうが、より丁寧だと思います。
場所の確認と前後して、次はいよいよ曲目・曲順を考えていきます。