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ローカルドラマ「パラレルゲイト~琉球異世界譚~」を視聴して

 あけましておめでとうございます! 浮島龍美です!noteを久しぶりに書く事になりました!

今回はQABで放送されたローカルドラマ「パラレルゲイト~琉球異世界譚~」の感想を書きます!



作品について

「パラレルゲイト~琉球異世界譚~」は琉球の歴史や文化を題材にしつつ、それをパラレルワールドの視点で表現する3つのオムニバスストーリーとなっています。原案は「琉神マブヤー」などでお馴染みの脚本家山田優樹氏(俳優の山田祐貴とは同姓同名の別人)であり、脚本はそれぞれの作品を担当する監督さんが書いています。


スクール・オブ・UTA

最初の話は特殊能力の子供を集めた「沖縄版魔法学校?」の話である。こちらの世界では復帰後に日本の法律で(そば粉ではないとそばと認定されない)「沖縄そば」が消滅した世界線です。「沖縄そば」が消滅したという事はその名称を残そうと奮闘した𡈽肥健一が沖縄に来なかった世界線(?)でもあります。他局ですが、彼に関しては「強者列伝」で紹介されています。

話はストーリー本編に戻すと、主人公のユメはひょんなことから沖縄そばがあるパラレルワールドの世界に行ってしまいます。(そちらは我々が知る現代の沖縄)彼女はパラレルワールドの沖縄でそば店の写真を撮りながら歩きますが、そこに喜納先生が現れ、パラレルワールドの説明をします。(なかなか聞き取れなかったのですが、時間内に戻らないと消えるみたいな事を言っていたと思います)

そして主人公は時間内に戻ろうと、走りますが、ついに間に合わずに消失してしまいます。私は「あーついにその子も消えてしまうのか」って思いましたが、喜納先生が能力を使用し、主人公が元に戻り、元の世界に戻る事ができます。しかし、主人公は代償として外での能力使用を禁止され、トイレ掃除をさせられました。喜納先生の方は永久に能力の使用禁止です。

代償がかなり大きかったものの、一応物語としてはノーマルエンドって感じでした。

個人的にどーでもいいのですが、主人公のユメ演じる子が「虎に翼」でチェ・ヒャンスクを演じたハ・ヨンスにそっくりでした。


mermAId

 次の話は「mermAld」という話です。読みは「マーメイド」で合っているのかな?こちらはうちなーぐちが廃れた世界線の沖縄で(現実世界の沖縄なのか沖縄戦が無い沖縄なのか不明)やんちゃな主人公のアツシ(ゴリゴリのヤンキーですけどね)が人魚とAIの生物兵器ど出会う話です。

そのなんというか、こちらの世界ではうちなーぐちを使うのがヤンキーぐらいでしかもスランクなものばかりというの現実の沖縄とリンクしていますよね。それに関しては私の小説「VANISH!」でも言及されています。

また、電話のヤンキーが「ぃやーのチラ見ていると、イライラ―するばーよ」と言うセリフは私たち世代のヤンキーが言うセリフ過ぎて笑ってしまいました。

AI人魚は後からやんばる研究所から逃げ出した事が判明し、最終的に主人公と共に謎の男に追われる身となります。

謎の男は人間なのかロボットなのか不明ですが、なんんとなく人間では無さそうです。

最終的に主人公は謎の男の一人に殺害され、人魚は力に目覚めて追ってを倒しますが、結末は見事にバットエンドと言う感じがしました。

バットエンドでありながらやんばる研究所がどんな施設なのかは明かされませんでしたが、最後の作品と繋がっている感じがしました。

しかし、この作品で剥がれ落ちているのはうちなーぐちを奪ったのは誰か?誰の責任か?という事。うちなーぐちは琉球語、琉球諸語とも呼ばれ、かつては琉球国で話されていた言語でしたが、1879年に日本に滅ぼされ、「方言札」と言った苛烈な同化政策により、どんどん廃れていきます。

そこが言及されなかったのが残念だなと思いました。(琉球諸語を奪ったのも「大日本帝国」の責任ですから)

エイサー・イン・ザ・ダーク

最後の話は核戦争と言う第二の沖縄戦が起こった後の世界線。それは日米両政府が「沖縄」を軍事拠点にしまくり、最終的に「捨て石」にした世界のような気がします。

そんな終末世界の沖縄ではロボットのみが動いており、ある一体のAIロボットが幽霊である一人の少女と出会う話です。

こちらはカメラワークと言い、物悲しさを伝えており、海の景色と言い、摩文仁の丘を彷彿とさせるような光景でした。

ロボットの少年がエイサーを再現しようとしてもできないあたりはAIが沖縄関連のものを再現するのが下手くそである事を表現しています。

ロボットの少年と共にエイサーを再現するのを手伝う旧型のロボットのおじさんはAIロボットの癖してなぜか酒を飲んでいる所が人間臭くておもしろかったです。(しかも中の人があかばなー青年会という面白い名前。見た目の雰囲気はVANISH!の登場人物の一人松茂良興一のイメージです)

少年がエイサーを再現する様は戦後、何も無い所から米軍の缶詰などで三線や太鼓を作り出そうとした当時のうちなーんちゅを彷彿とさせます。

余談ですが、ロボットの少年がエイサーが似合う子だったので、よく探してきたなーって思います。

幽霊の少女は戦争で死んだのかと思いましたが、私の母曰く「戦争以前に亡くなったのでは?」と述べています。

最後は切ないですが、終末世界の沖縄に青年会ができるという希望のある終わり方でした。


全体を通しての感想

全体を通して見ると、最後の曲が良かったですし、やはり朝ドラを始めとする沖縄作品などでよくある「ステレオタイプな沖縄」から脱却しようとしている感じがしました。また、この作品ではパラレルワールドの沖縄という事もあり、「米軍基地」の事が言及されていませんでしたが、最後の「エイサー・イン・ザ・ダーク」は米軍基地が沖縄にある故の結果という感じがしました。

また、3つのうち2つはボーイ・ミーツ・ガールの話ですが、どちらも互いに恋愛感情が無かったところが良かったです。(ふたつめの話は怪しいですが)

これからこういう作品が増えて欲しいなって思うのと、続編を描くならもっと攻めた内容を描いて欲しいです。

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