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【CoCシナリオ】霞川共同防衛戦線

前書き

2025/02/14:まだテストプレイしてないからちょっと待ってね!!!!
プレイするのは止めやしませんが、シナリオ制作初心者が作った未テストプレイのシナリオ回すのは、かなりチャレンジャーだと思うゾ


作:胡乱なうどん屋さん

注意事項

この作品はすべてフィクションであり、実在する人物・団体・地名等とは一切関係ありません。
このシナリオの著作権(財産権)は全て著作者に帰属します。

禁止事項

  • 二次配布や改変版の許可のない再配布

  • 自作発言

  • 商用利用等、金銭的な使用

  • 根幹に関わる過度な内容の改変

個人的に遊ぶ場合はご自由に。
リプレイ動画や公開配信でのプレイをされる場合は、作者名と作品リンクのご記載をお願いいたします。
何らかの形で報告頂けると、私が踊って喜びます。

本シナリオは、作者の創作「赫刃と白華(せきじんとはっか)」をモチーフにしています。
「赫刃と白華」の設定を活かしながら、TRPGとして遊びやすい形にアレンジしました。
そのため、シナリオ内の舞台や組織は「赫刃と白華」の世界観とリンクする部分がありますが、
シナリオ単体で完結する内容になっています。
「赫刃と白華」を知らなくても問題なくプレイできますので、ご安心ください!




導入・概要

霞川市は、経済特区として発展しながらも、裏社会が深く根付く港湾都市。
この都市を支配するのは、紅刃会(こうじんかい)白叢会(はくそうかい) の二大組織。
しかし最近、紅刃会の賭場の利益が不自然に減少し、白叢会の金融市場でも異変が発生。
互いに疑いを抱きながらも、両組織は一時的な共闘を決断する。
探索者たちは、各組織の構成員として調査を命じられるが——
霞川市の裏社会には、これまでとは異なる“新たな影”が差し始めていた。

システム:クトゥルフ神話TRPG(6版・7版どちらでもOK)
プレイ時間目安:5〜7時間
傾向:現代日本シティシナリオ・秘匿HOあり
プレイヤー人数:4人固定(PvPは想定していません)

戦闘なし。心理戦・社会戦がメイン。
探索者が希望するのであれば、秘匿ハンドアウトの情報を最初から公開しても問題ありません。
交渉・心理戦がメインのため、RPできるとより楽しめますが、技能ロールを振るだけでも進行可能です。
低ロスト。


公開HO

HO1・HO2

あなたは裏社会で生きる紅刃会の構成員だ。
組織の実務を担っており、賭場の運営や裏仕事に関わっている。
組織のために働くのが当たり前の環境で育ち、忠誠心もある。
だが最近、霞川市の裏社会には、不穏な動きが広がっているようだ。

HO3・HO4

あなたは白叢会の構成員だ。
ビジネスの最前線にいる白叢会のメンバーとして、企業の裏取引や金融操作を担っている。
金を動かすことが仕事だが、霞川市の市場では妙な動きが起きているらしい。
それが何なのかを確かめるのも、組織に属する者の役目だ。


推奨職業・推奨技能

推奨職業

暴力団組員(6版・7版)

推奨技能

必須:目星・聞き耳・言いくるめ・説得・心理学


事前情報

用語解説

  • 霞川市(かすみがわし):発展と裏社会が共存する港湾都市。

  • 紅刃会(こうじんかい):霞川市の旧市街を支配する裏社会組織。賭場、風俗、密輸などをシノギにしている。

  • 白叢会(はくそうかい):新市街を支配する企業型犯罪組織。合法的なビジネスの裏で投資詐欺やマネーロンダリングを行う。

  • 霞川龍宮(かすみがわりゅうぐう):紅刃会が運営するカジノ施設。賭場の利益が第三勢力に流れている疑惑がある。

霞川市のエリア

旧市街(紅刃会の支配エリア)

  • 中央区:歓楽街・カジノ街。紅刃会のシノギである霞川龍宮があり、賭場やクラブが立ち並ぶ。第三勢力による不正送金の疑惑が浮上している。

  • 東区:昭和レトロな下町エリア。昔ながらの商店街や屋台がある。

  • 南区:裏社会の取引が行われる歓楽街。紅刃会の隠れ拠点や闇取引の場所が点在している。

新市街(白叢会の支配エリア)

  • 西区:高級住宅街・金融街。霞川市の経済の中心地。

  • 北区:再開発が進む近未来的エリア。白叢会が資金洗浄のために運営する美術館白鳳美術館がある。

NPC情報

  • 千種 昭信(ちぐさ あきのぶ):紅刃会幹部。紅刃会幹部。冷静沈着な策略家で、組織の調整役を担う。現在の異変に対して慎重に動いているが、探索者たちには実地での調査を命じる。PL(HO1・HO2)の上司。

  • 白椿 垣根(しろつばき かきね):白叢会の交渉役。白叢会の交渉役。組織のビジネス面を統括する存在。ボスと直接繋がっており、組織全体の動向を見極める立場にいる。PL(HO3・HO4)の上司。

以下PL閲覧不可












秘匿HO

HO1

あなたは、紅刃会の利益が流出している詳細な経路を知っている。
HO1は「その金がどこに流れているかの調査を任されている」と上司の千種から伝えられている。
霞川龍宮(紅刃会のカジノ)の送金システムに異常が発生していることを千種から事前に知らされており、その証拠となるデータを見つけることが今回の目的である。

