ニンテンドーミュージアムに行ってきたぞ!!!
抽選に外れること2回、なんと12月分で想像より早くも当選してしまった。支払いを済ませてから長かったので当選時のテンションは流石に失われていたが、前日には公式サイトの施設案内や先行体験した企業のレビューなどを熟読するぐらいには気合いを入れていた。見たいものやりたいことのTODOリストをつくり、当日を迎えた。
ちなみに自分は30代。初の据置ハードは64、携帯ハードはGBA。それらからSwitchまで漏れなく遊んでいる。
ニンテンドーミュージアム、場所としては京都でも田舎の方というか、変哲のない住宅地の中に突如現れる。京都故のおとなしいカラーリングの「Nintendo」が掲げられており、気分が高まるのを感じる。施設内に足を踏み入れる前にはもう、テンションは最高潮である。何故なら既に入管ゲートの向こう側には見えてしまっているのだ。
マリオの土管とブロックが出迎えてくれている。
ブロックの上に出てきたキノコもこちらを向いている。もうこの時点で「あ、任天堂の領域だ」と笑ってしまう。つい土管に目が行ってしまうが、もひとつ向こうにゴールポールに捕まるマリオがいることも見逃せない。
もちろん写真撮影も可能だ。土管の内側に入るもよし、ブロックを下から叩くもよしだ。付近にはスタッフもいるため、お願いすればスマホで、撮影もしてくれる。1人で行く人にも心強い。土管は中庭の中にいくつかあるので、ゆっくり撮りたいなら空いたところで撮るとよい。
施設としては第1,第2展示棟と第3展示棟に分かれており、メインは第1,第2展示棟、入館ゲートを通って向かい左の入り口がある方だ。第3展示棟にはカフェ「ハテナバーガー」が入っており、2階で花札体験ができるワークショップもこっちに入っている。こちらの説明は一旦後回しにする。
第1,第2展示棟に入るとキノピオ達が出迎えてくれる。首振り人形のように頭が揺れる作りになっていて、揺らすとキノピオ達の声が出る。この声が別の入館者をお出迎えする声にもなっている。遊びと実用を兼ねたものづくり、任天堂のワザだ……! と入って早々妙なテンションの上がり方をする。
入館後は即ショップ「ボーナスステージ」(物販)に向かうことが出来る。大人気のコントローラー型クッションが欲しい人は朝イチの枠で購入に向かうといいかもしれない。
ただ、ミュージアム本館内に荷物を預ける場所は無い。厳密にはコインロッカーがあるのだが、入場ゲートの前に設置されており、入館後に手荷物やおみやげを預ける事はできず、常に持って動き回る必要があることは注意したい。寒い季節ということもあってコートを着たまま歩き回る事になったが、施設内の暖房は十分なため暑いくらいだった。安全性や物販の個数制限のための仕様だろうが、唯一の不満点とも言える。
休憩所やジオラマの展示もあり、ゆったりと過ごせる空間もある。また、第3展示棟で行われる花札をつくる/あそぶ体験コーナーは予約制で、こちら側の受付で行う必要がある。入館後の予約なので、当日の枠に合わせてどの順番で回るか考えなければならない。幸い、展示棟は出入りが自由になっているのでスケジュールに焦って見て回る必要があったわけではない。
ミュージアム内には一旦ゲートを通り、エスカレーターで展示ルームに上がるつくり。このエスカレーターを昇る最中に、歴代任天堂ハードの起動音が聞こえてくる。自分はやはりゲームキューブの近未来的な起動音と、ゲームボーイアドバンスの「キュピーン」という音が好き過ぎるので、すでにハイになっているテンションをさらに増長させられた。
展示ルームに上がると、360度任天堂である。
正面右にファミリーコンピューターの展示、左にNintendo Switchの展示があることから、歴代ハードをぐるっと一周回る作りになっている事がすぐに分かり、心が滾る。頭上から吊るされる巨大な歴代コントローラーも出迎えてくれ、すでに「本当に来て良かった……!!」と噛み締めていた。まだ何も展示を見てないのに。このフロアは撮影禁止なので注意されたし。
ゆっくりと時間をかけて見てまわりたいのは山々だが、実は上がって早々、階段手前下に降りる動きとなる。1Fには体験展示として、これまで任天堂が生み出してきた「遊び」を新たな形で展示ごと体験できるようになっている。
足元に映し出された映像がプレイヤーの動きに反応する百人一首、沢山の的それぞれ異なるヒット演出をするバッティングセンター、どこかで聞いたことがある名前のマジックハンド、かつて発売されたインチキ愛情度判定マシン「ラブテスター」の巨大版、ZAPPERかスーパースコープを選んで巨大スクリーンで行うシューティング、と言ったように、技術と知恵を結集させた”遊び”の展示が広がっている。
中でも一番楽しかったのはビッグコントローラー。巨大になった歴代ハードのコントローラーを2人で操作して昔のゲームのミッションをクリアしよう! というもの。SFCコントローラーの十字キーを体重載せて押したり、64コントローラーの3Dスティックを両手で持ってぐりぐりするの、楽しすぎるだろ! 将来こういう遊びに昇華されることを見越して作りました! と言われても信じてしまうぐらい楽しかった……!!! 小学生の俺に、今持ってるコントローラーのクソデカ版を全身で操作することになるぞ! と言っても信じてくれるだろうか??
