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HOUSE OF GUCCI 鑑賞

2年前のリドスコ作品『HOUSE OF GUCCI』面白かった。
※以下たぶんネタバレあり(実話だから関係ないか)

創業一族の間でお家騒動が起こり、3代目(孫の代)で経営が行き詰まる。
その最中、法律顧問として長くGUCCI家の金庫番を勤めていた男の乗っ取り戦略によって、アラブ系のファンドに株をすべて売却せざるを得なくなるという展開。
1921年(つまり第一次世界大戦の少し後)にフィレンツェで創業したGUCCIは、1993年には一族が経営から完全に撤退しているんですね。
この儚さがなんとも。

で、私の世代だとGUCCIのデザイナーといえばトム・フォードですが(時代の象徴だったイメージ)、彼の就任はこの翌年の1994年。
前述の金庫番(名はドミニコ・デ・ソーレ)がトムをトップデザイナーとして指名するシーンが出てきます。
彼の登場によってGUCCIはイタリアの老舗伝統ブランドから、スタイリッシュな最先端ハイブランドに変貌していったんじゃないですかね。
トム・フォードによるランウェイショーも重要なシーンとして描かれていて、そこがクライマックスという気がします(この辺は時系列含めてけっこう脚色してる気がする)。

作品は創業家の主人公が元妻の恨みを買い殺害されて終わりますが、その後のGUCCIは、金庫番だったドミニコとトム・フォードのタッグによってどんどん大きくなっていく。
そしてLVMH(ヴィトンやディオールを傘下に置く企業※)の敵対的買収を阻止して今のケリング・グループになって行くんですね(グッチを筆頭にサンローランやボッテガ・ヴェネタなどを傘下に置く企業)。

※ちなみにLVMH(Moët Hennessy-Louis Vuitton)の経営者ベルナール・アルノーは世界長者番付上位の常連です。
イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツなどIT関連の帝王たちが名を連ねる中に、ラグジュアリーグループの経営者が入り込んでいる。
これは教養として是非知っておきましょう。


話を戻します。
トム・フォードはミュージシャンに例えると、アーティスト性を保ちつつガッツリ売れる曲を書けるという、今で言うと常田大輝さんみたいなイメージ。
そのトム・フォードも2004年にはドミニコと共にGUCCIを退任。
直近ではミケーレというデザイナーさんが従来のGUCCIのイメージをぶち壊してアメカジ風デザインで人気を博しました(椎名林檎さんもファンだと公言してた気がする)。

創業家がいなくなって、デザイナーも入れ替わって、株主もそうですが、それでもGUCCIブランドは存続して巨大になっていくという。
1993年に主人公が自分の所有する全株式(全体の50%)をファンドに売却したときの値が1億5000万ドル。
そして1995年に株式公開され、映画の最後で『現在の時価総額は660億ドルである』と字幕が出る。
大きすぎてちょっと想像できないけど、これがGUCCIという名前(あるいは歴史)を受け継ぐことの意味なんですかね。

てか、この作品に登場する人物は今でも存命だったりしますし、それより何よりGUCCIグループは猛烈にキレ散らかしてるんじゃないでしょうか。
こういう作品が公開できるところがアメリカらしくて面白いですね。
レディ・ガガの演技も良かったと思います。



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