HO2

あなたは、Xが失踪する前の様子を知っている。
HO2は構成員Xと親しい間柄であり、Xは元々面倒見が良く、陽気な性格だったことを知っている。
Xは「最近おかしな噂を聞いた」とぼそっと漏らしていたが、それ以上は話さなかった。
ある日突然Xは失踪し、しばらくして「戻ってきた」と聞いたが、HO2はまだ直接会っていない。
HO2は「Xが何か知っていたのではないか?」と疑っている。

HO3

あなたは、霞川市の金融市場に異常が発生していることを知っている。
直近で、霞川市の金融市場に不審な資金の流れがあることに気づいている。
調査の結果、この資金の流れが霞川龍宮(紅刃会のカジノ)を経由しており、明らかに不自然な動きをしている。
しかし、霞川龍宮だけでなく、霞川市全体の資本に影響を与える大規模な資金操作が行われている可能性がある。
上司の垣根からは「これ以上は深入りするな」と言われているが、HO3はこの異常な金の流れの背後に何かあると確信している。

HO4

あなたは、霞川市に第三勢力の拠点があることを知っている。
HO4は、霞川市のどこかに正体不明の組織が潜伏しているという情報を持っている。
白叢会のシマではないエリアで定期的に不審な取引が発生しており、旧軍倉庫跡がその中心の可能性があると聞いたことがある。
だが、確実な証拠はなく、今回の事態と関連しているのかは分からない。

シナリオのバックグラウンド

霞川市は、経済特区として発展しながらも、裏社会が深く根付く港湾都市。ここは**紅刃会(こうじんかい)と白叢会(はくそうかい)**という二大犯罪組織によって支配されている。

紅刃会は旧市街を拠点にカジノ・風俗・密輸をシノギとする伝統的なヤクザ組織。一方、白叢会は新市街を拠点に、金融・不動産・投資詐欺などを行う企業型の犯罪組織である。

しかし最近、霞川市の裏社会に異変が起きていた。
紅刃会のカジノ「霞川龍宮」の利益が流出し、白叢会の金融市場でも不審な資金の動きが発生。
互いに疑いを抱く中、両組織は一時的な共闘を決断。探索者たちは、それぞれの組織の新米構成員として調査を命じられる。

調査の結果、霞川市に「霧目会(むこうかい)」と呼ばれる正体不明の第三勢力が潜んでいることが判明する。
さらに、霞川龍宮の送金システムがハッキングされ、密輸ルートが乗っ取られ、紅刃会の構成員Xが失踪後に別人のようになって戻ってきたという異常が発覚。

その痕跡を追うと、霧目会の拠点は中立エリアにある旧軍倉庫跡である可能性が高い。
しかし、確実な証拠が足りないため、探索者たちは霧目会の中枢メンバーである**多羅幣 一(たらべ はじめ)**を追い詰めることになる。

霞川龍宮のVIPルームで、多羅幣 一との心理戦が始まる。
探索者たちはこれまでに集めた証拠をもとに、彼の失言を引き出し、霧目会の陰謀を暴こうとする。

  • 心理戦に成功すれば、紅刃会と白叢会のボスたちが共闘を決断し、霧目会は排除される(エンドA)。

  • 失敗すれば、多羅幣 一に証拠の信憑性を揺さぶられ、紅刃会と白叢会の間に疑念が生じ、霧目会の影響が霞川市に残る(エンドB)。

探索者たちの選択と交渉の行方が、霞川市の未来を決めるーー。


シーン01

PLに伝えること

  • 探索者たちは紅刃会または白叢会の構成員であり、上司(千種 or 垣根)に同行して会談に参加する。

  • 今回の会談は、霞川龍宮の利益流出と白叢会の金融異常についての情報交換が目的。

  • 組織同士は対立関係にあるが、今回は一時的な協力関係を結ぶ必要がある。

  • 探索者たちは基本的に聞き役だが、状況次第で発言することも可能。

  • 会談後、探索者たちは市内での情報収集を任される。

描写
霞川市の中心部、霞川龍宮の最上階にあるプライベートラウンジ。
青白いネオンが差し込む窓際の席には、紅刃会と白叢会の幹部たちが静かに向かい合っている。
部屋には、妙に重苦しい沈黙が流れていた。
静寂を破ったのは、紅刃会の幹部、千種だった。

「本日はお時間をいただき、ありがとうございます。
さて、さっそく本題に入りましょう。
霞川龍宮の利益が、一部不明な経路を通じて消えております。
当然、そちらの仕業かと疑いましたが……どうやら、そちらでも似たような問題が発生しているとか?」

対する白叢会の垣根が、苦笑しながら肩をすくめる。

「ウチがそんな小細工せんでも、霞川市で稼ぐ術は山ほどある。
けどな、こっちも金融市場で妙な動きが続いとるんや。
霞川龍宮とどこかで繋がっとる可能性は高いけど……ウチら以外の誰かが手ぇ突っ込んでるんとちゃうか?」

千種は軽く頷くと、探索者たちへと視線を向ける。

「……というわけで、今回の調査は君たちにお願いしたい。
霞川市内で情報を集め、"誰が"この金の流れを操作しているのかを突き止めてください。」


RP開始タイミング

PLたちは幹部たちに質問してもよいし、特に発言がなければすぐに調査フェーズへ移行可能。
RPが停滞した場合、千種 or 垣根が探索者たちにエリアごとの調査指示を出して、スムーズにシナリオを進行する。