ここで面白いのは、あくまでここは遊園地ではなく美術館であり、アトラクションではなく”体験展示”という言い方になっているという点。おそらく”体験できる展示”、という意味での名称だが、”体験している人を展示”しているという意味にもなりえるだろう。
つまり、順番待ちの間、今遊んでいる他人のプレイをみて「うまい!」「あー惜しい」と言ってしまったり(失礼だったかも)、見たこと・やったことのあるゲームを新たな体験として攻略したり……、こうやって純粋に楽しんで遊んでいるわれわれもまた、”展示”の一部になっていると言えるのではないだろうか。そう考えると、任天堂の展示の見せ方が「魅せ方」としてゲーム的デザインされているように思えて、感動してしまう。
注意事項としては、上記の体験展示は「コイン制」を設けており、入館証1枚につき10枚コインが与えらえる。体験展示ごとに消費コインが設定されており、全種類を遊ぼうと思っても一度の入館では遊びつくせないという仕様になっていることだ。全体の展示もそうそう一回で見尽くせる量ではないので、それも兼ねたリピーターを呼ぶ手法、体験展示ごとの待ち時間を解消する寸法を兼ねていると考えると、かなり合理的なつくりともいえる。事実、ミュージアム内の展示棟はそこまで広くない造りだった。
頻繁に来れる訳ではないので、優しくないシステムと言えばそうだが、どの体験展示を遊んで、どれを遊ばない、といった取捨選択。これもゲーム(遊び)のひとつだよな、と思えばこのシステムもまた任天堂の魅せ方かと感動し、虚空に向かって頷き続けていた。
ちなみにビッグコントローラーやザッパー&スコープSPなどの体験展示はWEBのチケット購入ページからスコアを確認できる。ネットでタイムを探して競ってみるのも楽しいかもしれない。ザッパー&スコープSPについてはその回でスコア上位3名のみトロフィーが表示される仕様のようだ。自分はスコープの銅トロフィー。もうちょっと伸ばせたと思うので、次回また挑戦したい所存。ただ、4コインと少しコストが重いので考えものではある。
第3展示棟へ向かう途中、株式会社ポケモンからの出張か、「ポケふた」の設置が確認できる。入館しないと見れないので、少々レアなポケふただ。
その奥にはHAL研からの出張で「じはんきほおばり」をしたカービィの自販機がある。
こういった任天堂を支えてきたキャラクターが館内外にちりばめられているのが最高過ぎる。あくまでミュージアム・美術館でありながらTDLやUSJの味付けを楽しめるのはお得過ぎる。なんなら展示棟には11匹の隠れピクミンがいるらしい。
第3展示棟2Fのワークショップでは花札をあそぶ/つくる体験が出来る。意外と遊んだ経験は無いので、あそぶ体験を予約してみた。予約を行えるのは本館となっているので要注意。こちらの棟にもキャラクターの影がちらほら。油断していると見逃してしまう。
花札体験は特別なフロアが用意されており、和室である。雰囲気から体験させてくる……。体験するのは任天堂が改良した簡易的なルールとなっており、すぐに楽しめた。というかどう考えても本家大本のルールよりも楽しかった。運要素はあるものの射幸性が控えめで、子どもでとっつきやすくわかりやすい。
そして何より、プロジェクターによる投影(プロジェクション)を利用した画期的なシステムが体験として200万点だった。
場の札は勿論、手持ちの札もフィールドに並べる事で、上部のカメラが各札を認識して判断してくれる。そして手持ちのどの札で、場の札を取れるのか、撮った札をどのようにすれば良いのかを光の矢印で案内してくれる。さらには手に入った札の点数を自動計算し、結果発表までしてくれる。
目の前で広がるプロジェクション、決して派手なものではないのだが、あくまで主役は花札なのだという、決して派手ではない活躍が良かった。
そしてカメラによる認識も正確である。札の相性は勿論、役の判定までしてくれる。プロジェクションの矢印案内は点数が高い札を強調表示してくれるなど、アシスト機能もバッチリだ。
え、これを500円で体験できて良いんですか…………??(花札をつくろうは2000円掛かる)
