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好きすぎて2,000個以上のうつわを集めた、私の【お椀】使い分け|形から入る料理の楽しさ

前回の「好きすぎて2,000個以上のうつわを集めた、私のお茶碗使い分け|形から入る料理の楽しさ」に続き、今回は「お椀」、中でも味噌汁やお吸い物など汁物につかう「汁椀」の私の使い分けの話です。といっても、実は私もまだよくわからず、最近ようやく自分の好みがわかってきた程度の「汁椀」。

他のうつわに比べ、私がこの「汁椀」に腰が重かった理由は自分でもわかっています。それは何故か味噌汁をつくることを非常に面倒と感じていた時期があって、長らくつくることが無かったからではないかと思っています。当時はなぜか「味噌を取り出し、味噌を溶かす」ことが面倒だったんですよねぇ…。当時の自分が謎です。

それに、人が集まるホームパーティーでもあまり「汁椀」を使うような料理を出すこともないのであまり探究心が湧くこともなく、コレクションは増えずにいました。

今は味噌汁が無いと物足りないと感じるし、旦那さんも味噌汁が大好きなので当たり前のようにつくります。ふたりとも大好きなのがなめこ汁や豚汁、私は具だくさんの味噌汁やお麩や油揚げ入りの味噌汁なんかが好きですが、旦那さんは数年前に粕汁、最近は貝類の味噌汁にハマっています。

自粛生活で毎日味噌汁をつくる生活になり、遅ればせながら「汁椀」に興味が湧いてきました。味噌汁は日本が誇る日本の食文化が凝縮した料理だと思うので、「汁椀」のことをもっと知りたいなと思うようになりました。

そんな我が家には、数えたら現在6種類の「汁椀」がありました。
購入順にまとめてみます。

引退状態でも捨てられず…私のマイファーストお椀

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ひとり暮らしスタート時に購入したマイファースト茶碗と同じくらいの時に買ったと思うお椀。正直、記憶が定かではありません…。

多分値段の安さでプラスチックを選び、二個欲しいから夫婦碗を買っておこうと黒と赤を選び、という具合に、自分の好みなどは一切考えずに買ったんだろうなと思います(苦笑)。お椀はコレ買っておけば良いでしょ、みたいな。

ひとり暮らし中は手洗いしていましたが、自宅に食洗機が増えてからはガンガン食洗機に入れてますから、いつしか色がハゲてしまいました。
登場回数も減りすっかり引退状態なので「捨てても良いな〜」と思うんですが、捨てるきっかけが無くてまだ食器棚に収まっているお椀です。

うーん、これから半年間、出番が無ければ考えよう…。

色落ちせず大活躍の二代目も、プラスチック製のお椀

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マイファーストお椀が無残に色がハゲた為、迎えた二代目お椀。これまた、いつ、どこで買ったのか記憶がさだかでは無いんですが…(苦笑)。二代目もプラスチック製を選んでいます。

ただ、こちらは落ち着いた雰囲気なのと、食洗機に入れても色ハゲとは無縁なので、今も現役で普段の食卓で活躍しています。うーん、これホントにいつ買ったんだろう…。

<photo:マイファースト茶碗とマイファーストお椀の組み合わせ。茶碗とのサイズバランスが良いのも、2代目お椀の使い勝手の良さ> 

<photo:劣化が無くキレイなお椀なので、今年は三が日のお雑煮でも使いました> 

具沢山のお雑煮を食べるために買った、漆のお椀

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私の実家のお雑煮はとっても具だくさんです。旦那さんの実家のお雑煮は至ってシンプルなんですが、私は自分の実家のお雑煮を継承しています。
具沢山のお雑煮がたっぷり食べられるサイズで、お正月らしさがあるお椀が欲しいな、と思いデパートで購入した漆のお椀です。

値段は忘れてしまったけど、当時の私の価値観からするとだいぶ高かったことを覚えています。

なので思い切って買ったは良いけど、今度はその高いお椀をお正月にしか使わないというのも勿体ない気がしてきて(笑)軽くて持ちやすく、蓋もないシンプルなお椀なので、今は普段使いしています。

なんでもかんでも食洗機に入れてしまう旦那さんに、「このお椀は絶対に食洗機に入れないように!」ときつく言い聞かせまして、彼はこのお椀から「世の中には食洗機に入れてはいけないうつわもある」という事を学びました(なんで食洗機に入れられないうつわなんて買うんだ!とブツブツ文句を言ってましたけど)。