シーン02

チャプター1

PLに伝えること

  • 探索者たちは、紅刃会(HO1・HO2)と白叢会(HO3・HO4)に分かれ、それぞれの組織の指示に従い情報収集を行う。

  • 紅刃会側(HO1・HO2)は旧市街(中央区・東区・南区)を調査。

  • 白叢会側(HO3・HO4)は新市街(西区・北区)を調査。

  • その後、中立エリア(港区・湾岸区)で合流し、情報交換を行う。

  • 特定の条件を満たすと、心理戦パートで有利なボーナスが得られる。

  • 情報収集の方法はPLの行動次第で変化する。

描写
霞川龍宮での会談を終え、探索者たちはそれぞれの持ち場へと向かうことになった。
霞川市の夜は、きらびやかなネオンと影が交錯する。
歓楽街の喧騒が響く旧市街、静かに支配された高級街の新市街。
この街のどこかで、誰かが裏で金を動かし、何かを企んでいる。
紅刃会の千種、白叢会の垣根からの最後の言葉が脳裏をよぎる。

千種「……では、頼みましたよ。」
垣根「せいぜい気ぃつけてな。」

それぞれの組織の指示を受けた探索者たちは、霞川市へと散り、情報を集めることになる——。


チャプター2

地区ごとの得られる情報 & 情報の得方

旧市街(紅刃会エリア / HO1・HO2担当)

中央区(カジノ街)

描写
霞川龍宮のバックヤード。
喧騒とは無縁の控室の片隅で、探索者たちは霞川龍宮のシステム管理者と接触する。
彼は黒縁メガネをかけた痩せ型の男で、部屋の隅をちらちらと気にしながら、小声で話し始めた。

システム管理者:

「……あんたら、紅刃会の人間だよな?」
「俺はただのシステム担当だ。こんな話、本当はしたくないんだが……これはさすがにおかしい。」
「数週間前から、霞川龍宮の送金システムに妙なアクセスがある。」
「勝手に金が動かされてるんだよ。それも、ちゃんと帳簿に載らない形でな。」
(探索者が問い詰めると、彼は少し焦ったように首を振る。)
「待て待て、俺だって怖いんだよ……だが、証拠ならある。」
「このUSBに、不正送金のログを抜き取っておいた。これを見れば、どこへ金が流れてるか分かるはずだ。」
(探索者にUSBを手渡すが、彼の表情は険しいままだ。)
「……ただ、忠告しておく。俺はシステムのことしか知らんが……
このアクセス、普通のハッキングじゃねえ。何か、"おかしい"んだよ。」「解析しようとした途端、システムがバグったり、画面に意味不明な記号が流れたり……。」
「こんなこと、今までなかった。」
(探索者がさらに問い詰めようとすると、彼は急に口をつぐむ。)
「……悪い、これ以上は勘弁してくれ。もし何か分かったら、逆に俺に教えてくれよ。」

  • 得られる情報:霞川龍宮の送金システムが外部からハッキングされ、特定の口座へ送金されていた証拠データ(USB)を入手。

  • 情報の得方:カジノのシステム管理者と会話し、彼が隠し持っているUSBを譲り受ける。


チャプター3

東区(下町エリア)

描写
探索者たちは、地元の商店街で顔馴染みの住民たちと話しながら、Xについての情報を探る。
聞き込みを進めると、ある年配の屋台店主がぽつりと口を開く。

店主:
「あぁ……Xか? 最近、見ぃひんと思ったら戻ってきたんやってな。」
「せやけど、なんちゅうか……"あれ"はほんまにXなんかいな?」
(探索者が詳しく尋ねると、店主は焼き鳥を返しながら渋い顔をする。)
「ワシぁな、あいつのことは昔からよう知っとる。気前がよくて、よう屋台で飲んでいったもんよ。」
「けどな……この前、Xがここを通ったとき、何かがおかしかった。」
「前は、どんな時でも『おっちゃん、今日も頼むわ』って笑いながら来とったんや。」
「でも今は……なんや、機械みたいに無表情で、『いつもの』ってボソッと言うだけ。」
(探索者が「何が違ったのか」を問い詰めると、店主は少し間を置くと、震えた声で続ける。)
「……"俺は元気だ"って、そらもう、棒読みみたいな声で返してきたんや。」
「目ぇもどこ見とるかわからんし、なんか、こう……"抜けとる"感じがしたんや。」
(探索者がさらに話を聞こうとすると、店主は居心地悪そうに視線を逸らす。)
「まぁ……気のせいやったらええんやがな。」
「あんたらも、あいつに会うんなら気ぃつけぇや。」

  • 得られる情報:紅刃会の構成員Xが別人のようになったという証言を得る。


描写

その後も探索者たちは、商店街で聞き込みを続けるうちに、
紅刃会のバッヂをスーツの胸元につけた男と出くわす。
それは、紅刃会の構成員Xだった。
彼は探索者たちに気づくと、一瞬だけ目を細めるが、すぐに表情を戻す。

構成員X:

「……久しぶり、か。」
「こんなところで何してんだ? またシノギか?」
(Xの口調は落ち着いているが、どこか抑揚に乏しい。)
「俺か? 変わったことなんて何もない。」
「少し休んでただけさ。ちょっと、疲れてたんだよ。」
(探索者が「最近の様子がおかしい」と指摘すると、Xはわずかに眉を動かす。)
「……何を言ってる? 俺は、普通だ。」
「お前のほうが変じゃないか?……なんで、そんなに俺を見てる?」
(Xの目は探索者を見ているが、どこか焦点が合っていないようにも感じられる。)
「……そういえば、"最近おかしな噂を聞いた"って、前に言ったことあったな。」
「……でも、なんの話だったっけな……。」
(彼は数秒沈黙したあと、唐突に口元を歪める。)
「……いや、忘れた。そんなこと、どうでもいいだろ?」
「……なあ、本当に久しぶりだよな。」
「また、今度ゆっくり飲もうぜ。」
(彼は微笑んでいるが、どこかぎこちない。表情が固く、不自然に見える。)
(探索者のうち、HO2以外の者は「ちょっと変か?」程度の印象を持つが、それ以上深くは気にならない。)


