【2021年度の活動報告】ネット授業受講生の95%が「新しい学び、特に将来への気づきがあった」と回答!
こんにちは!
私たちは、沖縄県うるま市島しょ地域で「ICTを活用した特色ある学校づくり事業」を行っています。
今回は、2021年度の取り組みと参加生徒たちの変化、そして、2022年度の展望についてご紹介します。
少子高齢化・過疎化が急速に進む「島しょ部」の教育格差をなくしたい
まずはじめに、なぜ私たちがこの事業に取り組んでいるのか、改めて紹介させてください。
私たちが活動の拠点にしている“沖縄県うるま市”は、沖縄本島の中央にある都市です。
沖縄本島側地を中心とする地域と、本島側と橋で結ばれた平安座島、浜比嘉島、宮城島、伊計島、津堅島を含めた「島しょ地域」で構成されています。
このうち、島しょ地域では急速に少子高齢化・過疎化が進んでいるという課題があります。
中でも彩橋小中学校、津堅小中学校、与勝第二中学校等では、もともと生徒数が少ない上に、生徒数もどんどん減少しています。
こうした学校では、他の学校と比較して、子ども達の交流の機会や課外活動の機会が限られてしまいがちです。
このまま生徒数が減少していけば、学校存続自体も危ぶまれます。
そこで、うるま市に本校を置き、インターネットと通信制高校の制度を活用したネットの高校であるN高等学校やS高等学校を運営する学校法人角川ドワンゴ学園が、これまでに培った知識とノウハウを活かし、うるま市教育委員会や企業・地域団体と協働。
2020年から、島しょ部の小中学生を対象に「地域にいながら、地域の内外と連携して課題解決や価値創造に取り組める人材を育てる」特色ある教育を提供するプロジェクトをスタートしました。
ネット授業とネット部活を用いた、これまで島になかった新しいカタチの実践
取り組み内容は大きく分けて2つあり、
①「総合的な学習の時間」でのインターネットを活用した「ネット授業」
②課外活動である「ネット部活」
です。
インターネットを通じて地域の内外とつながり、交流を生み出すことで、島しょ部の子どもたちが島にいながら多様な価値観を学び、地域の課題解決や魅力発信に自ら取り組める力を育みます。
また、住んでいる地域にとらわれない魅力ある教育を提供することで、教育の地域格差をなくすとともに、都市部からの移住も促したいと考えています。
2021年度の活動/「note」を使った地域発信や、「Minecraft(マインクラフト)」で海を越えた文化祭の実施など
2021年度は、以下のような活動を行いました。
◎ネット授業
授業では、生徒同士が島を越えてインターネット上でつながり、多様な人と関わりながら自己を表現する力、他の人との違いを理解し受け止める力、チームで意見をすり合わせプロジェクトを進める意思決定力などを育むプログラムに参加しました。
具体例を使ったシティズンシップ教育では、スマートフォンとその製造に使われる鉱物を取り巻く紛争などの社会課題について学び、その課題解決のために身近なところからできるアクションを自分なりに考え意見交換をするワークショップを行いました。
最終プログラムでは、自分の住んでいる地域でフィールドワークを行い、地域の課題やその課題解決のために活動する人々の思い、未来像について学びを深めました。
フィールドワークを通じて感じたことや学びは、記事や漫画、動画などのコンテンツにまとめ、「note」を使ってインターネット上に発信!
note株式会社のスタッフさんに発信を見ていただき、コンテンツ制作に関するフィードバックも受けました。
◎ネット部活(課外活動)
ネット部活(課外活動)では、対象となった中学校の希望者が参加しました。
世界中で大人気のオンラインゲーム「Minecraft(マインクラフト)」の中で“地域を越えた文化祭を開催する”ことをゴールに、Slack等のコミュニケーションツールを駆使しながらオンライン上で話し合ったり、意思決定を重ね、オリンピックイヤーにちなんで「自分たちの国立競技場」を仮想空間上に創りあげました!
出来上がった作品は、「全国マイプロジェクトアワード2021沖縄県サミット」という、沖縄県の高校生たちが地域の課題解決などのために探求・実践してきた取り組みを発表するイベントで披露しました。
さらに、Zoom上で行われた「ネット部活」成果報告会では、Microsoft Innovative Educator Fellow兼YouTuberの安藤昇さんや、米Microsoft社公認プロマインクラフターの加藤陸さんをお招きして、生徒たちの作品にフィードバックをいただく貴重な機会もありました。
制作における新たな学びを得るとともに、参加生徒たちがICTを活用した様々な仕事があることを実感する機会となりました。
プログラムを通して生徒自身にポジティブな変化も!
ネット授業を1年間受講した生徒52名を対象に行った調査(※)では、生徒の「創造的思考」「ストレス対処」のスキルが向上したことがわかりました。
※プログラム実施前と実施後に参加生徒の自己評価を心理尺度(EQ、SPI)により測定する「ライフスキルアセスメント」
▼調査の結果 ▼特徴的な生徒の変化
毎回の授業の中で多くの人と関わり、批評や評価をされずに自分の意見や感想を述べる機会があったことで、自己認識や自分の感情の共有を通じてストレスに対処する能力が身についたと考えられます。
また、noteを使った自由なアウトプット体験を通じて、自分の得意分野に気づく機会を持てたことが、創造的思考の力を高めたと考えられます。
参加生徒を対象に行った事後アンケートでは、受講生徒の95%が「新しい学び、特に将来への気づきがあった」と回答しました。
生徒からは、
・「他校との交流や発表の経験を重ねることで、人前で緊張しなくなり、自分に自信が持てるようになった」
・「これまで地域で暮らす大人と話す機会があまりなかったが、フィールドワークを通じ、地域で仕事に取り組む方々の話を聞いたことで、自分の将来について考えるきっかけになった」
など、ポジティブな気づきや感想が寄せられました。
2022年度もさらに活動を充実させます!
この取り組みは、2021年度の活動から得た知見を活かしながら、2022年度も継続していきます!
今年度も様々な企業と連携しながら、うるま市島しょ地域の彩橋小中学校と津堅小中学校の小学生を対象にしたネット授業を実施する予定です。
授業の中では、竹富島に暮らす小学生とのオンライン交流学習や、生徒自身がビーチクリーンなど身近な環境問題について考え、海外の学生と意見交換を行うオンライン交流特別授業も計画中です。
また、ネット部活(課外活動)では、プロフェッショナル人材を特別講師としてお招きし、地域をテーマとしたプロジェクト型学習を行います。
さらに、彩橋小中学校、津堅小中学校、与勝第二中学校などの生徒を対象に、CM制作のプロや第一線で活躍する著名人を招き、島の魅力をPRするCMの制作などを計画しています。
今年度も、島で暮らす子どもたちに豊かな学びの機会を届けていきたいと思います。
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引き続き、沖縄県うるま市島しょ地域「ICTを活用した特色ある学校づくり事業」を宜しくお願い致します!