モーセレーション時間は〇〇に比例する!

今までHOLEPの醍醐味である核出についてばかり語ってきましたが、モーセレーションについても語っていこうかと思います。

というのも世の中にはモーセレーションが怖いからHOLEPの導入を戸惑っている施設があるとかないとか。

私自身はモーセレーションは後片付け的なところがあって、結構手間がかかる割に結果に影響しないので毎回めんどくさいなあとは思っていますが、危険だと思ったことはほとんどありません。

実際今まで100件以上こなしていますが、大きな事故になったことはありません。せいぜい膀胱粘膜を一噛みしてしまって電気メスでの止血を追加したことがある程度です。

モーセレーションはかなり時間がかかることもあれば、すぐ終わることもある手技ですが、それを規定する要因はいくつかあります。

当たり前ですが核出した前立腺の大きさ、形状(きれいな球形に近くなるほどとっかかりが無くなってモーセレーションしづらい)、固さ等々あります。

が、大きさの次に、もしくはそれ以上に影響を及ぼし、かつ手術全体にも大きく影響する因子として「止血がしっかりされているか」というのがあります。

個人的にはモーセレーションで起こるトラブルや、時間を食ってしまう原因のほとんどが止血不足によるものと考えています。

止血が十分にされているいい視野であれば、膀胱をモーセレーションしちゃったみたいなトラブルはほぼ起こりえません。だって膀胱噛んでるのが見えるもの。

よくありがちなミスとして核出に時間がかかってしまってとりあえず早く終わらせないと!と焦って止血も不十分にモーセレーションを始める例がありますが、これは悪手です。視野が悪いとそもそもモーセレーターのスイッチが(怖くて)踏めないのでモーセレーションが進みません。結果むしろ余計に時間がかかることになります。

そもそもの話としてHOLEPのアウトカムって何に規定されるのかという話があります。

主に排出障害の改善、失禁の有無などの長期目標の達成かと思いますが、それとは別に短期的な目標として、さっさと尿道カテーテルを抜いて退院していただくというのもあると思います。

また患者様のためだけでなく、術者の側からしても夜間に膀胱内血種によるタンポナーデで病院に呼ばれないというのは非常に重要です(笑)。

これらの目標を達成するためにはやはり十分な止血が最も重要であることは言うまでもありません。


多少手術時間がかかっても十分止血をすることにより

1、モーセレーション時間が短くなる

2、退院が早くなる

3、夜自分が呼ばれない


と多大なメリットがあるため止血はやり得です。真のHOLEPのプロはレーザーによる止血だけで一切電気メスを使わないという話がありますが、そういった理由で私はレーザー止血だけでも多分できるけど、電気メスでがっつり止血をするようにしています。

ついでにいうと手術動画の説明でも話していますが、核出の段階でもなるべく前立腺床を白くすることにより止血を行っておくようにしましょう。


以上モーセレーションで困っている人はモーセレーションそのものではなく、その前段階の止血を頑張ったほうがいいよという話でした。




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