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過去の記憶 森に住む②
幼かった弟も
男性として立派に成長し
姉の庇護がなくてもきっと生活していける
このまま一緒に居たいけれど
彼には彼の人生がある
いい加減手を離してやらなければ・・
そう思いながら過ごす日々
しかし突然にその日はやってきた
思いも寄らない彼からの言葉
「血が繋がっていないのも
ずっと守ってくれているのも知っていた。
これからは私が○○を守りたい」
いや
思いも寄らないというのは嘘だ
本当は気付いていた。
姉と慕ってくれていた幼い弟は
いつの間にか○○と
眩しい笑顔で
私を呼ぶようになっていた
眼を瞑って
耳をふさいで
気付かなければ一緒に居られると
そう思っていたのに
本当は身分も何もかも違う人
こんな境遇でさえなければ
そんな言葉をかけさせることも
なかったはずなのに
申し訳ない気持ちについ顔を伏せてしまう
「嫌なの?」
嫌なはずはない
年齢も離れている
元々の身分も違う
身体つきもしっかりして
優しく思いやりがあり
聡明で美しい男性を
弟と思えなくなっていったのは
いつ何処からだっただろうか
答えに詰まって無言でいる私を
彼はそのままそっと
両手で抱き寄せたのだった。
続く