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一番古い料理の記憶は、大成功だった。

「料理」の定義が「火を使って調理をすること」とすると、私の一番古い、自分が料理をした記憶は小学校にあがるちょっと前。おそらく4〜5歳の頃。

それまでは、ちょっとしたお手伝いはしていました(正確に言うと、させられていた)。
例えば、鰹節を削り器で削る役目や、ソーセージをフライパンの上で転がす役目だったり、茹でたじゃがいもを潰す役目だったり。
私は面倒なことが嫌いで集中力にも欠ける子供だったので、それらの役目は私にとって楽しいことではありませんでした。

ふと沸き起こった、家族を驚かせてみたい!願望

そんな私がある日突然、思いつきます。
お休みの日に家族が起きてきて、朝ごはんが出来ていたら、みんなびっくりするんじゃない?!、と。

なんでそう思ったのかわからないけど、
当時、両親・私・妹の4人家族で布団を並べて寝ていた寝室を一人抜け出し、朝ごはんをつくりはじめました。

メニューは、当時の休日定番メニュー
・トースト
・スクランブルエッグ
・ケチャップソーセージ
の3つ。
作り方は毎週お手伝いをしながら見ていたのでわかっていましたから、特段、苦労することも、失敗することもなく朝ごはんができあがりました。
途中、家族の誰かが起きてこないか、ヒヤヒヤしたのだけはよく覚えています。

大人にはコーヒーも入れて、子供には牛乳も用意して、あとは食べるだけ!という状態にして、家族を起こしに行きました。

家族はすぐ目を覚まし、食卓に並んだ朝ごはんを目にして、驚いていました。特に母の喜びようは、私が想像していた以上。

自分が作った朝ごはんを、家族みんなが喜んで食べている。
月並みな言葉だけど、自分で作ったごはんは、自分も美味しい。
何より一番嬉しかったのは、自分がしたことで皆を驚かすことができたこと。それも、皆にとって幸せな驚きを。

今思えば、母は娘が台所で何かやっているのを気づいていたかもしれません…。うちの母のことだから「朝ごはんつくっているな、しめしめ…」とでも思っていたのかもしれない。「ここで喜べば、もっと料理をするようになるはず」とかね。

次の休日も私が朝ごはんをつくることを母は期待していたようだけど、残念ながら天の邪鬼な私はしませんでした。

一番古い料理の記憶は、
自分の料理でも役に立てるという成功体験

でもそれ以降も、気まぐれに朝ごはんをつくり、時に晩ごはんや、おやつづくりにチャレンジし、中学生の頃からは働き始めた母に代わり家族の晩ごはんづくりの役目も担うようにりました。

私の人生で一番古い料理の記憶は、自分の料理で、人に幸せな驚きを与えられれた、という成功体験でした。

途中、料理ができあがるまで起きてこず、驚き喜び、美味しいと食べてくれた家族にありがとう、と言いたい。

今の私があるのは、この時の「私にも人に幸せを提供できる」という成功体験が、あらゆることの原動力のすべて、なのだから。

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