HO2秘匿チャット
探索者(HO2)は、かつての仲間であるXを目の前にし、決定的な違和感を覚える。
Xは、笑顔を浮かべている——はずだった。
だが、それは"ただ口角を引き上げているだけ"のものだった。
まるで「笑顔の作り方を思い出せない」かのように、不器用で、不自然な表情。
(目が合った瞬間、HO2は心の奥底に、強烈な違和感を抱く。)
("これは本当にXなのか?" その疑問が頭をよぎった瞬間、得体の知れない恐怖が背筋を駆け抜ける——。)
【SAN値チェック】
成功:0 / 失敗:1D3の正気度喪失

  • 得られる情報:HO2は別人のようになった構成員Xを目の当たりにし、それが本当であることを確信する。

  • 情報の得方HO2のみSAN値チェック。


チャプター4

南区(歓楽街・裏取引)

描写
霞川市の南区は、紅刃会の裏取引が行われる歓楽街だ。
ネオンがきらめく繁華街を一歩裏路地へと進めば、そこには闇の取引が息づいている。

探索者たちは、紅刃会の構成員しか立ち入れない隠れたバー「龍影(りゅうえい)」へと足を運ぶ。
ここは紅刃会の情報が集まる場所であり、密輸ルートや裏取引の動向を知る者がいる可能性が高い。
薄暗い店内には、重い煙草の匂いと低く流れるジャズが満ちている。
バーカウンターの奥、VIPルームの一角で、探索者たちは紅刃会の構成員Yと接触する。

構成員Y:
(Yは、ラフなスーツを着た粗野な男。探索者たちを見ると、軽く顎をしゃくって問いかける。)
「……チッ、お前らか。何の用だ?」
「このバーに紅刃会の人間が来るのは珍しくねえが、"仕事抜き"で飲みに来たわけじゃねえんだろ?」
(探索者たちが情報を求めると、Yは面倒くさそうにため息をつく。)
「あぁ、あの襲撃のことか……まったく、あれはヤバかったぜ。」
「俺は見てねえが、あの夜のドラレコ映像を持ってるヤツがいる。」
「こいつを見れば、何が起こったかはっきりするはずだ。」
(Yはスマホを取り出し、探索者たちにドラレコ映像の入ったデータを渡す。)
「これな……見ちまうと、もう知らんふりはできねえぞ。」
「俺も、あんまり見たくはなかった。なんつーか……"妙な動き"をしてたらしいんだ、襲った奴ら。」
「普通じゃねえって話だ。……ま、あとはお前らで判断しな。」
(探索者たちがデータを確認するかは自由だが、その場で確認する場合、SAN値チェックが発生する。)


描写(探索者が映像を確認する場合)
探索者たちは、構成員Yから受け取ったデータを再生する。
映像は、南区の裏路地に停められた車のダッシュカム(ドラレコ)による記録映像だ。
── 画面の向こうには、夜の闇に紛れて不審な影が蠢いている。
それは、数名の黒ずくめの襲撃者たちだった。
彼らは密輸ルートの荷を奪うべく、数名の紅刃会構成員に襲いかかる。
しかし、探索者たちが違和感を抱くのは、その"動き"だった。
── 彼らは、人間のものとは思えない"異様な動き"をしている。
関節の動きがどこかぎこちなく、それでいて異様に滑らかだった。
まるで、人間の体の中身が別の何かに入れ替わったかのように……。
紅刃会の構成員たちは応戦するが、相手の異様な動きに混乱し、次々と倒されていく。
そして、映像の終盤──
倒れた構成員の一人が、不自然に「立ち上がる」。
襲撃者のひとりが、彼に何かを囁く。
次の瞬間、立ち上がったはずの構成員は、何事もなかったように仲間へと合流する──。
それは、まるで"乗っ取られた"かのように。
探索者たちの背筋に、冷たい何かが這い上がる──。
【SAN値チェック】成功:0 / 失敗:1D4 の正気度喪失

  • 得られる情報:第三勢力による密輸ルート乗っ取りの決定的な証拠(ドラレコ映像)を入手。

  • 情報の得方:紅刃会の構成員Yと接触し、襲撃現場のドラレコ映像のデータを受け取る。映像を見ることで"異様な動き"をする襲撃者たちの存在を認識し、第三勢力の異質さを確信する。


チャプター5

新市街(白叢会エリア / HO3・HO4担当)

西区(高級住宅街・金融街)

描写
霞川市の西区は、洗練された高級住宅街と金融街が広がるエリア。
紅刃会の縄張りとは異なり、ここでは"金"こそが絶対の力を持つ。
並木道は整然と整備され、歩道には高級車がゆったりと停まる。
この街の支配者は、拳ではなく"数字"を操る者たちだった。

探索者たちが金融街の広場を歩いていると、目の前で小さなアクシデントが起こる。
「あっ……!」
短い悲鳴とともに、道端に転がる鮮やかなオレンジ。
どうやら買い物袋の底が破れたらしい。
黒のロングドレスを着た女性が、慌てた様子で落ちたオレンジを拾い集めている。
探索者たちが手伝うと、彼女は驚いた表情を見せ、少し微笑んだ。

「……まあ、助かったわ。」
「せっかく奮発して買ったのに、全部転がっていくところだったのよ。」
(彼女はオレンジを抱え直し、探索者たちを見て首を傾げる。)
「あなたたち、白叢会の関係者ね? それとも……紅刃会の人?」
「まあ、どっちでもいいわ。助けてもらったお礼に、少しだけ面白い話を教えてあげる。」

