田舎にカフェが出来るまで。
時は過ぎ、廃墟のような状況から1年ほど経ち、
蝦夷マルシェも自分のペースで営業出来る様になって(コロナで暇)自由な時間が増えてきた頃、
「カフェの方はどうするねん」
という声がちらほら聞こえてきた。
「せや、一階廃墟のままや」
そんな事言われても人手がない事には蝦夷マルシェもカフェも両方やるなんて到底無理だ。
と、頭を悩ませていた時だ、
仕込まれてたのかと思うような話が舞い込んだ。
以前蝦夷マルシェのリゾートバイトに来てくれていた「かのちゃん」が地元の埼玉で仕事を辞めるという噂が流れてきたのだ。
(埼玉にいる子の噂が北海道に流れるってどんなよ)
彼女は飲食店経営を夢見る調理師免許保持者だ。
ダメ元でLINEを送る。
「かのちゃん、北海道でカフェをやるってのはどうだい?」
(もっとちゃんとお誘いしてます。多分)
返事は「考えさせてください」
当たり前だ。
OKが貰えたら奇跡。
ダメならゆっくり他を探そう。
そんな気持ちで期待をせず待っていると、数日後
「やってみたいです」
と。
まさかの奇跡がおきた。
そうと決まれば話は早い。
とんとん拍子で彼女は埼玉から大樹に住民票を変え、私の家で共同生活をスタートさせるのであった。
現在、コロナによって出た補助金の制度
「事業再構築補助金」の審査が通り、
先立つものが出来たところでカフェ開業にようやく着手し始めた。
誰かが何か店を始めるらしいよ。
こんな噂は小さな町ではあっという間に広がる。
会う人会う人に
「カフェはいつからやるの?」
と聞かれるが、言っても私は素人同然。
蝦夷マルシェを作ったと言ったって他のメンバーの力があったからだし、
100日間で出来た蝦夷マルシェの内部はそりゃもう当時はズタボロ。オペレーションもめちゃくちゃ…
「100日以内にお店出来たー!」
いや、出来てないから。
そんな私が店を作れるのか?
今でさえかのちゃんに「もーー!まりえさんー!」
とか呆れられながらなんとか前に進めているのに…
でも、東京と北海道を行き来している私だからこそ、大樹に新しい風を吹かせられるようなみんながワクワクするものを作れるのでは…?
自分だからこそできる事があるんだ!と信じて、大樹にあったらいいな!と思うものを自分で作る。
上手くいかなかったら変えていけばいい。
何度だって何にだって永遠に挑戦出来る。
一緒に戦ってもらってるかのちゃんには苦労をかけるが、
最終的に彼女にとってもここに来たからこその経験値と財産を手に入れてもらえたらと思っている。
もうすぐ、大樹町に新しいお店が生まれる。
ようやくスタート地点。