<photo:具沢山の夏野菜の豚汁をたっぷり盛って。赤いうつわは食卓を明るくしてくれます>

<photo:台湾の朝食で有名な鹹豆漿を盛ったお椀。漆は口あたりも良くて良いですね>

温泉地で出会った、イメージ通りの日常使いのお椀

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これはある年末に、長野の温泉地の土産物屋さんで購入した木のお椀。そろそろプラスチックのお椀から卒業して、木のお椀を使いたいなぁと思っていた頃でした。

イメージにぴったりの見た目で、即決でお迎えしました。
使っていたプラスチックのお椀よりちょっとサイズは大きめで、豚汁などの具だくさん味噌汁もたっぷり入りそう。
そして、この頃は旦那さんが粕汁をつくるのにハマっていたので、それにもよく似合いました。

このお椀も食洗機に入れず、手洗いです。

<photo:この木のお椀に入れると、味噌汁がより美味しそうに見えるのは私だけでしょうか>

<photo:私、ホントに雑炊が好きなんですよねぇ…このお椀だと、ほどよくたっぷり食べられて良いんです。後ろはL-92。AmazonでラベルレスのL92を定期便しています。美味しい>

ようやく形にこだわれるようになった、記念すべきお椀

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こちらは昨年、神楽坂にオープンしたAKOMEYA TOKYO in la kagūで購入した我戸幹男商店TSUMUGI汁椀。私は駒形のRedを選びました。

漆や木の素材の良さは、既に実生活で実感していました。たっぷりサイズのお椀ばかり使ってきたので、今度はシュッとカッコいいお椀が欲しいなぁと選んだのがこちら。初めて素材・デザインに拘って買ったお椀です。

マイファーストお椀から数えて20数年たって、ようやく拘って買うことができるようになりました。

他のうつわにも共通することなんですが、拘りを持ち、かつ自身の食生活に合ったものを選べるようになるには時間がかかります。
1)「自分の食生活」と「自分の好み」を知ってバランスを取ること
2)対象物(今回はお椀)の世界にある選択肢と買う手段を知ること
が知識や経験で揃わないと選びようが無いんですよね。

私の場合は「味噌汁をつくるのがすこぶる面倒くさく作らない」時期があったので、特に1)がだいぶ出遅れたように思います。

でも結果、こんな素敵なお椀にたどり着けたから終わりよければすべて良し、かな。

<photo:新しいお椀デビューの日の朝ごはん。簡単なおかずでも気持ちがワクワクしたのを覚えています>

<photo:今年の元旦は、このお椀に合わせたくて初めて白味噌のお雑煮に挑戦しました>

昔買って食器棚の肥やしになっていたお椀も、今なら使いこなせそう

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購入順だと3個めの漆のお椀とほぼ同時期に購入した、越前漆器の蓋付きの富士型碗です。来客用に購入していました。

といっても、来客時…つまりホームパーティーでこんな蓋付きのお椀で出すような料理をつくるスキルもなければ、シーンも無く…すっかり食器棚のこやしになっていたお椀です。

前述の
1)「自分の食生活」と「自分の好み」を知ってバランスを取ること
がわかっていなかった故のお買い物でした…。

しかし時が経ち、お椀の意識が変わった今なら使いこなせる気がして、使うのを楽しみに感じているお椀です。

失敗はつきもの、でも乗り越えたら格段に楽しさが広がるのがうつわの世界。だと私は思う。

うつわは一歩足を踏み入れると沼のようだ…とよく表現する人がいます。
日本は特に食文化や伝統文化的な背景から、焼き物の産地の沼、素材の沼、色の沼、料理シーンの沼などあちこちに沼がある。

その沼に足を取られながら
1)「自分の食生活」と「自分の好み」を知ってバランスを取ること
2)対象物(今回はお椀)の世界にある選択肢と買う手段を知ること

を経て、うつわの世界を楽しめるようになるには誰しも失敗がつきものです。私が買ったは良いが食器棚の肥やしにしてしまったお椀のように…。
(いつか、いろんな方のそんな失敗バナシも聞いてみたいものです)

でもね、それを越えると果てしない楽しさがあるのが、うつわの世界だと思います。

最近はInstagramなどのSNSにより”人に見せる楽しみ”も生まれていますが、基本的には料理やうつわなどは、家庭の中で、自分や家族またはごくごく親しい人たちに向けて楽しむものです。
そこがヘアメイクやファッションに比べ、他人の目を気にせず自分の好みに没頭できる、うつわの世界の楽しさだ思っています。
(ヘアメイクもファッションも、大好きですけどね)

そんなうつわの世界の楽しさを通じて、料理を楽しむ人がひとりでも多く増えたらな。うつわ沼にはまっている世界中の人たちと、楽しさを分かち合えたらな。世界はもっと楽しく、人間らしくゆたかなものになるんじゃないかな、と思っています。


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