彼女の名は、白月 七宝(しろつき しちほう)。
白叢会の金融部門に関わる人物で、霞川市の資金の流れに詳しい。
七宝は片手に持ったスマホを軽く振りながら、穏やかに話し始める。

「今、霞川市の金融市場で妙な資金の動きが確認されているの。」
「まるで"お金そのものが生きている"みたいに、勝手に消えたり、現れたりしてる。」
(探索者たちが詳しく尋ねると、七宝は小さくため息をつく。)
「幽霊口座が発生しているのはまあよくあることなんだけど……今回のは規模が違うのよ。」
「システム担当が解析不能を出してるし、何より……"記録そのもの"が変わることがあるのよ。」
(彼女はスマホの画面を探索者たちに見せる。)
「つまり、霞川市の金融データの"過去"が書き換えられてるの。」
「それも、完全に"痕跡を残さず"ね。」
(探索者たちが「霞川龍宮の不正送金と関係があるか?」と尋ねると、七宝は頷く。)
「その可能性は高いわね。見て、このデータ。」
「送金の流れを追ってみると、霞川龍宮の記録が関わってるのよ。」
「取引履歴は改ざんされてるけど、残された微細なデータの"ズレ"でわかる。」
「これは最新の取引データ。霞川龍宮の送金システムと繋がってる可能性があるわ。」
「持っていきなさい。どうせ、うちの上層部はこういう面倒ごとを後回しにするのが得意だから。」
(探索者たちは、七宝から金融市場の異常を示すデータを受け取る。)
「それにしても……最近、霞川市の金の流れが妙に不安定なのよね。」
「私は数字の世界の人間だけど、こういうのって……"何か"に操られてる気がするのよ。」
(彼女は、探索者たちの目をじっと見つめると、少し不安そうに微笑んだ。)
「……ま、気のせいならいいんだけどね。」

  • 得られる情報:霞川市の金融市場で不審な資金の流れが発生しており、それが霞川龍宮の不正送金と繋がっている可能性がある。市場の取引データ(証拠)を入手。

  • 情報の得方:七宝が買ったオレンジの袋が破れ、探索者たちが拾うのを手伝うことで彼女の機嫌が良くなり、情報を提供してくれる。


チャプター6

北区(再開発エリア・白鳳美術館)

描写
霞川市の北区は、都市再開発が進む近未来的なエリア。
高層ビルが立ち並び、歩道には自動運転のシャトルバスが走る。
どこを見ても洗練された都会の景色が広がるが、この街もまた、白叢会の影響下にある。
霞川市の名所である白鳳美術館は、芸術の発信地として知られている。
だが、裏では白叢会の資金洗浄の拠点としても機能しているという噂がある。

探索者たちは、この美術館のシステム管理室へと足を運ぶことになる。
部屋には巨大なモニターが並び、セキュリティ管理の端末が光を放っていた。
その中央に座っていたのは、柔らかな雰囲気の少女だった。

「あ……こんにちは。白叢会の方ですね?」
「えっと……紅刃会の人もいる? それとも、全員白叢会の人かな?」

白霞 眩(しらかすみ くらめ)。
20歳にも満たない少女でありながら、白叢会のデータ管理を任されている天才エンジニアだ。

(探索者が事情を説明すると、白霞は小さく頷き、モニターを指さす。)
「実は、最近ちょっと困っていたんです。
この美術館のサーバーに、変なアクセスがあって……。」
(探索者が「霞川龍宮の不正送金と関係があるか?」と尋ねると、白霞は画面を操作しながら答える。)
「たぶん……関係あると思います。」
「この不正アクセス、すごく不思議なんです。」
「普通はハッキングされたら"ログ"が残るんですけど……」
「このアクセス、"過去のデータごと書き換えられてる"んです。」
(探索者が詳しく尋ねると、白霞はモニターを拡大し、復元したログを見せる。)
「ここ、見てください。
アクセスの履歴があったのに、なかったことになってるでしょう?」
「つまり、誰かが"完全に証拠を消そうとした"ってことです。」
(探索者が更に突っ込むと、白霞はキーボードを叩きながら、ふと顔を上げる。)
「でも……完璧に消せるなんてありえません。」
「ちょっと時間をかけて解析してみたら……ほら、見つけました。」
(画面に表示されたのは、"不正アクセスの発信元を示す座標データ"だった。)
「この座標、霞川港の近くを示してるんです。」
「つまり、不正アクセスの発信元……"第三勢力の拠点"は、中立エリアにある可能性が高いです。」
(探索者たちは、白霞から「消去されたはずのアクセスログの復元データ」を受け取る。)

白霞は探索者たちをじっと見つめ、少し不安そうに呟いた。
「……このアクセス、本当に"人間"がやってるんでしょうか?」
「データを改ざんするときって、普通はその人の"癖"が出るんですけど……」
「これは、まるで"機械がただ動いてるだけ"みたいで……。」
「ま、わたしはただのエンジニアですし。」
「あとは、調査はおまかせしますね。」
白霞は探索者たちに優しく微笑み、再びモニターに向き直った。

  • 得られる情報:白鳳美術館のサーバーに不正アクセスがあり、その痕跡が完全に消去されていた。復元されたログデータにより、不正アクセスの発信元が中立エリア(霞川港)にあると判明。

  • 情報の得方:白霞と会話し、不正アクセスのログデータを解析してもらうことで、第三勢力の拠点が中立エリアにあることを特定する。


チャプター7

中立エリア(情報交換 / 全PL)

