後悔しないコンサートのつくり方(5)対外手続きをする【吹部向け】
前回までで、コンセプトや企画を決め、場所を決め、宣伝をするところまでを取り上げてきましたが、第5回はすこし時間を戻して、演奏会場を借りる場合、それに必要な手続きの流れをまとめてみます。この流れが必要になる時期は借りる場所によってもまちまちですが、大まかに言って2年前~2ヶ月前程度に起こると思ってもらえたらよいかと思います。
(1) 演奏会の内容を考える
(2) 場所を決め、準備する
(3) 曲目と曲順を決める
(4) チラシ、チケット、宣伝
(5) 対外手続きをする★
(6) 役割分担
(7) 当日配布の印刷物
(8) 当日必要なものを準備する
(9) リハーサル
(10) いよいよ本番日!
一般的なコンサートホールを借りるために必要な手続きの流れは、大まかに言って、仮予約・予約 → 契約・利用料支払い → 利用料支払い → 打ち合わせ→ 当日 …みたいな感じです。
コンサートホールは予約の開始時期や手続きの仕方が場所によってもうほんとに千差万別なので、目星をつけたホールは乗り遅れないようにホームページなどを逐一チェックしておきたいところ。また、お目当ての会館を借りるための流れを事前に調べて把握しておけば、期限間近にあわてて団員から利用料の徴収などをしなくてもすむでしょう。
【仮予約】
最初に予約をうける、第一段階。電話や窓口で行います。このままでは正式な予約にならず、5日〜1週間など、一定期限の間しか効力のないパターンも。とはいえ、まずはエントリーしなくては話がはじまりません。
この時点で、同じ日の利用をねらっている団体がいくつあるのかを公開してくれる会館もあります。もし倍率が高すぎるなら、他にもいくつか会館の候補をみつくろっておいたほうが良いかもしれません。
【予約】
抽選式、先着順など、そのホールによってシステムが異なります。ホールのある市町村の住民は優先的に予約できるきまりがある場合もあるので注意。逆に言えば自分たちの団体がある自治体の会館は、使うためのハードルが低くなることもあるということです。区外の利用者は6ヶ月前から申請可能だけど、区内の利用者として予め登録している団体は7ヶ月前からOK、とかいう場合ですね。(前もって団体登録が必要な場合も)
抽選の場合、決められた日時に会館で抽選が行われます。当日その場に団体の代表者が集まってすることが多く、抽選日が平日の場合もあったりするので、あらかじめ誰が出席できるのか決めておくことが必要になるかもしれません(中には実際にホールに行かなくても自動で抽選して結果をお知らせしてくれるところもあるようです)。
【契約・利用料支払い】
予約が無事とれたら、利用申請書や契約書などを提出します。過去にどのような公演をしているのかがわかる資料を提出しなくてはならない場合もあります。これまでに開催した演奏会のチラシやプログラムなどを保管しておくとスムーズです。
提出と同時期にホール使用料を入金しなくてはならない場合もあります。提出期限や入金期限はきちんと守りましょう。先に前金として全体の何割かを、あとから利用料の残り+設備利用料を精算するというパターンも多いです。これはチケット収入を回収したあとで支払いすればよいという、ある意味主催者に配慮したやり方と言えるでしょう。
【打ち合わせ】
入金も済ませて、晴れてホールの使用権を獲得したあと、だいたい本番の1~2ヶ月前に、ホール側のスタッフとの打ち合わせがあるかと思います。
学生の吹奏楽団の場合、顧問の先生や父兄が手続きをしてくれる場合でも、打ち合わせには生徒が同席できると、部員への話の通り方が違うでしょう。
打ち合わせでは、どんな演奏会にしたいのか、どんな要望があるのか、演出内容についてなど、細かなところまでスタッフと詰めていきます。舞台配置図(椅子や譜面台、楽器、マイク等の配置を書いた見取り図、転換する場合は全部の配置に必要)と、進行表(=タイムスケジュール)を準備しておきましょう。このため、(3)曲目・曲順を決めるは、打ち合わせよりも先に完了しておく必要があります。
ちなみに舞台配置図を簡単につくれるアプリもあったりします。
野外や公共施設の場合は、騒音対策のために提出しなくてはならない書類があるかもしれないですね。その他に、トラックや、備品や、自分たちの持っていない打楽器・特殊楽器などを調達したりせねばならないかも。あと、もしも演出プランの中にステージで火の気や水気を使うものがある場合は、地域の消防署等に予め申請をしなくてはならないため、できるだけ早くホール側に相談されることをおすすめします。
書類一枚出し忘れたせいで実現できないことがあるのは非常に悔しいので、幹部だけに任せるのではなく、部員で出来る人が率先して早め早めにうごき、着実にクリアしていきましょう。