無限のリヴァイアス
いまさらながらに無限のリヴァイアスを見た。
1999年に放映されたアニメで、500人弱の子供たちが外洋航宙艦 "黒のリヴァイアス" に閉じ込められ宇宙を行く話だ。
非常に面白かった。常に重い空気が漂っているが、もう見たくないなどと巷でよく言われているほど暗くは無い。
宇宙進出の時代のSFとしてもいいし、閉鎖空間の社会を描いたドラマとしてもいい。
リヴァイアスを象徴するのは人間関係だ。愛憎好意嫌悪嫉妬、様々なコンプレックスが閉鎖空間で増幅されて満ち満ちている。軋む人間関係の中で未来も安心も見えない宇宙に、子供たちを乗せて黒のリヴァイアスは進む。
その細緻なる動きこそが無限のリヴァイアスの花だ。
SFとしては、宇宙に進出した人類の物語とも言える。土星や天王星にまで人類は植民している。太陽嵐とそれによるニュートリノバーストはあるが、人類はまずまず発展している。
だからこそ、世界に6艦しかない特殊な外洋艦の一つである黒のリヴァイアスは政治的な流れにも巻き込まれている。当の子供たちが全く知るよしもないところで世界は動いている。せいぜいが勘づいている者くらいだ。
だが、自分が幼い頃に無限のリヴァイアスを見ていたとして、見続けたいかどうかは定かではない。最初はあまり物語は進まないからだ。ああ、でもネーヤがいたから見ていたかもしれない。
ネーヤは銀髪赤目の神出鬼没無感情少女だ。正当な綾波系キャラである。しかしヒロインではない。そう、ヒロインではないのだ。こういうキャラには珍しく、人間関係には関わらない。積極的な接触もあまり無い。
それは主人公も同じで、物語の中心になることは無い。彼の決定が艦の命運を決めることなど稀だ。
そういう意味では、無限のリヴァイアスは群像劇と言える。人間関係が、人々の動きが変わっていく様、それが面白いのだ。