港区(工業地帯・倉庫街)

描写
霞川市の港区は、巨大なコンテナヤードと工業施設が広がるエリア。
昼間は貨物の積み下ろしで賑わうが、夜になると様相が一変する。
ここは紅刃会と白叢会が"中立の場"として利用している密輸の拠点でもある。

探索者たちは、倉庫群の奥にある薄暗い路地へと足を踏み入れる。
そこでは、密輸業者たちが荷を積み替え、取引を行っていた。
── しかし、その場には見慣れぬ男たちの姿があった。
彼らの袖には、薄く刻まれた「霧目(むこう)」の刺青が見える。
探索者たちは、慎重に彼らの様子を窺う。
その時、ひとりの男が視線に気づいたかのように、ゆっくりと顔を上げた──。

霧目会構成員:
「……誰だ? こんなところでウロつくとは、肝が据わってるな。」
「この倉庫は紅刃会のシマだったはずだが……随分と甘いな。今は"ウチ"のものだ。」
(探索者たちが問い詰めると、男は余裕の笑みを浮かべる。)
「お前らには関係ねぇ話だろう?」
「……ま、知ってしまったんなら仕方ないな。」
「ここは"霞川市の流通を整える場"ってだけの話だよ。」
(男が手を上げると、背後の倉庫から仲間たちが姿を現す。探索者たちの周囲には緊張感が走る。)
「"運び屋"ってのはな、誰に頼まれようが"荷"を動かすのが仕事だ。」
「たとえ、誰かさんの"大事な荷物"だろうと、ウチが回収して何が悪い?」
(探索者たちがさらに問い詰めると、男は肩をすくめ、少しだけ表情を変える。)
「……へぇ、お前ら"あの人"のことを気にしてんのか?」
「多羅幣 一の旦那は、ウチのことなんざ興味なさそうに見えたが……」
「まぁ、見た感じ金の匂いを嗅ぎ分けるのが得意な男だしな。」
「で? そんな旦那の動向が知りたいなら、お前らが持ってる情報と交換といこうか?」
(探索者たちが情報を出す気がなさそうだと見ると、男は鼻で笑う。)
「まぁ、教えたところで大した話じゃねぇがな。」
「旦那の荷物も、ここを通ったことがあるぜ?」
「何が入ってたのかは知らねぇが……ウチのボスは"特別な荷だ"って言ってたな。」
「それがどこへ行ったのかは、お前らが勝手に考えるんだな。」

  • 得られる情報:霧目会が霞川市の密輸ルートを乗っ取り、紅刃会・白叢会の取引を横取りしている証拠を発見。白叢会のものだったはずの商標がついたコンテナが、第三勢力の手に渡っている。

  • 情報の得方:探索者たちが倉庫街で霧目会の構成員と遭遇し、密輸品の取引現場を目撃する。会話の中で、第三勢力が密輸品を管理し始めたことをほのめかされる。白叢会の印が入ったコンテナを確認し、第三勢力の関与を確信する。


湾岸区(旧軍倉庫跡)
霞川市の湾岸区には、戦時中の旧軍倉庫跡が点在している。
今では使われていないはずの廃墟だが、夜な夜な"妙な連中"が出入りしているという噂がある。

探索者たちは、倉庫跡の近くで数人の地元住民が話しているのを見つける。
彼らは探索者たちを見て、一瞬だけ警戒したような目を向けたが──
一人の老人が、ため息混じりに話し始めた。

地元住民:
「あんたら、あそこには近づかんほうがええよ。」
「あの旧軍倉庫な……ずっと前から"曰く付き"やったんや。」
(探索者たちが「どういうことか?」と尋ねると、老人は眉をひそめる。)
「昼間は誰もおらんのに、夜になると黒塗りの車が何台も停まっとる。」
「倉庫の奥のほうから、聞き取れんような声がするんや。何か、妙な"うねり"みたいな音がな。」
(別の住民が、小声で言葉を継ぐ。)
「それだけちゃうぞ。」
「霞川市で"金の匂いを嗅ぎ分ける"って有名なあの人──」
「"多羅幣 一"が最近、あの倉庫のあたりをうろついてたって話や。」
(探索者たちが「多羅幣 一が何をしていたのか?」と尋ねると、老人は首を振る。)
「わからん。けどな、見たやつが言うには……妙なもんを"運び入れてた"らしいで。」
「中を覗いたわけやないから、何を持ち込んでたのかは知らんがな……。」
(探索者たちは、旧軍倉庫跡が"ただの廃墟ではない"ことを確信する。)

  • 得られる情報:旧軍倉庫跡に、霧目会の関係者が出入りしているという噂を聞く。多羅幣 一が最近、倉庫跡に"何か"を運び入れていたという目撃情報を得る。

  • 情報の得方:地元住民たちから「旧軍倉庫跡に不審な動きがある」という噂を聞く。夜な夜な黒塗りの車が倉庫に出入りし、怪しい音がすることを知る。「多羅幣 一が関与している」という話を聞き、霞川市の異変と繋がりがあることを確信する。


後で心理戦ボーナスに影響する情報

心理戦パートで多羅幣 一を追い詰めるため、以下の情報を3つ以上集めると心理戦の技能ロールにボーナスがつく。
心理学・言いくるめ・説得の技能ロールに+10%の補正を適用

ボーナス対象となる証拠

  1. 中央区 → カジノの送金ハッキングの証拠(不正送金のUSBデータ)

  2. 西区 → 金融市場の異常を示すデータ(霞川市の取引記録の改ざんログ)