花札自体は大昔からある遊びであり、任天堂がテレビゲームを売り出す前から現在まで販売し続けている商品だ。……若干「私たちが日本に流行らせました!」顔をしている感が否めないが、事実こうして任天堂が花札の発展に寄与しているのを見るのは初めて見る。一応「アソビ大全」シリーズに花札を入れてくれてはいたが……。
しかし、ここで体験した子供らはルールや札の価値を覚えることで花札というゲームに対する解像度が上がり、間違いなく花札というゲームが「楽しい」という感想を持つだろう。
お金や技術を掛けること自体は難しくないが、「楽しい」や「面白い」を引き出すことは保証されない。高性能カメラによる絵柄の認識や、プロジェクション自体はもはや現代において最新のものでは無くなりつつあるが、そういった技術を既存の遊びと融合し、まったく新しい体験として昇華させる……。紛れもなく任天堂が提供してきた「あそび」の作り方である。
軽い気持ちでの花札体験だったが、ここでも見事に任天堂の見せ方を味わうことになった。
スタッフさんも丁寧で、役や仕様の説明など事細かに対応してくれた。気持ち程度の痛バッグとしてスプラトゥーンのポシェットにルイージのアイロンビーズなど入れて行ったことに気付いてくださったので非常に気分良く遊べた。本当にありがとうございました。
ショップの滞在時間はあまり取れなかったが、あまり長いこといたらなんでもかんでも買ってしまいそうだったので結果オーライだったと言える。
歴代ハードのアイテムが一式揃っていた。ディスクシステムやバーチャルボーイといった、あまり日の目を浴びなかったハードのグッズも展開されており、任天堂の愛を感じた。
流石にコントローラークッションは完売していたが、あったら買ってしまっていたので、まぁよし。デカ過ぎるしあれ。
ただ、ゲームキューブマグカップは次行ったら絶対買います。帰ってきたらめちゃくちゃ欲しくなってしまった。
ハテナバーガーもあまりゆっくり出来たとは言い難いが、それでも楽しめた。
アプリで具材を選んで注文するシステムは愉快で、好きな厚揚げばかりにしてやろうかと遊び心をくすぐられる。まぁ半端なことして後悔はしたくなかったので無難にすき焼き風バーガーに落ち着けたが。
そして普通にめちゃくちゃ美味い。
普通のハンバーガーも肉厚でおいしい。
もうハンバーガー屋でもやっていけるぞ任天堂。
ハテナバーガーだけで店舗出すと良いぞ任天堂。
閉館時間を迎え、暗くなった外に出てみると、土管やマリオがライトアップされている。昼に見るのとは大きく様子が変わっているのでじっくり見たいが、早く敷地を出なければいけないのが非常に惜しい。
写真にはうまく収まらなかったが、中庭の駐車場の向こうにはドンキーコング?らしき姿がポールを登っているのも確認できた。夜でライトアップされていなかったら気付かない!!
体感あっという間だったが、みっちり5時間楽しんだ……! そして全部を楽しんで見れたとは全然言えない。任天堂がテレビゲームを出す前に販売していた、花札やカルタなどのテーブルゲーム、射的といった家庭で遊べる玩具類の展示など、あまり目を通せていない展示は多くある。
体験展示もまだ遊べていないものもあるし、今度こそビッグコントローラーでクッパを撃破したい。またもう1度来なければ……そんな未練タラタラな筈なのに、ふしぎと幸福感に包まれながら帰路に着いた。
入った直後から出る寸前まで、任天堂ならではの、任天堂らしい、任天堂にしかできない技で楽しませてくれたニンテンドーミュージアムだった。そもそも美術館であることを忘れさせてくれるうえ、テーマパークでは得られない体験を多く出来るのは唯一無二の場所と思い出になると思う。
抽選にはあっさり当選してしまったので倍率がどんなものかピンと来ていないが、まだ未当選の人も挑戦し続けて欲しい。ぜひ人生1度は、1度では楽しみ切らないので余裕があれば3度は、遊びに行って欲しい。そして出来れば気のおける人と2人以上で行くのが良い。任天堂が好きでも、お世話になっていなくても間違いなく楽しめるはずだ。
任天堂が長年培ってきた技術……ゲームや遊びに限らない「楽しませ方」を味わうことが出来る、そしてさまざまな「楽しみ方」を教えてくれるのは、いまのところ世界にただひとつ。ここ、ニンテンドーミュージアムだけなのだ。