  3. 南区 → 第三勢力による密輸ルート襲撃の映像(ドラレコ記録)

  4. 港区 → 第三勢力の密輸取引記録(霧目会が押さえた密輸ルートの証拠)

これらの情報が不足している場合、心理戦が不利になり、多羅幣 一に証拠の信憑性を揺さぶられやすくなる。


シーン03

描写
探索者たちが情報収集を終え、霞川市の闇の深さを改めて実感している最中、HO1またはHO2のスマホが突然震えた。
画面に表示された発信者の名前は──千種 昭信(ちぐさ あきのぶ)

「お疲れ様です。情報収集の進捗はどうですか?」
「……実は、あなたたちに向かってもらいたい場所があります。」
「霞川龍宮のVIPルームに、多羅幣 一がいるそうです。」
「僕は今、別件で動いているので直接行けませんが……」
「あなたたちなら、上手く話を引き出せるでしょう。」
「さあ、決着をつけに行きましょう。」

電話が切れると、探索者たちは改めて決意を固める。
霞川市を揺るがす"黒幕"──多羅幣 一との直接対決が始まるのだ。

描写
霞川龍宮の最上階、VIP専用のプライベートルーム。
きらびやかなシャンデリアの光が、豪奢な家具やワインのグラスに反射して揺れる。
この部屋は、ただの遊技場ではない。霞川市の"本当の支配者たち"が密談を交わす場所だ。

探索者たちが足を踏み入れると、すでにテーブルには一人の男が座っていた。
ゆったりとした仕草でワイングラスを傾け、穏やかな笑みを浮かべている。彼こそが──
多羅幣 一(たらべ はじめ)

霞川市の金融市場を掌握し、その金の流れを自在に操る実業家。
しかし、その裏の顔は──霧目会の黒幕
彼は、探索者たちに視線を向けると、実に楽しげに微笑んだ。

多羅幣 一:
「……これはこれは、君たちが来るとは思わなかったよ。」
「僕はただ、霞川市の"経済の安定"に貢献しているだけなんだがね?」
(ワイングラスを揺らしながら、目を細める。)
「で? 何か僕に"お話"でも?」

(探索者たちが証拠を突きつけた際、彼は最初は余裕の笑みを浮かべている。)
「ふむ……確かに興味深い話だね。」
「でも、それが何か証拠になるのかな?」
「この霞川市で"事実"なんてものは、結局のところ"作られるもの"だろう?」
(探索者たちがさらに攻め立てると、彼はゆっくりとワイングラスを置く。)
「君たちも、裏社会で生きる者なら知っているだろう?」
「真実がどうこうより、大事なのは"どれだけの人間を味方につけているか"だ。」
探索者たちの心理戦が成功した場合、彼の表情に僅かな焦りが見え始める。)

イベント
心理戦の最中、探索者たちはふと"違和感"を覚える。
多羅幣 一の目──
その奥には、ただの人間のものとは思えない"深淵"が揺らいでいた。
「目が合った瞬間、君たちは奇妙な感覚に襲われる。」
「まるで、"底なしの暗闇"に吸い込まれそうな──。」
【SAN値チェック】成功:0 / 失敗:1D3の正気度喪失

(多羅幣 一は、その異変に気づいた探索者へ向かって、不気味な微笑を浮かべる。)
「……ふふ。どうかしたかい?」


心理戦の成功条件(最終決定版・2回成功ルール)

心理戦では、探索者たちは 3回まで技能ロールを試行可能
そのうち、2回成功すれば心理戦に勝利し、エンドAルートへ進行する。

成功条件

  • 3回のうち、2回成功すればエンドA確定(心理戦勝利)

  • 2回失敗すると、多羅幣 一が証拠の信憑性を揺さぶり、エンドBに進行する。

  • 証拠を3つ以上持っている場合、技能ロールに+10%の補正が適用される。

ルール適用例

  • 1回成功 / 2回失敗 → エンドB(敗北)

  • 2回成功 / 1回失敗 → エンドA(勝利)

  • 3回成功 → エンドA(完全勝利・多羅幣 一の完全失脚)

  • 3回失敗 → エンドB(大敗・霧目会の影響が霞川市に残る)

追加補足

  • 同じ技能を連続で使ってもOK(例:全て言いくるめで試行しても可)。

  • 違うPLが交互にロールを振るのもOK。(プレッシャーを分散できる)

  • 2回成功した時点で心理戦は終了し、エンドAへ移行する。

  • KPは多羅幣 一の反応や態度を「成功/失敗」に応じて変化させ、心理戦の雰囲気を演出すると良い。


心理戦・社会戦パートのルール
心理戦・社会戦では、探索者たちが証拠を突きつけ、多羅幣 一を追い詰めていく形式で進行する。
以下のルールを用いる。

 ① 証拠の提出
探索者たちは、これまでの情報収集で得た証拠を提示する。
このとき、3つ以上の有力な証拠を示せば、心理戦にボーナスが付く。

ボーナス対象の証拠(3つ以上で+10%補正)

  1. カジノの送金ハッキングの証拠(中央区)

  2. 金融市場の異常を示すデータ(西区)

  3. 第三勢力による密輸ルート襲撃の映像(南区)

  4. 第三勢力の密輸取引記録(港区)


② 技能ロール(心理戦)
探索者は、心理学・言いくるめ・説得の技能を駆使して多羅幣 一を追い詰める。

基本ロール:言いくるめ・説得・心理学(適用技能は自由)
証拠3つ以上:+10%補正(最大+20%まで)
証拠2つ以下でも試みることは可能(ただしボーナスなし)

1回の判定で決着するわけではなく、交互に会話を重ねながら3回まで試行可能。


③ 成功・失敗の分岐
心理戦成功(エンドAルート)

多羅幣 一の失言を引き出し、紅刃会・白叢会の幹部たちに証拠を提出できる流れになる。霧目会は壊滅し、霞川市の裏社会の均衡は取り戻される。

心理戦失敗(エンドBルート)
多羅幣 一に証拠の信憑性を揺さぶられ、紅刃会と白叢会の間に不信感が生まれる。 霧目会は完全には消えず、霞川市に暗い影を残す結果となる。


シーン04

エンドA
勝利:多羅幣 一の失脚

描写
探索者たちの言葉がVIPルームの空気を変えた。
多羅幣 一は、わずかに目を細める。
テーブルに置かれたワイングラスを、彼の指が僅かに強く握った。
「……ふぅん、なるほど。」
探索者たちが突きつけた証拠は、霞川市の裏社会を揺るがすには十分すぎるほどのものだった。
彼の表情には、焦りがにじみ始める。
「君たちは……随分と熱心に動いたようだな。」
多羅幣 一は静かに息を吐く。
それは、敗北を悟った者の仕草だった。
VIPルームの扉が開く。
そこには、紅刃会と白叢会の幹部たちの姿があった。
千種は穏やかに微笑みながら、探索者たちに目を向ける。
千種「……お見事です。」
一方の垣根は、探索者たちをじろりと見た後、小さく鼻を鳴らす。
垣根「なんや、ようやったな。」
だが、その口調に以前の皮肉っぽさはない。
紅刃会と白叢会は、互いに警戒はしているものの、
この瞬間に限っては同じ目標を共有していた。
「これで、霞川市の金の流れは正常に戻る……はずや。」
垣根は腕を組みながら、探索者たちを見つめる。
千種は、多羅幣 一へと静かに視線を向ける。
「多羅幣さん……そろそろ、お時間です。」
「…………。」
彼は何も言わず、ゆっくりと立ち上がる。
しかし、その表情には完全な敗北の色はなかった。
「……この街は、そう簡単には変わらない。"誰か"が消えてもな。」
多羅幣 一は最後にそれだけ呟き、紅刃会の構成員たちによってVIPルームから連れ出されていく。
紅刃会と白叢会の幹部たちは、互いに軽く視線を交わし──
そして、それ以上の言葉は交わさなかった。
紅刃会と白叢会は、この件を機に「一定の協力関係」を築く。
表向きは、霞川市の裏社会に秩序が戻ったかのように見える。
だが、それは「今後も続く」と確約されたものではなかった。
この街は、あくまで"利害の一致"の上に成り立っているにすぎない。
── 霞川市の闇に、ひとまずの安定が戻る。
探索者たちは、この街の裏側で"歴史の転換点"を作ったのだ。

エンドA - 霧目会壊滅! 霞川市の裏社会に秩序が戻る


エンドB
失敗:霧目会の影、霞川市に残る

描写
探索者たちは、懸命に多羅幣 一を追い詰めようとするが──
彼はまるで動じる気配がなかった。
「ふぅん……それで?」
ワイングラスを傾け、微笑む。
その余裕のある態度こそが、探索者たちの敗北を物語っていた。
「君たちの主張は面白い。だが、それが何だというのだ?」
探索者たちが証拠を示すが、彼は動じることなく微笑む。
「それが"霞川市の真実"になると、どうして言い切れる?」
「この街ではな──"何を信じるか"は、その時々の支配者が決めるんだよ。」
VIPルームの扉が開く。
紅刃会と白叢会の幹部たちが入ってくる──が、
その空気は張り詰め、すでに火種がくすぶっていた。
垣祢「……ふん、どういうことや。」
垣祢が、静かに千種を睨みつける。
「"証拠がない"ってことは、"そちらの捏造"の可能性もあるわけやな?」
千種は淡々と垣祢を見返す。
その目は、決して笑っていなかった。
「それは、そちらにも言えることでは?」
紅刃会と白叢会の間に、目に見えない裂け目が生まれる。
幹部たちは互いに視線を交わし、不信感を隠そうともしない。
千種「……これは"そちら"の仕掛けた茶番なのでは?」
垣祢「ウチがそんなマネする必要ないわ。そっちが情報操作しとるんやないの?」
紅刃会と白叢会の間に、かつてないほどの不信感が芽生えた。
そして、その様子を見ながら、多羅幣 一は心底楽しそうに微笑んだ。
「さて、"本当の争い"が始まるのはこれからだろう?」
そう言い残し、彼はVIPルームを去っていく。
霞川市の闇の中へと、するりと溶け込むように。
探索者たちは、彼を止めることができなかった。
──霞川市の裏社会は、多羅幣 一を取り逃がしただけでなく、
紅刃会と白叢会の間に、致命的な対立の火種が残ることになった。
垣祢「……これで"貸し借りなし"とは、いかへんやろ?」
垣祢が笑うが、その目には決して笑みがなかった。
千種「ふむ……そちらがそのつもりなら、私たちも対応を考えねばなりませんね。」
千種の声は静かだが、その裏には明確な警戒心が滲んでいる。
紅刃会と白叢会の"一時的な協力関係"は完全に崩壊した。
もはや、次に起こるのは「戦争」かもしれない。
そして──
霞川市の闇には、まだ"霧目会"の影が残り続けている。
これは、終わりではない──。

エンドB - 霧目会の影、霞川市に残る


霞川共同防衛戦線

シナリオEND


生還報酬
エンドA:SAN値 +1D6 回復
エンドB:SAN値 +1D3 回復


あとがき

一日で書き上げる量ではない。

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